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俳句を読む:『ユプシロン』No.4、植田いく子句集『水でいる』

質感の違う「あお」の表紙が美しい二冊。

湖のような碧い表紙が美しい、『ユプシロン』No.4。
年に一度の訪れが心待ちになっている。
今回も素敵な句が多くて楽しかった。
お一人、一句ずつ。

それぞれに傘開きたる秋海棠  中田美子
秋の日の足も使ひて籠を編む  岡田由季
闇側の踊り子も頬染めている  小林かんな
眠りつつ老ゆ鬼灯を手のひらに 仲田陽子


藍色でいいのかな、捲ることは波を撫でるようでもある
植田いく子句集『水でいる』。
感銘句五句。

白桃の種に棲みつく故郷かな
月蝕の月の球形ポワロの死
芒原反対側のドア開く
黒板に後ろ姿のない良夜
春の星手は体から離れずに

言葉のリズムと呼吸がよく、
そこに小気味よく、人生のスパイスの効いた内容が。
ひらりひらりと日常を自分の目で捉え直して
作品となった17音はするすると読めて、
読み進むほどに味わい深く、どんどん面白い。

2015年に神奈川県現代俳句協会賞を受賞された作家。
嬉しい出会いでした。

ご恵贈、どうもありがとうございました。


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