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なんちゃって「1日1句」のススメ

以前(5年位前だったかな)
所属する俳句結社『炎環』誌上で
俳句講座をスタートしてからの日々を綴った連載を2年程担当していました。

その中で「1日1句を作る癖をつけるとよいですよ~」
みたいなことを書いたのですが、
新規クラスを受け持つことが最近続いたので
この機会にもう一度書いてみようと思います。

どうして「1日1句」を始めたのか

以前の私は、俳句を作るのも句会に行くのも
自分がやりたいときにしかしていませんでした。
元来モノグサで、かつ気分屋。
好きなことを好きな時にしかし(たく)ない性分。

だから、俳句は〆切前に必要な分しか作らない。

そんな日々が何年も続きました。

でも、ある日ふと思ったのです。
「毎日、複数句を作るのは気分が落ちてる時はできないけど1日1句くらいならできるかも」

そう思うまでの経緯は長く、またいろいろとあるのでここでは省略しますが、主な理由はざっくりというと下記でした。

1)筋トレのように毎日少しずつでもやっていると、リズム感が鈍らない
2)1日1句でも、うっすらと脳のどこかで季語や季節を意識していられる

1)、2)を続けていれば、ある日詠みたい映像やアイデアに
突然ロックオンした時もすぐに一七音としてキャッチできる
(=本能的に瞬発力を発揮できる習慣がつく)

突然、脳や感覚を「俳句モード」にしようとしても私にはできん。
それに少しは俳句のストックがあった方が何かの時に楽だし~。
フラメンコでも毎日徐々にやれば
複雑な振りや足の組合せを覚えることができて、ムリなく体が動くのと同じだ!
うん、そうだ! やろうやろう、1日1句!!

1日1句、実際にやってみて

さて、1日1句を実際に始めて
次に私が思ったのが連載でも書いたのですが、
「これは「レコーディングダイエット」の手法に似てるなあ」
ということ。

毎日の体重を記録して、経時的に振り返ることでモチベーションを上げて健康的にムリなく痩せる。

「1日1句」も似たような効用があるのではないか。

・1日1句を詠んでデータ保存≒毎日の体重を記録
・減量の経過と度合を経時的に振り返る≒1カ月単位で溜まった句(ほぼ30句)を振り返る
そのことで
「自分の作り方の癖や長所、短所が客観的に見えてくる」
「今、自分が何を詠みたいのかも見えてくる」

何より1日1句でも「続けていけば」結構な数の俳句ができる。
その事実が可視化されることで
「私も作ろうと思えばたくさん作れるじゃん! なーんだ、やり方次第だ!」
という小さな自信がもてるようになりました。
結果、さらに続けていこうという意欲が湧いて。

その頃くらいからでしょうか。
「もう一度、外部の賞に応募してみようかな……」
と考えるようになりました。

「なんちゃって」でいい、肝心なのは「続ける」こと

今も1日1句を続けていますが
すごいゆるーくやっています。下記の感じ。

・やりたくない日、忙しい日は次の日に二句作る
・1日に数句作った翌日は作らなくてOK
・句会の日は作らなくてよし(作ったとみなす)
・あくまでも準備運動の一環のようなものなので、
「完璧な作品」は目指さない。
したがって類句類想、全然OK!

大事なのは「とにかく続ける」こと。

「今の自分、イケてないわあ(^^;)」
という作品しかできなくても
十七音を日々繰り返す。

そうすると、知らないうちに眼に見える風景や気持ちの色が変わってくるんです。
そうすると思いがけない瞬間に
それまでは思いつかなかった俳句が
出現することもしばしば
(自分から何かをしようとせず
じっと我慢して、偶然の出会いを待つ。
これって大事みたいです)

また、季語が仕事で疲れてた気持ちをなだめてくれたり、
落ち込んだことを十七音にふいに言い留められたときには
救われた気持ちになったことも多々。
結果、俳句以外のことも「やってみようか」と力が少し出たり、受け入れられるようになって。

そうして現在に至り、今も続行中です。

明日につながる小さな俳句の日々。
1日1句、いかがでしょうか。

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