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好きな本のはなし(俳句、短歌、ほか)

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句集、歌集をはじめとした「好きな本」の感想ページです。
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#俳句作品

軽やかに、カラフルに:箱森裕美句集『鳥と刺繍』

雷鳥や刺繍の花のその軽さ 句集タイトルのイメージにもっとも近い作品を挙げるとすれば、上記…

あんこ
4か月前
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愛とかなしみの背理法:土井探花句集『地球酔』

こんな日は仲間はづれの雉が好き この句の中に自分を見る人、あるいは共感する人は、「ここに…

あんこ
5か月前
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月を仰ぐことを忘れない人:杉山久子句集『栞』

句会でも思うけど、俳句作品がまとまって掲載された句集を読むたびに思うことがある。 「どう…

あんこ
7か月前
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俳句を紹介・鑑賞いただきました☆

角川『俳句』7月号に掲載された12句作品のうち、数句について写真の俳句結社誌でご紹介いただ…

あんこ
9か月前
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【12句掲載】角川『俳句』2023.7月号

現在発売中の角川『俳句』7月号。 柏柳明子の俳句作品12句『玩具』を掲載頂きました。 お読み…

あんこ
1年前
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淋しさと懐かしさ:西川火尖句集『サーチライト』

なぜ、私たちは俳句を詠む(あるいは書く)のだろう? こんなに短い十七音にこんなに苦しんで…

あんこ
2年前
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約束の無き世界でも:赤野四羽句集『ホフリ』

虹やもういいかいと誰に問うべき 掲句ではじまる本句集は、赤野四羽氏の第三句集。 美しいものを仰ぎ見つつ、心に浮かぶ虚無感と不安。 やがては消える虹に、当てにならぬ希望や明日、 そして世界を透かし見ているかのような。 三章構成の章ごとに感銘句。 めだか思わず生きていて快晴 やあ君安全か互いの時雨に問う 百人の姉と伊勢参りの嵐 霧箱を運んで一人はぐれけり 花畑 透明な棺の輪切り 夕時雨よく光る眼の奥の鈴 「生きる」とは何も約束をされていない場所に存在し歩むことなのだなあ