約束の無き世界でも:赤野四羽句集『ホフリ』
虹やもういいかいと誰に問うべき
掲句ではじまる本句集は、赤野四羽氏の第三句集。
美しいものを仰ぎ見つつ、心に浮かぶ虚無感と不安。
やがては消える虹に、当てにならぬ希望や明日、
そして世界を透かし見ているかのような。
三章構成の章ごとに感銘句。
めだか思わず生きていて快晴
やあ君安全か互いの時雨に問う
百人の姉と伊勢参りの嵐
霧箱を運んで一人はぐれけり
花畑 透明な棺の輪切り
夕時雨よく光る眼の奥の鈴
「生きる」とは何も約束をされていない場所に存在し歩むことなのだなあ