旅のような暮らしのむずかしさ
わたしは日本で働いていた時、紀行ものを読むのが好きだった。
深夜特急・一号線を北上せよ(沢木耕太郎さん)にはじまり、ASIAN JAPANESE(小林紀晴さん)、ハノイ式生活(飯塚尚子さん)など…旅や現地での暮らしが「生」そのものとして書かれているものたち。会社での仕事に忙殺されるなかで、そういう本を読むことで、旅の疑似体験をしていたんだと思う。そして、生きる原動力にしていた。
東南アジアは、生のエネルギーをもらえるから好きだった。人の暮らしがありありとそこらじゅうに溢れ