私のスピーチ原稿作成法
月に何度か、30分間くらい人前で話すことがあります。
文字にすると6,000~7,000字。
もともと話すことが(好きですが)得意ではないので、基本的にフルで原稿を起こします。話すときには、できるだけ原稿から目を離して、顔を上げて話すようにしますが、その前に一度原稿上で文章を完成させておかないと、その場で意味の通る文章を頭の中で組み立てられる自信がないからです。
ただし、6,000字程度の原稿がすぐに書けるかというと、これまた別の話で、時には1週間くらいかかってしまうこともあります。
そして30分間、ただ座って私の話に耳を傾けてくれる人たちが、眠ってしまわずに最後まで話を聞いてもらうために、大事なことは「ロジックを通す」ことだと思っています。逆の立場だったら、つまり自分が聞く側だったら、ロジックの通っていない(つじつまの合わない)話を聞いても、え?だから何?としか思いませんし、耳を傾けていた時間が無駄であったと思ってしまうからです。
もちろん、息抜きの小話を挿入するとか、笑いを取るとか、コンセプトを説明する時にストーリーを使うとか、そういう技術面の工夫も必要だと思いますが、どんなにそうした工夫をちりばめたとしても、結局、全体として話のロジックが通っていなければ、聞く側は、で、結局、何が言いたかったわけ?となってしまいます。
前置きが長くなりましたが、そんなことを気にしながら文章を書く時、以下のような手順で原稿を作成しています。
話したいことを書き出す(紙と鉛筆使用)
まずは、聴衆に伝えたいことは何か?ということを考えながら、自分の頭の中にあることをすべて書き出します。
この時は、かならず紙と鉛筆を使うようにしています。手に触れているものがすべて木からできているものであるという環境もあると思うのですが、画面に向かって頭の中にあることをタイプする時に比べて、明らかにロジックの整理が進む感じがします(単に気のせいかも知れませんが)。
紙に鉛筆で書くと、文字の大きさや太さも自由に変えられますし、書く場所も選べます。またちょっとした絵も加えたりできますし、図も描けます。また、書いたものを後で黒や赤の線でつなげて、ロジックの整理も簡単にできます。
シャープペンシルでも同じことができますが、鉛筆だと、先が丸くなって削る時間が適度なインターバルになります。
話の本筋を見極める
これ以上出ないというところまで書き出したら、全体を眺めながら、どこに話の本筋があるかを見極めていきます。これをすることによって、ロジックが通っている話ができると思っています。
「ここは絶対に落とせない」と思うところを赤で囲んだり、「枝葉の部分だな」と思うところは思い切って削ってしまいます。そうすると話の骨格になる部分が見えてきますので、今度はそれを起承転結の順番に並べます。
と言っても、鉛筆で書いたものをハサミとノリを使って切り貼りするわけではなく、丸数字などを書いて番号を振っていくだけです。
この作業をしていくと、あの話も加えたほうが分かりやすいかな?などということを思いつきますので、適宜書き加えていきます。
タイプする
紙の上での作業はここまでで、次にPCを開いて、紙に書いたものを見ながら、思い浮かぶ文章をどんどんタイプします。この段階では、ロジックの整理は考えず、とにかく思ったことを文章にします。
最終的に6,000字の原稿にまとめるのであれば、この段階では、私はその1.5倍量くらい、つまり9,000字前後をめどに文章化をしていきます。
自分の中では、このプロセスが一番苦しいです。多分、一連の作業の中で一番「言語化」の作業をしているのだと思います。頭を使うので、お腹も減ります。眠気覚ましを兼ねて、おせんべいをパリパリと食べながらタイプします。
プリントアウトする
結論の部分まで文章化することができたら、そのままの状態で一度プリントアウトします。
赤や青の色ペンを持って、校正作業に入ります。
分かりづらい表現をできるだけ分かりやすい言葉に置き換え、また、説明がくどくなっているところをシンプルにするなど、3割を削り落とすつもりで、文章をスリム化します。この時、紙に書き出したものを横に置いておき、一度通したはずのロジックが途中で失われていないかどうかを確認しながら削ります。
このプロセスの中で、新たに思いつくこともありますので、躊躇せずに書き加えます。
画面上で文章を整える
紙の上での校正作業が終わったら、再び画面に向かい、書かれたものを見ながら画面上で文章を整えます。
この作業をしながら、さらに気づくことがあるので、書き加えたり削ったりしながら、6,000~7,000字の原稿に仕上がるようにします。
完成したら、再度プリントアウトして、紙の上でチェックをして完成です。
ざっとですが、いつもこんな感じで約30分の話をまとめています。聴衆の方から「分かりやすい話でした」というコメントをいただくと、苦労が報われた気がして嬉しいです。
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