専攻医の選考に関して

こんにちは、井上靖章です。
毎年夏になると後期研修病院選びの話題が出てきます。とても幸せなことに私達のもとにも毎年多くのお問い合わせ・応募を頂いております。
当院の脳神経外科での専攻医採用についてご紹介いたします。

募集時期・人数

採用させていただく人数はその時の脳神経外科の手術症例数やレジデント・フェローの数、成長戦略に応じて変化するので、年度ごとに異なります。概ね0-2名で推移していますが、急遽募集をさせていただくこともあるのでご興味ある方は一度ご連絡いただければ嬉しいです。
応募は随時受け付けており、それに応じて選考し内定もお出ししていますが、通例6-8月上旬にかけて決まります。春以降に見学にお越しいただき、6月末ごろに応募の意志を表明、7月中に脳神経外科内で選考、その後病院と法人の必要な選考手続きを経て内定をお出しするというイメージです。

後期研修プログラム

国際医療福祉大学成田病院脳神経外科を基幹施設とするプログラムに属しています。後期研修のルール上、基幹施設である成田病院に半年間勤務する必要がありますが、その時期や他の勤務地はプログラム責任者の先生と個別にご相談しております。半年間は成田病院で残りはすべて名戸ヶ谷病院ということも可能ですし、もちろんプログラム内の他の施設で研修の一部を受けていただくことも可能です。

待遇・条件

多くの人の目に触れる場所で待遇面のお話をするのはあまり望ましくないようなのでここには詳細は書きませんが、十分な給与とその他様々な条件をご提示できているものと考えています。これは先代の山﨑誠理事長の方針で恵まれた環境を用意していただいていたことから始まっており、現在の経営者の先生方も同じ方針で若者の未来をサポートしてくれています。具体的には見学にお越しいただいた時などに直接ご質問いただければご説明します。

選考方法

筆記試験等は行っておりません。
これは、私自身が試験の類は非常に得意としていて今までの人生で試験を落としたことは一度もないのですが、その経験からこんな下らないもので優秀な脳神経外科医は選べないだろうという信念を持っていることによります。多彩な能力と多様な人材を求めている当院の脳神経外科では、もちろん勉強熱心な人も求めていますし、それ以外の魅力で活躍する人も同様に求めています。そうした向上心や知的好奇心はお会いしてお話すればわかるのでそれで十分と考えています。
基本的には見学にお越しいただいてチームメンバーと行動を共にしていただき、その時の様子やお話を元に選考しています。

選考基準

必要条件として「私達とチームワークを行えること」
十分条件として「私達にはない魅力を持ってチームに貢献できること」を定めています。当院の脳神経外科には、私がいかなる状況でも覆すことは絶対に許さない唯一の業務命令として「チームワークを行うこと」というものがあります。お互いに迷惑を掛けてしまったり助け合ったりするのは当然ですしむしろ好ましいことさえもありますが、一方でチームワークを乱す言動のある人には厳しく指導をし、それでも改善のない場合はチームを去っていただくことにしています。
ここで言うチームワークとは脳神経外科医だけの話ではなく、電話交換や受付のスタッフから看護師やメディカルアシスタントのスタッフに至るまで、私達と医療を一緒に行っている職員全てとリスペクトしあってお互いを活かし合い責任ある医療を行うことを指しています。
医師は専攻医であっても、ある瞬間の現場のリーダーとして適切な指示を出しその責任を負うことが期待される場面があります。この時その専攻医は一般企業の中間管理職に近い権限を有すとともに、それ相応のリーダーシップを求められます。リーダーシップとはその現場だけで急に発揮できるものではなく、普段のチームメンバーとの関係性や医師としての立ち振る舞いに応じて醸し出されるものだと考えています。日常業務の中からチームメンバー皆をリスペクトし、そして医師として皆からもリスペクトされる存在として活動できるかというのがとても重要であり、選考に際してこの点はとても慎重に評価しています。もちろんリーダーシップそのものは専攻医トレーニングの一部として皆で一緒に学んでいく方針なので、いきなり一人前にできる必要はありません。
医師の中にはとても子供じみた我儘を言ったり、大声を上げて人をコントロールしようとするような小学生でも恥ずかしくなる言動をとる人が何故か多く存在しますが、そういう類の人と一緒に仕事をしたくはないので、リスクのある人はこの時点で選考終了にしましょうというのがこの必要条件の意図になります。
十分条件が分かりにくいとのご指摘をしばしばいただくのですが、要は「他のスタッフとは異なる性格・能力の人がほしい」と言っているだけです。例えば私が得意とする手術や他のメンバーが得意な業務を同じように行おうとする人を採用したいと思っているのではなく、むしろ私や他のメンバーが苦手とすることができる人を求めていて、その能力を発揮し、あるいは教えていただく代わりにご希望の限り手術等をお教えするという関係性がよいと考えています。最終的に手術技術やその他の能力において私達を超えてさらに高い次元で活躍してくれることは更に望ましいですし、そういう志を持つ脳神経外科医の教育に携わりたいというのが私の願いです。
こうして集まった現在のチームメンバーは一人ひとりが個性ある高い能力を発揮しチームに貢献しています。その個性をお互いが頼り合って、任せあって、そして学び合って、一緒に成長していくのが私のチーム運営の方針です。極端なことを言えば、話が面白い、いつも明るくて前向き、寡黙でブレないメンタルを持っている、規律を重んじる、周囲への気遣いがすごい、のような性格だけでも私達からすればとても魅力的です。写真が得意、プログラミングは任せろ、絵を描くのが趣味、ゴルフがプロ級、みたいな能力も一緒にいて楽しいです。そういう個性を持った方はご自身ではあまり気付いていない他の魅力を持っていることが多く、それを見出して引き出し脳外科医として伸ばしていくのが私の役目なので、「こんなのでいいのかな」などと思わず、とにかく積極的に自己アピールしていただければ嬉しいです。この十分条件に関しては、尖っていれば尖っている分だけ素晴らしいと判断しています。

チーム医療と専攻医教育への思い

脳神経外科医としての診療業務は、時として患者さんの人生そのものを背負うことになるためとても重たいものだと考えています。当院の脳神経外科は手術件数や手術以外の脳卒中入院件数が非常に多く、十分な症例数を経験していただける反面、それらを最前線で担う専攻医の先生の負担は非常に大きいです。その中で私達脳神経外科医に求められる知識の量や深さは言うまでもなく、その膨大な知識を駆使して瞬時にかつ柔軟に行う臨床的思考と、その上で成り立つ高度で繊細な手術技術が揃わなければなりません。それに加えて患者さんと信頼関係を構築するコミュニケーション力と現場のリーダーとしてのプロフェッショナルな立ち振舞いが必要とされます。さらには、自身の診療行為を学術的な方法で客観的・批判的に検証して然るべき方法で学術発表しなければガラパゴス化した医療を行うリスクがあります。これら全てを身につけていただくことこそが私の提供したい専攻医教育であり、経験できる手術件数や留学の斡旋のみを誘い文句にアピールしている施設は眉唾ものだとさえ考えています。
私達のチームでは、患者さんに関連する仕事に関しては一切の妥協を認めませんし、時には神経の磨り減るピリついた時間を一緒に過ごすこともあるかもしれません。ただし、そんな責任の重圧を専攻医が一人で背負うのは適切ではないと私は考えており、そのためにチームがあります。何かあればいつでも相談し助けてくれる仲間がすぐ側にいて、オンコールの呼び出しや従来のような時間外労働はなくオンオフの切り替えをしっかりできて心も身体もちゃんと休められる職場でなければ、こんな大変なトレーニングは行えません。勤務時間はハードに働いてトレーニングをし、オフは家族や友人と素晴らしい時間を過ごしてもらう、というのでは及第点で、理想は家族や友人と素晴らしい生活をするために優れた脳神経外科医としての技能を身につけるべく勤務時間はハードに頑張る、という姿勢で一緒に働けたらと願っています。

手術トレーニングと留学について

私の方針で、手術は全てにおいて手取り足取りお教えします。さらにはその様子は音声付きで全て録画しているので、他のレジデント・フェローが受けた指導も全て見られますし、現場に立ち会わなくとも後日復習することさえ可能です。入職直後から出し惜しみなしで全て手の内を詳細にお教えするので、その「型」を入念に身に付けていただき、「型」が身についていることが確認できたら症例数を経験していただくという方法をとっています。一方で、患者さんを実験台にするような教育方法は一切行わないので、予習や復習をせず「型」の学びが遅い場合は、延々と基本手技のみを行うことになります。当院も症例数は多いですが、闇雲に症例数のみ積み重ねても「慣れる」ことにより成長していると錯覚はしますがすぐにプラトーに達して本当の意味で上手にはならないので、この「型」を身につけることをとても大切にしています。「型」の伝承はひとつひとつ言語化しながら実演を通じて行うので、あとは各人の努力次第で身につけることができるようにしています。また、ある次元を超えた高度な脳神経外科手術を行うには顕微鏡の使い方と顕微鏡下での安定した繊細な操作が大前提となるので、手術で使用している時間以外は実際の手術顕微鏡を使用して練習してもらえるよう物品を準備しています。
これも私のこだわりで、臨床留学を含めた留学を奨励しています。人脈等で私が協力できることは惜しみなくお手伝いしますし、学会や研究会等の対面の場でアピールする機会も積極的に提供します。留学の時期やその後のキャリアについても、各人の希望や個性を尊重して決めていただけます。一緒に働いている仲間へ不要な負担をかけぬよう、突然いなくなるみたいなことは困りますが、計画的に相談していただければ自由なキャリアを思い描いていただけます。私の恩師である先代の山﨑誠理事長の「うちをベースキャンプにして世界に羽ばたけ」という言葉と、これまた私の恩師である松澤和人院長の「うちではどんな選択肢も不可能なんてあり得ない」という熱い想いを伝承し、世界で活躍できる尖った脳神経外科医を養成することができればそんなに幸せなことはありません。

さいごに

この記事には専攻医トレーニングの話を書きましたが、実際の病院では患者さんのケアを行うために膨大な数の職員が働いています。その一人ひとりに人生があり家族がいます。医師は病院の看板としての重要な役割を担っており、その一挙手一投足に全職員とその家族の人生がかかっていることを自覚しなければなりません。
また、患者さんの関わる仕事は模範的に行わなければなりませんが、それ以外の業務に関しては楽しくなければみんな疲れてしまいます。そうした業務を私は「おもしろ半分で」行うことを禁止していて、「おもしろ全部で」行うことを求めています。個性を発揮して息抜きを兼ねた楽しい活動を行い、それを日常診療の質の向上につなげていくことはとても大切で、そこで活躍する個性やアイデアを提供してくれる人もまた私達のチームが求める人材です。
自分自身と家族の人生のために、チームのために、そして仲間とその家族のために、一緒に高みを目指す方の応募を心からお待ちしております。

Mail: nadogayansgyaid@gmail.com


―私たちが、地域医療から脳神経外科医療を変えていく―
―世界最高水準を柏で―
名戸ヶ谷病院 脳神経外科
Tel: tel:0471678336(代表)
〒277-0084 千葉県柏市新柏2丁目1-1


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