撫子凛

イラストレーター、画家。 歌舞伎、着物、日本美術、江戸時代のものが好き。 主な著書/2…

撫子凛

イラストレーター、画家。 歌舞伎、着物、日本美術、江戸時代のものが好き。 主な著書/2021年発売『イラストでわかる お江戸ファッション図鑑』(マール社)など ホームページ http://nadeshicorin.com/

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【新刊】 小袖雛形ファッションブック

マール社様から新刊が出ます!!!! 2024年4月26日頃発売 小袖雛形ファッションブック イラストで楽しむ江戸着物の文様とデザイン 江戸〜明治頃までの服飾を網羅した書籍です。 今回は文様や染織について特化した内容になっています。 全ページ完全描き下ろし!コラムも満載で読み応えたっぷりです! 既刊『お江戸ファッション図鑑』をお持ちの方も 楽しめる内容になっていると思います。 未読の方は、2冊まとめてどうぞ! 今回は、私の持ち込み企画で出版させていただいた書籍になりま

    • お江戸スタイルブック no.017

      寛政期(1789~1804年)頃の芳町の陰間。 桜文様の振袖羽織が可憐です。 振袖の羽織は、女性には着れないものです。 まさに若衆(少年)だけの特権おしゃれファッションだと思う。 陰間とは男娼の通称で、 元々は年少の歌舞伎役者の売色がルーツです。 この頃になると陰間産業は下火になっていき、 天保の改革(1841〜1843年)で完全に禁止されてしまいます。 引用元の作品は、細見美術館に所蔵されています。 ここに載せても良いかわからないので、 アップはできませんが こちら

      • お江戸スタイルブック no.016

        江戸時代後期の遊女。 半幅帯を簡略的に締めて、 額仕立ての中着を羽織ってるので、これは寝間着の状態。 格子柄にヘチマの絵柄が可愛すぎる。 右手に懐紙を持ちこれから床入りなのか、 それとも朝起きてきたところなのか。 「お疲れ様です」と声をかけてあげたいですね。 引用元の浮世絵は、使えそうな画像がありましたので 載せておきます。 このアンニュイな雰囲気に、一目惚れした思い出。 渓斎英泉らしい、色気たっぷりの美女。 『おゐらんだかがみ』は、「花魁」と「オランダ」をかけ

        • お江戸スタイルブック no.015

          江戸時代前期頃の遊女。 髪は『御所風髷』という下げ髪が変化した髷です。 上流が中流に移り花街まで及びました。 江戸時代初期は女性の着物も細帯で、 袖口が小さいのが特徴。 右手で褄を取りポーズを決めるその姿絵は、寛文美人図といわれる様式です。 「寛文美人図」とは寛文期(1661 ~ 73)頃に流行したとされる、美人画の形式で、大胆なデザインの寛文小袖を身に纏っています。 引用元の作品は、こちらの画集に載っていたもの。 2015年に開催された展覧会図録ですが、版元が小学

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        【新刊】 小袖雛形ファッションブック

          お江戸スタイルブック no.014

          江戸時代後期の芸者。 御高祖頭巾(おこそずきん)を被り 手拭を首の所で結んでいます。 上衣は道中着と呼ばれる雨合羽で、着物の上から着て、 しごき帯を腰の位置で結びます。 個人的に、中の帯の入ってる部分がボコってなってるの好き。 今も昔も冬のモコモコは女子力アップ。 使える画像がありましたので、引用元の浮世絵をご紹介します。 相変わらず、ボストン美術館様様ですな。 ご覧ください、この可愛らしさ! シンプルな中に、帯の柄や下駄の鼻緒の布などに気を遣ってますね。 国貞

          お江戸スタイルブック no.014

          ほんとうの吉原について

          前回の続きです。 前回のマンガはこちら。 ご感想などぜひお待ちしております。

          ほんとうの吉原について

          芸者と遊女への系譜

          目からウロコが飛び出た話。 このことがきっかけで、 「ほんとうの吉原」について色々と調べてみようと思ったのでした。

          芸者と遊女への系譜

          お江戸スタイルブック no.013

          江戸時代後期を代表する役者 三代目 尾上菊五郎。 江戸男子の防寒もモコモコで可愛いのです。 月代が寒いので頭巾でガード。 格子柄の長合羽の裾から中着の着物がチラッと見えるのが萌えです。 足元寒いので股引と足袋。 下駄の爪先には泥除けつき。 三代目 尾上菊五郎は、私の推しです。 彼はエピソードに事欠きません。 それぐらいキャラが濃く、周囲を魅了した人物だったのかがわかります。 文化文政期(1804〜30)は、特に良い役者が揃っていました。 七代目 市川團十郎、五代目

          お江戸スタイルブック no.013

          お江戸スタイルブック no.012

          江戸時代中期頃の、武家の若侍。 小花柄の裃に振袖の若衆。 振袖の文様は羽と紐の意匠です。 現代では「振袖といえば女子」というイメージが強いですが、 本来は若衆(少年)の装いを 芸人の女たちが真似たという説があります。 振袖若衆の破壊力! かわいすぎる…!! 特に、上下(かみしも)+振袖+袴 という組み合わせが、個人的にツボ。 引用元は、西川祐信の肉筆画です。 紹介できそうな画像を探しましたが、見つからなかったので 載せるのはやめておきます。 こちら、ボストン美術館

          お江戸スタイルブック no.012

          SNS投稿から書籍化するまで、実践していたこと

          SNSなどでバズったことにより、書籍化した! …などという話を一度でも見聞きしたことのある人は多いと思います。 「どうしたら書籍化なんてされるの?」 「私には縁遠い話だなぁ…」 「バズったら書籍化だなんて、都市伝説に決まっている」 と大抵の場合は思うのではないのでしょうか。 かくいう私もその一人でした。 華々しい活躍をする、漫画家やイラストレーターなどの ツイートを見ては、ルサンチマンに心を蝕まれる日々。 才能のある人たちを見ては、羨ましいなと思う。 「他人と比べるな」

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          SNS投稿から書籍化するまで、実践していたこと

          お江戸スタイルブック no.011

          文化文政期(1804〜30)を代表するスーパースター。 『目千両』こと、五代目・岩井半四郎(いわいはんしろう)。 女方は、舞台を降りても女性の装いです。 額の野郎帽子(紫帽子)で役者ということがわかります。 江戸っ子にとって役者はファッションリーダーでもあるので、私服も気が抜けません。 全体的にピンクや紫などを基調にして、フェミニンな雰囲気。 男性だなんて、言われなければ絶対に気がつかない… どこからどう見ても、目がぱっちりとした絶世の美女。 国貞センパイは、数多の役

          お江戸スタイルブック no.011

          江戸時代の帯結び

          着物の帯結びの種類が、どれくらいあるかご存知ですか? 現代着付けの帯結びで すぐ思いつくのは、 お太鼓結びか、文庫結びくらいでしょうか。 ここでは、江戸時代以降の帯結びを一覧にしてまとめてみました。 いかがでしょうか? 多種多様で驚かれた方もいると思います。 これでも一部で、実際はもっとあっただろうと思われます。 ただ資料が乏しいため、皆様にご紹介できるのは これくらいが妥当かなと考えております。 女性の帯結びの主な参考資料は、『都風俗化粧傳(みやこふうぞくけわいで

          江戸時代の帯結び

          お江戸スタイルブック no.010

          江戸時代後期頃の芸者。 コートが可愛すぎる件…『被布』です。 これは襟を立てたタイプ。 雪の日だって、オシャレに余念がないのが江戸女子。 おしゃれ番長の芸者!であります。 枯葉柄の裾模様の着物。 裏地とフキが縞模様で、蝶々が舞っているというのがまた…! 素足にモコモコ鼻緒もキュート。 とにかく抱きしめたくなるくらい可愛い。 渓斎英泉(けいさいえいせん)(寛政3年(1791)〜 嘉永元年(1848))は、江戸時代後期を代表する浮世絵師です。 杉浦日向子先生の『百日紅』

          お江戸スタイルブック no.010

          お江戸スタイルブック no.009

          江戸時代前期頃の舞姫。 大太刀と御幣を差し、烏帽子を被っている、男舞の姿です。 平安末期から鎌倉時代に人気を博していた、 男装姿の遊女・『白拍子』の装い。 白拍子は本来、水干に緋色袴姿ですが 江戸時代になると衣裳は振袖姿になり、色も華やかで派手派手になり まさにかぶき者!といったところです。 れから歌と舞を客に披露するところなのかもしれません。 西川祐尹(にしかわ すけただ)(生年不明 - 宝暦8年(1759))は、 京都の浮世絵師で、西川祐信の長男です。 父のもとで

          お江戸スタイルブック no.009

          お江戸スタイルブック no.008

          江戸時代後期頃の若衆。 江戸時代のコートに萌える…! 紫に格子柄の長合羽なんて、可愛すぎです。 腰には道中差とたばこ入れ。 若衆の髪型は後期に近くなってくると、髱はなくなり、髷の根が高くなり、髷自体が太くなる傾向にあります。 歌麿が描いてる若衆髷に近いかなと。 引用元の浮世絵は、2014年に太田記念美術館で開催された 『没後150年記念 歌川国貞』展で展示されていたものです。 こちらの図録の35ページに載っている子です。 日本浮世絵博物館の所蔵品で、パブリックドメイン

          お江戸スタイルブック no.008

          お江戸スタイルブック no.007

          江戸時代後期頃の、大坂の芸子。 上方(かみがた)の女性は華やかです。 帯の意匠は輪の周囲に柄杓をつけた『柄杓車』と呼ばれている柄です。 江戸前期から流行しているデザイン。 「芸者」という名称は江戸(東京)だけに限ったものです。 なので関西の場合は、芸子(または芸妓)と呼びます。 髷の端にちょんと差さっているのは『髷止(わげどめ)』というもの。 守貞漫稿に「従来江戸にて無用の具なり」とあるように、 上方だけで使われました。 びらびら飾りつきの簪を後ろに挿すのも、 江戸で

          お江戸スタイルブック no.007