ヘッダー191129

おひとりさんいらっしゃい!

新聞を眺めていてふとこんな記事に目が止まった。

外食、おひとりさま歓迎広がる ファミレスは快適な半個室
ファミリーレストランなどで「1人専用席」が徐々に広まっている。1人で食事をする人や仕事などの作業スペースを求める人が増加しており、生活スタイルの変化に対応した形だ。半個室でコンセントを備えるなど快適さを重視。1人客の取り込みを図っている。農林水産省の食育白書(2017年度版)によると、週の半分以上、1日の全ての食事を1人で取る人の割合は、17年が約15%で、11年の約10%から上昇。業界は1人客のニーズに着目し、設備も充実させて外食の新たな楽しみ方を提案する。ファミレスの「ガスト」では18年から「おひとり様専用席」を本格導入した。
(神戸新聞 2019/11/23)

画像2

狭っ苦しい一人席に座り、オレンジジュースとアイスコーヒーのようなものを飲みながらノートパソコンを見つめる男性の写真。もちろん充電用のコンセントも装備されている。頭に浮かんだのは1970年代を一世風靡した学習机だ。本棚には蛍光灯が組み込まれ、時計、温度計、湿度計、鉛筆削り(オプション)などがビルトインされたシステム机。

画像1

どうよ、このコクピット感。

たぶん同じような机(もっとオプションは少なかったかもしれない)を使っていたせいか僕もおひとりさま好きで、大勢で遊ぶよりもこの机で落書きしたり図鑑を眺めている方が楽しかった。それは今も同じで居酒屋で周りが盛り上がるとそっと帰りたくなるし、忘年会とかほんと苦手で、乾杯した瞬間におひとりになりたいと思ってしまう(要はコミュ障)。かと言って、記事にあるようなファミレスおひとりさま席には座りたくない。家の中ならまだしも公衆の面前でこの姿をさらすのはちょっと気がひける。

そんなおひとりさま志向の貴方(俺か)にオススメなのが朝9時のロイヤルホスト西灘店だ。ロイヤルホストといえば24時間営業のイメージがあるが、2017年にすべての店舗で取りやめた。朝9時のロイホ西灘店は清々しい。どれくらい清々しいかというと朝8時半の喫茶ドニエくらい清々しい。じゃあドニエ行けよって話なんですけどこれが違うんだな。

画像3

テーブルが広い!

6人座れるボックス席の広いテーブルをおひとりで占有することができる。シートの背が高いので周りの客と目を合わせることもない。まるで3段式B寝台車のボックスをおひとりで独占しているような優越感がある。しかもファミレスの真骨頂であるコーヒー飲み放題つきだ。毎週月曜日の朝は窓の外を行き交う車や人(おそらく彼らはこちらに気づいていない)を眺めつつ、摩耶山を仰ぎながら、この広いテーブルにスケジュール帳、ネタ帳、プロジェクトの資料などを広げ1週間の構想を練ることにしている。と書くと、やり手の実業家みたいだがそんなことは全くなく、しがない極小零細企業のタコ社長にすぎない。そんなタコでも清々しいブレックファーストタイムが過ごせる。タコツボのようなおひとりさま席ではこうはいかない。

おひとりさま席を求める人は「お前らこういう場所欲しいんだろ?」という企業の思惑にまんまと引っ掛かってるに過ぎないのではないか。場所が欲しいなら探せばいい。発想を変えればいくらだっておひとりさまになれる。もちろんTPO次第では喫茶ドニエもいい。街(店)がライフスタイルに対応するのではなく、街にライフスタイルを合わせる。それが「その街で暮らす」ことの醍醐味ではないだろうか。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?