見出し画像

夢がないと嘆く君たちへ 「夢をまず最初に決めろなんて誰が言った?」

「やりたいことがなくて、、、。」

こんにちは。
生徒と未来について話していると、なんとなく思うことがあります。
「今夢ややりたいことが決まってなくて…。だから進路については何も考えてないです。」

うーん。教員という立場上、高校1年生から進路について尋ねることをやっぱり避けては通れません。ただ、まだ1年生だからかもしれませんが、明確にどの大学をどの学部というところまで決めるのは厳しいみたいです。

なるほど、半年前までは中学生。高校に入ってまだ日が浅いために大学というところを今ごろ考え始めたのかもしれません。確かに、彼らにとってまだ大学や学部学科、学問とは未知の世界で、どこから手をつけていいのか分からないのも当然です。

ですが、引っかかるのは、「夢ややりたいことがまだ決まってないから」
なぜ、今の子どもたちは、夢ややりたいことをまず決めてから逆算して大学や学部を決めようとするのでしょうか。
不思議なことに、そのやり方が王道かのようにほとんどの生徒がそう思っているように感じます。

もちろん、何かやりたい職業や、夢を強く持ち、それを実現するために大学や学部学科を選ぶのは理想的な進路選択の1つです。

しかし、どれぐらいの実際に職に就いている社会人が学生時代に事前に夢や職業を決めてから、今ある仕事についているのでしょうか

大学4年で見つけた進路選択の瞬間の数々

そう思ったのは大学4年の時。
私の周りの友達は明確な職業をあまり決めておらず、様々な職種のインターンやエントリーシートを書いてる人も数名いました。インターンや教育実習があり、久々に夏前にあった友人たちは、
 「観光系しか考えていなかったけど、インターン行ったらメーカー系面白いと思った。」
 「一般企業と思ってたけど、教育実習行ったら教員になりたくなった。」  
 「丸の内OLなんていいと思ったけど、留学して海外で働きたい!」
ということを口にしていたのを今でも不思議と覚えています。
大学4年と、社会に出る直前になって、自分の進路を変えた。そして、いま社会人として就職した場所で頑張っている。

その友人から得たことは、夢なんて早く決める必要なんてない。ということ。思い描いていた夢も、単に選択肢がまだ広がっていない状態でものもだった可能性があります。インターンや企業の説明会にいくことで知らなかった世界を知り、そして、選択肢が増えたことで改めて進路ややりたいことを考え選択したのだと思います。

そのように考えてみると、中学生、高校生の時に思い描く未来というのはまだ不確実で、まだどのような仕事や職業があるのか見えていない可能性が高いです。その状態で、夢ややりたいことを決めてから学部学科を考えるというのは難しいことを強いているのではないでしょうか。

夢がないと嘆く君たちへ

このような経験を踏まえて、今の子どもたちへ伝えたいことがあります。

なぜ、君たちが「夢」や「やりたいこと」を決めることを先手として捉えているのかは分かりません。君たちもなぜ?と言われると、答えるのが難しいのではないでしょうか。

おそらく、それが「当たり前」と思って疑わなかったから。と私は予想します。君たちがおそらく考えていた未来には、どこか正解やお手本が少なからずあり、「〜〜するなら〇〇学部」「安定を考えるなら経済学部」「一般企業に勤めるなら経営」などなど。きっとそのような考えにどこかで触れてきたのかもしれません。

ただし、君たちがこの先生きていく未来は、予測困難で先行き不透明なVUCA時代です。「安定」も「正解」も誰も分からない未知の世界で強く逞しく、流されることなく生きていかなくてはなりません。変化も当然今以上に激しいです。考えることをやめてしまったら、進むことができず取り残されてしまいます。
だからこそ、今は「正解」や「あまり前」にこだわることなく、むしろ、そのような変化に耐えうる「自分」という軸を大切にしてください。

キャシー・デビッドソン氏の言葉を借ります。もう2011年と12年前ですが、ずばりと今の現状を言い当てています。ニューヨークタイムズ紙のインタビューで語った言葉です。

2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう

65%という数字に対しては、正確なデータの所在などで議論されているようです。ですが、ここでの話としては、その数字の正確性よりかは、そのような考えがあるということを踏まえての今の現状を見るきっかけとして引用します。

10年前、このような社会になると誰が完璧に予想できたでしょうか。
そして10年後には、どのような社会になるのでしょうか。


これからはもっと、想像し難いものが皆さんを待ち受けています。今考えている仕事ももしかしたらなくなったり、より適正にあった仕事が生まれたり。君がその仕事を作ったり。
だから逆算することよりも、「自分」が何をしたいのか。それは職業ではなく、地球市民として生きる者として、どのように社会と関わりたいか。自分という存在をどう生かしていきたいか。
まずは、学生のうちに、自分のキャリアを作っていく上でのコンパスを探していきましょう。

そのコンパスを作るのが難しい。職業を決めるよりもどう探して作っていくかが分からない。そんな声が聞こえてきそうですね。そのヒントは意外とみんなの近くに落ちていると思いますよ。

君たちは16年近く、生きていて「楽しい!」「〜〜しているときの自分はすごく好きだ」「頑張りたい!」と感じる時はありますか?おそらく0ではないはず。なぜそれが「楽しい」「充実」した時間なのですか?それは、自分がどう他者や社会、環境と関わっていますか?その自分の「楽しい」と心から思える原因を深めたり、学問敵視点から見てみると何かヒントを得ることができるのかもしれません。

そして、君たちと一緒に過ごす時間、なるべく私は君たちにとって、選択肢や進路が広がる工夫をし続けていきます。「決めてこい」なんて任せっきりするのではなく、一緒に考えていこう。大丈夫。私だってまだ自分のキャリアを作っていく途中の段階です。今の生活をしながらこの先の未来を考え一つひとつ選択しているのです。
大人だって今や転職は当たり前となっているんだもの。君たちも一つの道にこだわらず、だからこそコンパスをしっかりと携えて行けるように未来を思い描いてください。

未来を考える姿勢をどうか、どうか忘れないでください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?