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戦略人事:人材の流動化は仲間意識を優先する企業文化を変えることを求める(出戻りを不利益にしない人事制度の構築)

■人手不足のアンバランス

2023年春。新型コロナが若干収束し、日常が戻ることにより経済活動が活発になってきている。その影響は、急激な経済活動について行くだけの人財確保が難しいという状況を作り出している。

一方で、すべての企業が等しく好景気になるわけではなく、以前業績が伸び悩む企業では人あまりが起きているという。

○深刻化する人手不足のウラ側 「人余り」の業種も...
2023年4月24日

新型コロナの制限緩和で景気が上向く中、人手不足が深刻化している。
東京商工リサーチが、全国4,445社に行った調査によると、正社員が足りないと答えた企業は、66.5%にのぼった。

一方、出版不況に苦しむ印刷業界では、「正社員が多すぎる」という企業が、26%と最も多く、広告業も、17%と第2位。

東京商工リサーチは、人が余る業界が固定化しているとして、運送業など人手不足の業界へ、労働力を移す支援が必要としている。

https://www.fnn.jp/articles/FNN/518671

正社員が足りないと言う企業が66.5%と言うことは1/3の企業では十分か余っていると言うことになる。

これは、企業の中でも同じことが言える。忙しい部門もあれば、そうでもない部門もある。DX人材が不足している一方で、中堅以上の管理職層は余っており、リストラしたいというドライブは消えてはいないだろう。

人手不足の偏向はいつでもある。

■人的資本開示

人的資本開示は、プライム市場からの要請ではあるが、その本質は人の働き方を最適化することを企業が行なう義務を示している、

伊藤レポート、あるいは政府の出しているガイドラインについて、そうした意図で読むとまた違った見方ができるだろう。

人的資本(私はこの言い方は好きではないが)は社会財と考えるのであれば、その流動性を高めなければならない。そうしないと、企業が活躍の場を与えないまま人を死蔵させかねない。それを打破することが人的資本開示でもできれば良いと思っている。

しかし、日本の企業文化がそれを拒む。

○「出戻り歓迎」で日本型雇用システムは変わるか? 即戦力だがジョブ型前提
2023.03.27

終身雇用・年功序列が前提だった伝統的な日本企業では、転職して他社に移った社員を「裏切り者」「脱落者」とみなすことが多かった。

出戻りを忌避する傾向はいまだに伝統的日本企業の間には根強く残っている。

https://gendai.media/articles/-/108134

■人材を市場に供給させる

もっと人が企業に出入り自由にさせるべきである。

「出入り自由」な雇用体系に変えるには、「ジョブ型」雇用に切り替えていく必要があるわけだが、現実にはそうなっていない。さらに、他社での勤務経験や、留学して取得した学位などを加算評価する仕組みを持っている日本企業はまだまだ少なく、留学や転職によるキャリアを経ても、同年齢の社員と同格で再雇用するのが精一杯で、経験をメリットとして給与などを増額する仕組みにはなかなかできていない。

これを解決する為のヒントは現在の転職支援サイトであろう。今は故人が自分でキャリアを登録するが、もっと積極的に企業が自社の社員のキャリアを公開するようになったらどうなるのか。

引き抜きなどの心配はあるかもしれないが、自社の魅力を増せば頼適した人材を獲得できる。

部分最適ではなく全体最適を考えるべきである。

<閑話休題>

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