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世間に転がる意味不明:漠然とリスクを考えていてはいけない(ダイハツの問題と景気後退の予見)

バタフライ効果は予測できないところに怖さがある。

■来年の見通し

○24年度は実質1.3%成長、消費・投資が伸び 政府見通し
2023年12月21日

政府は21日、2024年度の実質成長率を1.3%プラスとする経済見通しを閣議了解した。7月時点から0.1ポイント上方修正した。国内総生産(GDP)は実額でみると過去最高を更新する。個人消費や設備投資が伸びて、日本経済が緩やかに回復する姿を描く。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA208JU0Q3A221C2000000/

政府の政策目標になる。
これは、「景気が悪くなる」「賃金が上がらない」という事態になれば政権が持たないという恐怖から来ていると思う。

しかし、これは「ダイハツの不正問題」でご破算になる可能性もある。

■生産停止の影響範囲

ダイハツ工業の向上の全てが生産停止になり、それがいつまでかは分からないという。

○ダイハツ 国内4つのすべての自動車工場 来週から稼働停止へ
2023年12月21日

国の認証取得の不正問題で、すべての車種の出荷を停止したダイハツ工業は、国内4つのすべての自動車工場で来週から稼働を停止することになりました。今後、国土交通省が基準への適合を確認する方針で、会社は生産再開の見通しはたっていないとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231221/k10014295231000.html

(参考)
○ダイハツ 福岡のエンジン工場停止 来週から国内の全工場停止へ
2023年12月22日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231222/k10014296791000.html

これにより、ダイハツの生産する自動車は全て生産停止となる。
ダイハツの軽自動車はOEMで供給されており、トヨタ、スバルが供給を受けている。

ダイハツだけでなくOEM供給を受けている自動車メーカーも販売できないことになる。
自動車の生産停止は影響が大きく、直接に影響するのは「自動車部品」「鋼材」や、その川上産業である「プラスチック製品」「産業用電気機器」「非鉄金属加工製品」「鋳鍛造品」といった産業に加え、「商業」や「対事業所サービス」等にも影響が及ぶとされている。

販売を行なう自動車ディーラー、工場のある自治体にとっては雇用問題や住宅問題、飲食産業、宿泊産業にまでおよび心配をしなければならない。

(参考) 
自動車減産のマクロ経済的影響
https://www.dlri.co.jp/report/macro/172619.html

■影響の大きさ

GoogleのAI(勝手に検索君と呼んでいる)によれば、

2022年度の軽自動車の新車販売シェアは、ダイハツが33.4%でメーカー別で首位でした。ダイハツは2006年度から17年連続で軽自動車販売シェアで1位を獲得しています。
国内の自動車市場に占める軽自動車の比率は40.3%で、3台に1台以上が軽自動車です。1980年ごろは20%前後でしたが、最近は40%近くに達しています。

とある。単純計算すれば、ダイハツの軽自動車は、自動車産業の10%になり、ダイハツがコンパクトカーなどを生産していることを考えると、それ以上の影響であろう。もちろん一年間生産できないとはならないかもしれないが、今までの生産して販売した自動車への対応、すでに流通している中古車市場への影響を考えると、やはり10%程度と試算していても良いかもしれない。

先の「自動車減産のマクロ経済的影響」によれば、

我が国の自動車年間▲10%減産により▲5.3兆円の名目GDPと▲4.4万人の就業者数が消滅する可能性がある。

とある。日本のGDPがドルベースで4.2兆ドルであり、5.3兆円が145円/ドルで計算すると、
(5.3100)/(4.2145)= 0.87% の下方圧力になる。

”24年度は実質1.3%成長”というが、0.5%も無い状況になる。
それは軽視して良い話ではない。

■バタフライ効果を甘く見てはならない

自動車販売の低下は自動車税の減収になり、政策に予期せぬ影響を与える。確実の自治体の歳入に影響を及ぼすことになるだろう。

自分は直接関係ないなどと楽観視することは危険である。
どんな副作用が発生するかは誰にも分からない。

一年後、今年の経済のこれは「ダイハツの工場停止」によるものだったのかと振り返ることもあり得る。

事業の前提条件を見直して欲しい。
今云えることはこのぐらいだろうか。

(2023/12/23)

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