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世間に転がる意味不明:問題を混ぜてはいけない(人手不足問題とライドシェア)

ライドシェアで解決すべき問題は特定化しないと政策評価はできない。
そもそもの発端は2024年問題だが、その背景には「貧困」がある。
普通の働き方で生活できない方が問題なのである。
それに関するKPIは設定できるのだろうか。

■人手不足の問題の本質

2024年問題で運転手の不足が話題になっており、それは運送業にまで広がっている。
タクシーだけでなく公共交通としての地方のバス、それ以外の分野にも波及している。

○高速バス「運転手不足」で路線廃止が続く深刻度
2023年は路線の休廃止が続々とニュースに
2023/11/20

こうした事態は、これまで路線を延ばしてきた高速バスにおいても起きつつあり、高速道路の延伸とともに、都市間輸送や大都市と観光地を結ぶ路線に確固とした地位を築いてきた高速バスの脆さが、一気に表面化しているといえる。

https://toyokeizai.net/articles/-/715098

こうした問題で採り上げられる2024年問題は従事する人々の労働時間問題として取り上げられているが、賃金の問題に言及する報道は限られている。

当然8時間の中で運行が難しいサービスもあるだろうが、それはシフト制で対応できるはずである。事実、二交代制で24時間サービスをしているところは、日勤、夜勤と休憩を旨く組み合わせている。

問題の本質の一つは「低賃金」である。これはタクシーのもつ構造の問題でもある。
タクシーは待機時間やお客を降ろしてからの流しの時間は収入が無い。すなわち、人を乗せてナンボの世界である。

しかしタクシー運転手は被雇用者である。多くはやはり時間給よりも歩合給の影響を受ける。お客様が少なければ実入りは少ない。過疎地や一の少ない地方都市では致命的である。
そこでは「8時間の勤務では生活ができない」状況が発生し、これがさらにタクシー運転手のなり手を遠ざける。

貧困対策がセットにならなければ解決されない。

■施策の意味不明

○タクシー不足の解消なるか。ライドシェア、2024年4月に導入。どう変わる?
政府は12月20日、タクシー会社の管理のもとで一般ドライバーが有償で乗客を送迎する「ライドシェア」を2024年4月に導入することを決めました。
2023年12月20日

タクシーの配車アプリのデータに基づき、タクシーが不足する地域や時期、時間帯を特定し、一般ドライバーを活用できるようにする。

ドライバーの教育や車両整備、運行管理や運送責任はタクシー会社が担う。

利用者は配車アプリを使って依頼し、支払う料金はタクシー運賃と同額を想定している。

また、既存のタクシー会社以外の新規参入を認めるかどうかについては議論を続け、2024年6月までに結論を出す。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_658275aae4b085747d67a0c0

これが意味するところは、運賃収入のメカニズムは変わらないと云うことだ。
タクシー会社は、ライドシェアで使用される個人所有の自動車まで管理しなくてはならないのでコストアップにつながるだろう。

そして、一般ドライバーに顧客を取られるようになれば歩合制である既存の運転手の給与が影響を受けるかもしれない。

一般ドライバーも専業でなければいつもできるわけではなく、またウーバーイーツのように運送時間だけで支払いが行なわれるのであれば、彼らの人権や生活権が脅かされる恐れがある。

■政策の成功を測る指標

タクシー不足を補うと云うが、一般の乗用車による配車サービスをタクシーと呼ぶのだろうか。それは、配送能力の向上でしかない。

タクシー運転手の不足を解決するというのであれば、現在の形態のタクシー運転手が増えなければならない。しかし、ライドシェアはタクシー運転手の不足を代替メカニズムで解決するものである。それはタクシー運転手の総数の増加とは関係ない。なぜなら、タクシー運転手の賃金問題を解決しない限り、その担い手は増えず、収入機会の減少はタクシー運転手の減少を助長する。

「政策の成功を測る指標」は思いつかない。

また、タクシー運賃への運賃ではなく、賃金問題にまで踏み込めないのかと悩む。

○トラック標準運賃、8%上げを提言 国交省有識者会議
2023年12月15日

国土交通省の有識者会議は15日、トラックの車種や距離別の1回の運行あたりの運賃を示す「標準的な運賃」を平均8%引き上げることを提言した。荷物の積み込みや積み下ろしの対価も新たに明記する。荷主との価格交渉を促し、適正な運賃の設定をめざす。

「標準的な運賃」は貨物自動車運送事業法に基づく告示で、国交省の調査によるとトラック事業者のおよそ5割が運賃交渉に活用している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA156KH0V11C23A2000000/

(2023/12/25)

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