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非難するだけでは解決できない(人手不足が生み出すもの)

■確信犯的な法令違反

 2021年から2022年にかけて、検査データの不正など安全性に疑念を抱かせるような事件が相次いだ。こうした不正は、直接的な防いであり、もの作り自体の信頼性をおとしめる。

 スシローなどの消費者を混乱あるいはだます行為も許されることではない。人権などへの無遠慮な発言にも眉をひそめる。

 そうした中で、見過ごされやすい法令違反もある。以下の二つの記事は考えさせられる。

(1)パナソニック子会社で2万件超える法令違反 3年前の違反確認で適切な対応せず 「主任技術者」不在など
09月29日

工事の際に、法令で定められている「主任技術者」を配置していなかったなど7つの違反が確認されています。

3年前に違反が確認されていましたが、販売店の利益を優先して適切な対応を取っていなかったということです。

注意 (関西テレビの記事 削除されています)

(2)系列店に「忖度」、是正遅れる パナ子会社で不適切工事2万2千件
2022年9月29日

全国の系列家電店から大型家電の設置業務を受託していた。エアコンやテレビ用アンテナなど、電気工事を伴う設置工事には主任技術者が立ち会う必要があった。

 だが調査報告書によると、2012~22年度に同社が受注した2万2718件のうち、98%にあたる2万2293件で配置を怠っていた。ほかの修理工事など528件でも不配置だった可能性があるという。建設業法に対する理解不足が原因だったとされた。

https://www.asahi.com/articles/ASQ9Y6HGKQ9YPLFA002.html

 問題なのは、おそらくは確信犯的であることと、それほど悪いと思っていないのではと思うことだ。

■人手不足の思わぬ危険性

 知っていながら安全を犠牲にしていると思われる事例はまだあるのではないかと思っている。

 例えば、建設現場での落下事故、先日の富士山でのバスの横転事故などは、人手不足がその背景にあるのではないかと思っている。

 私は現在ISO9001:2015の審査員をしている。その中で、記録の不備や顧客クレームの対応のまずさ、現場の安全管理の不備など、いくつかの問題の背景には「人手が足りない」なども影響している。法令違反とまでは行かないとしてもアブナイと思う活動のいくつかは、人手不足を理由に放置している例がある。

 ばれたらばれたでその時に考える、と言うことを意識していないまでも、そう邪推しそうな事例が散見される。

■調達できないリスクウ

 人手が足りないから、採用に力を入れるとか、同業他社と融通するなどと言うことは悪手ではないものの、根本的に人が少ない中での対策としてはどうかと思う。

 非常に難し事は分かっているが、結局は生産性向上につきる。その時に注意しなければいけないのはプロセスあるいは工程を省略してはいけないと言うことだ。

 どういうことか。

 その仕事は、安全性などの観点から二人で行なう必要があり、その二人が4日かかる仕事があったとする。生産性を二倍にすると言うことは、一人で4日でできるようにするという事ではない。二人で二日でできるようにするということだ。

 これを疎かにすると、安全性や仕事の質が疎かになり、手抜き工事や法令違反を招きかねない。

 これは、簡単ではない。本当の意味での事業プロセスの再構築をしなければムリである。それができないので、安易に素人に仕事をさせると言うことが起きる。

■助言

 さて、簡単ではないのだが、正論を言えば下記を経営者は考えなければならない。

(1)不要な仕事の排除
 簡単なところでは、連絡だけのための会議、上司の自己満足のためだけの部下からの報連相、データの二重登録、あるいは見直すことのない書類の作成。辞めることのできるものを探して辞める事だろう。

(2)儲からない仕事の排除
 人数に適した仕事量というのがある。仕事を断るというのはとても勇気が要る。しかし、利益率の低い仕事、利益率はあっても社員に過負荷になる仕事は断ろう。いやいや仕事をするのは本末転倒である。

(3)できない理由を探すことを辞めること
 仕事の改革は未知への挑戦である。不安が先行して、どうしてもできない理由を探しがちになる。特に、取締役と言った階層が抵抗勢力になりやすい。できない理由ではなく、やり遂げるための方策を話し合おう。

 さて、分かってはいるがと考えているあなた!その時点で改革はできない。

<閑話休題>

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