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顧客価値経営への不安(重視すべきものは何か)

■ガバナンス

現在、企業は目先の顧客ではなく社会に目を向けることが求められている。もちろん、企業である以上利益の確保は生存条件にはなるだろうが、それだけに邁進する事への非難は免れない。
 日野自動車の不正問題などは、その典型であろう。
 こうした会社で再発防止策を作ると決まって「組織改革」の文字が躍る。
 しかし、私が見る限り、そもそものガバナンスが機能していないことは明らかであり、こうした点での取り組みをしないと市場から見放されるだろう。
 投資基準としてのESGが話題になってから久しく、投資家は特に「ガバナンス」に注目していることを聞いていた。彼らも「エンロン事件」で懲りたという歴史的なこともあるのだろう。
 現在はSDGsが話題になっている。温暖化に反する活動をしている企業に金融機関に投資を辞めろという圧力は既知のことであろう。

■企業価値

「稼ぐやつが一番偉い」という日本電産の永守会長の言葉には賛同できない。しかし、多くの企業がこうした方向性に向いていないかと危惧される。
 日本経営品質賞をご存じだろうか。アメリカのマルコムボルドリッジ賞を参考にした、優れた経営に対して与える賞である。その賞のガイドラインが刷新された。以前の基準では、最終的に「業績」が目標になっていたが、今回は「事業成果」となっている。
 この言葉が妙な解釈になるのではないかと危惧している。
 ガイドラインでは「組織の持続的な成長につながる成果」「競争優勢や独自性につながる卓越した成果」としているが、結局の所”業績”に目が向くことが心配である。
 それは、「顧客価値経営」という言葉にも表れている。
 利益創出を意識すれば、当然消費者である顧客に目が向き、売上が関心事になる。
 現代は、社会にとっての企業価値に目を向けるべきだと思う。

■社員価値経営の勧め

企業の価値創造をしているのは「人間活動」である。
 なので、まずは社員に向き合う経営が望ましい。そうしたことで成果を創出している企業を知っている。ムリなことではない。
 目に見えない企業価値を明らかにせよというのはグローバルな要請になっている。「人的資本開示」は義務化されようとしている。
 「顧客価値」を無視していいとは言わない。しかし、その方向性は時代遅れではないのだろうか。

<閑話休題>

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