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中小企業の生き残る道(バリューチェーンの共有)

■中小企業が抱える課題は何も解決されていない

2018年の中小企業白書には、人手不足。設備の老朽化、通信技術の発展に伴う産業構造の変化に対応できないことなどが指摘されており今も同じ悩みの中にいると思われる。この白書の中では、これに加え、経営者の高齢化と事業承継の問題も指摘されており、これの解決策の一つとしてM&Aを提示している。

しかし、M&Aを売り手と買い手という区分で捉えている限り、本来の中小企業の持つ問題点は解決されないだろう。いまだに、日本の中小企業の構造が変わったという話は聞かない。

参考:M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた労働生産性の向上
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap6_web.pdf

■ヒントになりそうな二つの事例

中小企業が単独で経営活動をすれば、一点目はリソース不足、2点目には効率性の欠如が表面化して、自ずと競争力は無くなり。こうしたことへの対処の一つ目の参考事例は、大田区の事例になる。

○大田区の町工場「仲間まわし」で苦境乗り越え 古くて新しい分業体制を再構築<まちビズ最前線>
2022年8月28日

「みんなで仕事を分担し各社の強みを生かす」と話す。一社単独では技術的な面で受注しにくい大型案件も、複数の町工場が技術を持ち寄ることで対応できるようになる。「町工場は切削など専門分野一本でやってきたところが大半で、大手から仕事の依頼がきても断るケースが多かった。新システムで横のつながりを強くする」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/198247

もちろんコーディネータは必要にはなるだろうが、複数の会社があたかも一企業のように活動できれば、失注機会を減らすことも可能になる。

二点目は、大手の企業買収の事例になる。

○アークランズ誕生でビバホームが消滅へ……吸収合併が意味するところとは
2022/08/29

現場オペレーションも、ムサシがこれまで取り組んできた棚の高さの厳格化、園芸コーナーでの庭造りなどが励行される。また、ムサシはコスト管理にも厳しいと言われており、ビバホームに対して徹底した在庫管理を要求するといった話も聞こえてくる。

https://diamond-rm.net/management/221960/2/

M&Aが全てを解決するわけではない。文化の融合などはそう簡単ではない。それでも、作業標準の統合は効率化をもたらすし、サプライチェーンの共有はコスト削減に役立つ。

コスト削減と生産性向上は中小企業が最も苦手な部分である。なぜなら、中小企業だからである。全て自分でまかなおうとすることは正しくない。

■バリューチェーンの見直し

価値創造のためのプロセスは形式上はそれほど異なるものではない。
 最も汎用性が高いものとして、私はバリューチェーンを取り上げている。
 バリューチェーンは、大きくは基幹プロセスと支援プロセスに分かれる。

基幹プロセスは、代表的には、企画、設計、調達、製造、販売、アフターサービスなど一連のもの作りに関わるプロセスが含まれる。もちろん、業態によってはこれの一部がないものやもっと多様になるものもある。上記の様な大規模な事業を行なえば物流や倉庫への保管などもあるかもしれない。

中小企業が、自社のバリューチェンにだけ目を奪われば、その全てを用意しなくてはならなくなる。営業企画や顧客対応など、複数の企業で共通するバリューチェーンを統合することもあり得る。

最も効果が出るのは。支援プロセスだろう。
 支援プロセスの代表格は「総務」になる。
 インフラストラクチャーの管理、労働環境の整備、人事や購買、あるいは研究開発、技術開発、なども含まれるだろう。こうしたプロセスは共通化がしやすい。

異なる企業の統合である以上簡単ではない。しかし、いまは情報通信技術、ITが驚くほど発達している。他社との統合は思いのほかハードルは低いだろう。

是非考えてみて欲しい。

<閑話休題>

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