ジョブ型雇用人事制度のために(ジョブと定年制)

■置き去りにされる定年の問題

働き方改革の一環で法整備などが行なわれている。厚生労働省のホームページには下記の記載がある。

○2.70歳までの就業機会の確保(令和3年4月1日施行 )

高年齢者就業確保措置

定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている事業主又は継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主は以下のいずれかの措置を講ずるよう努める必要があります。(高年齢者雇用安定法第10条)
※ただし、創業支援等措置(4.5)については過半数組合・過半数代表者の同意を得て導入。

1.70歳まで定年年齢を引き上げ
 2.70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入(他の事業主によるものを含む)
 3.定年制を廃止
 4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
 5.70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page09_00001.html

企業の本音に、できるだけ高齢者比率を下げる、あるいは賃金コストを下げるという動機付けが主流になると形ばかりの雇用延長になりかねない。

特に、賃金体系を年功序列で行なっていると、年齢と賃金のバランスがある年齢からゆがんでしまう。多くの企業が55歳ぐらいから段階的に賃金を下げる傾向にあり、これがコンプライアンス上問題になり得るのに手を打っていない企業が多いのではないか。

そのため、下記の様なニュースは目をひく。

○60歳一律役職定年を廃止 シニア社員の活躍を推進、大和ハウス工業
2022年05月10日

同社は2013年4月から65歳定年制を導入。15年4月には65歳以降も現役として雇用する「アクティブ・エイジング制度」(上限原則70歳)を設け、労働意欲と一定の業績があるシニア社員の活躍の場を広げた。しかし、給与・賞与の支給水準の低下や役職定年は60歳のままなど、シニア社員のやる気の低下や高度な専門性を持つ社員の流出が課題だったという。

このため今回、60歳一律での役職定年を廃止するとともに、60歳以降の役職任用や昇格も可能な制度に改めた。給与・賞与の支給水準も60歳までの水準を維持する形に変更した。

https://b.kyodo.co.jp/business/2022-5-10_7725844/

■ジョブに年齢制限を設けるのか?

ジョブ型雇用が話題になっている。
グローバル化が進む中で、人財の高度化と内外の賃金格差を無くすと云うことが課題であれば、当然のアプローチだろう。しかし、ジョブの定義の仕方に気をつけなければならない。

現在の社員が行なってる仕事を中心にジョブを具体化あるいは細分化しても組織能力は上がらない。年相応の仕事を選べるようになるだろうし、現状に甘んじている人々には毒に薬にもならない結果になる。

一方で、事業戦略から必要なジョブを定義してゆくと、今はできない仕事が増えてくる。なぜならば事業戦略は企業の成長を必須とすることが多く、今の要員でできるぐらいなら新たな事業戦略は作らないからだ。

そうしたとき「何ができるか」が問われるのであり、「男性か女性か」、「若いか年寄りか」を問うてはならない。単純に差別的な活動になるからだ。

何ができるかに力点を置けば定年の問題は発生しない。

はずだが・・・

<閑話休題>

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