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戦略人事:職種移動の難しさ(人手不足問題を考える)

■人手不足の常態化

2023年、新型コロナが5類に移行したことにより経済が活発化した一方で、人手不足問題がクロースアップされている。関連したニュースも多い。

○コロナ禍に人員削減した群馬県内企業 8割以上が人手不足訴える
2023/08/10

新型コロナが及ぼす影響が少なくなる中、コロナ禍中に、退職者の募集や補充採用を中止した群馬県内企業の8割が人手不足を訴えていることがわかりました。

東京商工リサーチ前橋支店によりますと、県内企業の10.4%がコロナ禍で何らかの人員削減を行い、その内の80%が現在人手不足に陥っていることがわかりました。

https://nordot.app/1062302858739122284

コロナ渦で職を失った人の多さは当時のニュース記事でも確認できる。

○1年以上仕事失った「長期失業者」 去年月平均で66万人
2022年2月18日

新型コロナの影響が続く中、仕事を失った状態が1年以上続いている「長期失業者」は去年は月の平均で66万人に上り、前の年より20%余り増えたことが総務省の労働力調査で分かりました。

総務省が行った「労働力調査」によりますと、働く意欲はあるのに仕事が見つからない「完全失業者」は去年は月の平均で193万人と前の年より2万人増えました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220218/k10013491451000.html

しかし不思議なことに、いわゆる失業率はマクロで見るとそれほど変わらず、2.8%程度で推移している。(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/)

これはどう考えてみれば良いのだろうか?

■移動した人々が戻ることはない

1番目は他職種への移動であろう。
専門性を身につけて高度な職種に就くこともあるが、現在の能力やスキルでできる仕事は一職種とは限らない。解雇された後で他の職種に就くことはありうる。そうして就業機会を得ることができたなら、わざわざ元の職種に戻ることはないだろう。

2番目は地域の移動であろう。
上記の記事は「群馬県内」の話であるし、人手不足の激しい業界に「観光業」があり、いずれも地方である。地方で仕事がなくなくなれば、労働機会のボリュームゾーンが大きい大都市に無かだろう。そこに生活拠点を構えたなら、わざわざ地方には戻らない。

地方の人手不足は自業自得である。

このへんのことは下記の解説記事も参考になるだろう。

○労働移動は進むのか?雇用ミスマッチの壁
2022年06月09日

「企業が出す求人が増え、持ち直しの動きが見られる」
これは今の雇用情勢に対する国の見解です。
一方で、求人が増えても、就職する人の数は、この間、一向に増えていません。
そこには、雇用のミスマッチによって、業種間などの移動、つまり「労働移動」が、十分に進んでいない実情があります。

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/469591.html

■採用担当者の憂鬱

こうした状況下で、採用担当者がとれる行動は限られている。
ほとんどは従来のような、メディア(採用媒体)利用、ヘッドハンティング、紹介、学校訪問ぐらいであろう。

しかし、それは「自社に都合の良い人々」を採集する活動であり、自社の魅力を相手に訴えかける活動にはなり得ない。

彼らが欲しいのは「安心」であったり「安定」である。
業績が悪いからと行って、簡単に社員を切り捨ててきた過去はハンディキャップとなる。

まずはこれへの反省をしないい限り信頼は獲得できない。
もっとも、これは人事担当者になんとかできる話ではない。

憂鬱だろうなぁ。

<閑話休題>

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