ジョブ型雇用人事制度のために(総務との連携)

(はじめに)
新型コロナの影響は働き方に対しても大きな影響を与えている。
今まで常識だと思っていたことが、必ずしもそうでないと気がつくと、また違った世界が垣間見える。そうした中で、今までのセクショナリズムもやめないと生き残れないかもしれない。

■変わるオフィス戦略

新型コロナの影響で、リモートワークが俄然注目され、それにあわせてオフィス戦略も変わらざるを得ないだろう。いち早く、こうした変化に目を付けてビジネスチャンスと捉えて取り組んでいる企業に関する記事が目についた。

○https://www.sbbit.jp/article/cont1/85602
2022/04/22
グーグルは1兆円超投資、加速する「オフィス回帰」とハイブリッドワークの本格胎動

米テック大手のシリコンバレー拠点では、オフィスワークを再開する動きが相次いでいる。グーグルは4月4日から、週3日のオフィスワークと週2日のリモートワークを組み合わせたハイブリッドワーク制を本格始動。同時に、オフィスとデータセンターに95億ドル(約1.2兆円)を投じる計画も明らかにした。アップルも4月11日からハイブリッドワーク制を開始した。一方、求職者のリモートワーク需要は依然高い状況が続いている。

<引用 ここまで>

週の半分は出社に及ばず!と言ったところだろうか。
これはまだアメリカの一部の企業の事例でしか無いのだが、どこで働くかの選択の幅は広がってゆくことは社会全体の潮流になると信じたい。

さもないと、満員電車という交通問題、子育てを犠牲にしないといけない勤務時間の固定、移動に伴う生産性のロスなどの様々な問題が解決しない。

■多様化する働き方と新たなビジネスチャンス

しかし単純に、リモートワークと出社という2元論で語るべきでは無い。
一昔前にサテライトオフィスという言葉がはやったことを覚えているだろうか。
通信技術が発達していない時代の取り組みなので、資金面などの問題で頓挫したと記憶している。当時は、働く場所も会社が用意するという硬直性があったが今は違う。

○https://forbesjapan.com/articles/detail/47171
2022/04/25 12:00
トレンドに乗り、郊外市場に商機を見出すコワーキングスペース

2021年、不動産オーナーたちは呆然とした。突如として雪崩を打ったようにリモートワークへの大転換が起き、世界の大都市にそびえ立つオフィスビルは、過去の遺物と化したかに見えた。

ソーシャルディスタンスの時代に、数千人もの人間を鉄骨で囲まれた空間に8時間から10時間にわたって詰め込み、蛍光灯で照らされた強制換気の環境にさらすことは蛮行と捉えられたのだ。

・・・

在宅勤務を選んでいる人たちも、自宅や狭苦しいアパートの部屋に押し込められて働く生活を「リモート勤務の理想郷」とは思っていないはずだ、というのだ。整っていない作業環境で、家族やペットの面倒をみながら仕事をすることは、理想的とはとても言えない。

<引用 ここまで>

この記事もアメリカの記事なのだが、日本でも「コワーキングスペース」は浸透してきている。グーグルで検索してみると良い、結構な数が見つかるはずだ。

事務所を会社が固定的に持つ必要性は無いかもしれない。共同オフィスのように場所の共有が別の形で実現されるかもしれない。

単純計算で、10のスペースが必要な会社が入っているビルに、常時、5のスペースで良いなら2社が入れる。貸す側も相当なサービスを考えないと生き残れない。

■どんな働き方をしているのか

ジョブ型雇用は、職務定義を行なうことで会社側と社員側がお互いの期待を明らかにすることではあるが、働くプロセスまでは規定できないだろう。成果を出すことをコミットしているのであって、指示命令系統の話はそこには含まれない。一挙手一投足まで口を出すのであればジョブ型ではなく、たんなる軍隊型の組織統制になる。

そこでは何時間働いたかではなく「ジョブ」遂行の結果、実証したコミットメントが何であるのか重要になる。

下記の様な記事は誤解を招く。

○https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2204/25/news173.html

「ちょい抜けワーク」8割が経験 テレワーク中に私用で中断
フレキシブルな働き方を求める
2022年04月25日

テレワーク中でも育児や家事をはさみつつ働くことが会社で認められている人は、どのくらいいるのだろうか。週に1回以上テレワークを行っているビジネスパーソンに聞いたところ、82.4%が「認められている」ことが、アドビ(東京都品川区)の調査で分かった。

<ここまで 引用>

認められている認められているで分類し、その比率を提示するということ自体、「私用で中段は悪」という前提に立っているように思う。

ジョブ型で雇用しているのに時間を縛るというのは矛盾する。

■監視では無く実態を把握する必要性は認める

では、何も見なくても良いかといえばそうではない。
例えば、オフィスでの社員の働き方などは今までのやり方は通じない。

上記の例でもいくら出社比率を5割にしたからと言って、今のように席を固定にしていては無駄なスペースが出てしまう。フリーアクセスが常態化するだろう。

そうすると、今までのように、机を島形で並べ課長が皆の働き方を監視するなどといった昭和のやり方は現実的で無い。IT技術の出番になる。

○https://www.zaikei.co.jp/article/20220421/669396.html

イトーキ、スマートオフィス領域でGoogle Cloudと協力しDXをさらに加速
2022年4月21日

日本のオフィス家具市場におけるリーディングカンパニーであるイトーキ<7972>(東証プライム)は4月20日、スマートオフィスコンセプトの実現に向けて、新商品開発およびAIによるデータ分析・活用の領域における取り組みを強化するため、Google Cloud とのJBP(ジョイントビジネスプラン)に合意したと発表。

<ここまで引用>

ミーティングの実施状況、コミュニケーションの頻度、机で作業する時間などを見える化すれば、社員が働きやすい方法の探索にもつながる。出社してほとんど移動しない人。いつも誰かの相談の乗っている人など個性が分かる。

会社は、ジョブ型雇用で成果が出せるような支援に力をそそぐべきである。

■全社での連携が必須になる

働き方を見守るためには、環境整備を行なう部署(総務)、HRテックと呼ばれるデータ処理を担う部署(システム部門)、データを分析して施策に展開する部署(人事部)の連携が必要であり、その司令塔(CIO)が重要である。

連携ができない会社は、目先の効果にしか評価できず本来の目的の達成もできないだろう。

<閑話休題>

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