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無い袖は振れないは本当なのか(最低賃金を支払えない経営者の未来)

■赤字は論外

 10人前後の製造業の会社を考えて見よう。
 一般論として言えば、設備の減価償却や光熱費、その他の間接コストを考えると、ひとり平均350万円の年間給与を支払っているのであれば、売上は、1.0億円~1.5億円、経常利益では100万円は欲しい。さもないと、あらたな設備投資はできない。

最終的に赤字になっているのであれば、そもそも企業の存続も危ういので市場からの退場を考えるべきである。赤字のまま、市場に残るのであれば、経営者だけが何かを差し出すべきであり、社員に負担をかけてはいけない。

とはいえ、赤字で事業を続けるのはわがまま以外の何物でも無いので、ここで取り上げるべき会社ではない。

注意して欲しいのは、黒字のめどが立たない赤字を続けていることを問題視している。
永遠の黒字は難しいのは承知している。

■差別化できなければ社員は集まらない

「雇ってあげるだけありがたく思え」という思想は好きではない。当社に興味を持ち、十分働き続けることができる環境がなければ、いくら会社へのシンパシーがあっても、長続きしない。

 そのための賃金や報酬が、多少なりとも他社より優遇されてると感じてもらうのは重要だと思うのだが、それは本当に難しいのか?

 企業規模が分からないし、企業はそれぞれに事情があるので一概には言えないが、それでも下記の記事は、なんとかならないかと暗い気持ちになる。

○「賃上げの予定なし」7割の衝撃 中小企業で働く人は「安月給」のままなのか
2023年01月25日

 ユニクロの「年収4割増」が大きなニュースになっている。ネットやSNSでも「これをきっかけに賃上げのムードが高まるか」なんて議論が盛り上がっているが、残念ながらユニクロ社員がどれほど高給取りになろうとも、日本の賃金はそれほど変わらない。

・・・

賃金をボトムアップしていけば、「従業員が普通に暮らしてく給料すら払えない中小企業経営者」に「引退」を決断させて、入れ替わるように新しい経営者が増えていく。その中には当然、より高い賃金を払える経営者もいるはずだ。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2301/24/news065.html

○中小企業の「賃上げ実施」34%どまり、「しない・できない」計32%…大同生命調査
2023/01/26

 大同生命保険は26日、全国の中小企業経営者を対象にしたアンケート調査の結果を公表した。賃上げについて「実施する(賃上げ済み)」と回答した企業は34%にとどまり、「実施しない」「できない」は計32%に上った。資源高や円安に伴う原材料価格の上昇が経営を圧迫する中、賃上げに踏み切れない中小企業が多いとみられる。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230126-OYT1T50180/

■投資なのか利益配分なのか

賃金の話をすると、必ず「お金がない」という言葉が出てくる。
利益が出ない赤字である責任は経営者にあり、働く人に犠牲を強いる発言はうんざりする。

仮に、月額5千円をアップするとして、10人であれば、年間60万円である。これを用意できないというのはどんな経営をしているのだろう。

そもそも、結果としての利益を賃金として配分するという考え方に疑問を持つべきであろう。「賃金は先行投資である」という視点を作ってほしい。山賊のように獲物の山分けなどと言う野蛮な発想はやめよう。

■賃金を支払えないような企業は退場すべきである

という発言は、とても乱暴な意見だと言うことは承知している。
しかし、いくつかの中小企業と接点がありいろいろ話を聞いていると、まずは効率という側面でいえば、間接業務の負担は規模が小さければそれだけ負担になるし、銀行からの借り入れもしにくく、設備投資もままならない。営業情報も、結局社長任せになり、ビジネスチャンスもつかみにくい。

ビジネスの上流から下流の流れの複数にまたがるビジネスモデル。競合他社と統合して発注者に対しての価格競争力の創出、利益を生み出すための方策を考える必要がある。

どこかの会社の100%子会社になったり、M&Aで企業の効率化を図らない限り、社員に給与も支払えない。社長のわがままで、給与を上げられず、最低賃金が上がると経営ができないというのであれば退場すべきである。

なに、10人程度の会社がなくなったからと言って日本経済がどうなるものでもない。安心して社員を別の会社で働けるようにして、会社を手放してはどうだろう。

<閑話休題>

・・・かなり乱暴な論であるコトは自覚しています。

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