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第3の選択肢:新聞社に見るサクセストラップ(新聞購読数の衰退)

■夕刊だけの話ではない

○この20年で6割減、1168万部の夕刊が消滅…「昨日のニュース」しか載っていない新聞はいつ完全消滅するのか
「紙の新聞」にこだわっているのは新聞社だけ
2023/05/21
https://president.jp/articles/-/69702

記事の主たる内容は、夕刊紙が消えてゆくという話ではあるが、これは夕刊だけの話ではなく、新聞そのものに対する警告である。

私の息子は独立しているが、新聞はおろかテレビすら見ない。必要な情報はインターネットで取得する。それが良いのかどうかはともかく、それが実体である。

我が家も、今までの習慣から新聞を取っているが、読むのは家内だけである。家内はインターネットにそれほどアクセスしないと言うこともある。

現在の、新聞メディアの最大の問題は、「すでに知っている情報が大半である」ことに尽きる。即時性であればネットにかなうわけもなく、多くのメディアが直ちにネットで配信する。

詳細な解説記事などは、経済誌であれば専門の雑誌(東洋経済や日経ビジネス)で解説されるし、政治的なことなどは識者がそれなりに発信する。もっとも、その情報の適格性を判断するためには、様々なニュースソースに触れ、お互いの記事の性向を知らなければならない。

それにしても、限られた紙面でしか情報を提供できない新聞に勝ち目があるとは思えない。

■サクセスとラップ

一昨年に刊行された「両利きの経営」にはサクセスとラップと言う言葉が出てくる。
本書の中では、いろいろな事例で説明がされており、図を見ても分かったような分からない図なのだが、

成功に向けた構造、システム、プロセス、指標を開発しようと懸命に頑張ってきた人たちは、特に低収益事業に不確実な機会があるからといって、これまでに築き上げてきたものを変えたがらないのだ。

と言う文章が一番わかりやすいだろうか。

簡単に言えば、過去に成功したことは、その時の時流や環境において強みを発揮したものであり、時代が変わればその前提条件が変わると言うことだ。

成功体験が組織の発展を妨げるというのは良く聞く話である。

■サービスの再定義

昭和60年代以前にはインターネットなどはなく、テレビニュースも、朝・昼・晩しか流れることもなく、その情報量はとても少なかった。いまでもテレビからの情報は偏っているか均一の高いものになっている。

現在、多くの情報はインターネットで流れている。海外からの情報であってもCNNやBBCなどのニュースソースがある。しかも即時性が高く、映像まで添付されている。

そうした情報取得が多数派を占める中で、昨日のニュースを印刷しただけの新聞紙には価値はない。もしそこに価値を生み出すとしたら、「知的な情報」を負荷するしかない。分析的なこと、他の関連情報から見たときの独自解説、これからの世界、社説の拡大、文化情報の発信、リベラルアーツの提供などがあるだろう。

紙だけの話ではない。情報そのものの質を高めない限り新聞社の存続はないだろう。

<閑話休題>

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