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事業のヒント:先見の明は予測できるのか(複雑化するEVの政策、マツダのロータリーエンジン)

未来の選択肢を探すために何に着目するか

■技術を手放さないと言うこと

 面白い記事を見た。

○「その手があったか」、マツダがPHEVの発電にロータリー
2023.02.13

 「その手」というのは、小型ロータリーエンジン(以下、ロータリー)で発電するシリーズ式ハイブリッド機構を搭載したことです。環境規制が厳しい欧州でまず2023年春に発売し、その後、日本にも投入します。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/011501201/

ロータリーエンジンは技術的なことやコストの面での競争力の維持ができないと言うことでいったんは製造中止になったと聞く。もっとも、すでに販売している車種もあり部品の供給や研究は続けていたらしい。

 誰もやらないと言うことは、それ自体がアドバンテージになるが市場を獲得できなければ企業としては継続を躊躇するだろう。しかし、その技術が今ある市場では十分でないとしても、ハイブリッドなどの補助エンジンと言うことでは十分であるコトを証明する事例になるかもしれない。

 今ある市場環境を前提とすることの早計さが考えさせられる。

■プラス・マイナスの市場の動向

 あれほどEVの政策シフトを謳っていた世界の動向が怪しい。

○EUのガソリン車規制、独・伊が難色示す
2023 年 3 月 2 日

 欧州連合(EU)では複数の主要国が、ガソリン車など内燃機関車を事実上禁じる域内の計画を阻止する構えを見せており、これが野心的な気候変動対策の実現を危うくしている。

 ドイツとイタリア両政府は今週、こうした計画の承認を阻止する可能性があると言及。ドイツ政府は完全な電気自動車(EV)に加えて、ガソリンやディーゼルのように燃焼しながらも環境に影響を及ぼす排出が少ない、いわゆる合成燃料も認められなければ計画に反対するとしている。

https://jp.wsj.com/articles/germany-italy-signal-they-could-block-eu-combustion-engine-ban-8600d695

 いったん決めたガソリン車の廃止も政治的な判断で変更されると言うことは、今後もどのような決定がされるかは予測できない。経済的な問題が優先されるならば、それを見越した戦略が求められる。

 大規模な市場の有無を前提としたビジネスモデルは危うい。

○中国のリチウム価格、想定超えるペースで急落、EV向け需要鈍化
2023年3月24日

中国のリチウム価格はこの4週間だけで34%も急落するなど、今年に入り予想を超えるペースで下げている。電気自動車(EV)向けの需要が落ち込み、在庫が積み上がっているためだ。

中国自動車大手である上海汽車集団(SAICモーター)と独同業フォルクスワーゲン(VW)の中国合弁会社、上汽大衆汽車(SAIC・VW・オートモーティブ)などメーカー各社が、7月1日に施行が予定されている排出ガス規制強化を前に幅広い車種で値下げを実施。EVはガソリンエンジンなど従来型の車との厳しい競争に直面している。

https://jp.reuters.com/article/china-lithium-prices-idJPKBN2VQ01V

 EVシフトと言っても無条件にガソリン車の競争力が下がるわけではないので、企業の行く末さえ左右しかねない。

○EVメーカー恒大汽車、資金不足で生産停止も
2023年3月23日
https://jp.reuters.com/article/china-property-debt-evergrande-ev-idJPKBN2VP04Y

 こうしたことは負のスパイラルを発生させるかもしれない。

■市場に左右されることのメリット・デメリット

 市場は安定せず、未来を予測することも困難である。
 最初のロータリーエンジンでも、全てをガソリンで賄うエンジン車が主流の市場では戦えないにしてもPHVではニーズを作りさせると言うことは30年前では想像できなかっただろう。
 現在の市場に従うことは当然の戦略かもしれないが、それだけに依拠することは既存技術でのアドバンテージを捨ててしまうことになる。

 今の市場では限界があるという技術も安易に捨てるのではなく、どのような市場でだったら優位性を発揮できるのかを考えるべきである。

■おまけ

○今後もハイブリッドクラウドのデータは磁気テープに保存が続く
2021-02-08

アーカイブは拡大可能でなければなりません。毎年、データは平均61%成長しています。磁気テープ・テクノロジーのもう1つの明らかな利点は、面記録密度が拡張可能ということです。現在の商用磁気テープ・システムで使用されているビットのサイズは、ハード・ディスクのビットに比べ非常に大きく、磁気テープにはそのビットを縮小し続けられるヘッドの余裕がかなりあります。つまりは、容量を増加できるわけです。

密かな恋心を満たすためにテープをミキシングするような日々に戻ることはもうないでしょうが、磁気テープは間違いなく大企業の背後で生き続け、ゼタバイト級のあらゆるデータを保存し続けることでしょう。

https://www.ibm.com/blogs/systems/jp-ja/tape-density-record/

<閑話休題>

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