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世間に転がる意味不明:目の前の利益に群がる人々(ビッグモーター問題と異時点間問題)

儲かるための一番簡単な方法は「法律を守らないこと」だ。
残業代を払わない、信号無視をする、過積載を常態化する。すべて根幹は一緒である。

■「悪魔」と「天使」

仕事の報酬で、終わった時点で10万円もらえるのと、一か月後に12万円もらえるのをどっちを選ぶだろうか。
このように2つの時点での利益と不利益の対比問題を「異時点間問題」という。
上記の例は学習などにも当てはまる。
未来への投資である学習と目の前の快楽である娯楽のどちらを選ぶのかも例として挙げられる。
これらの例は利益だけの話であるが、目の前の快楽のために未来の滅亡を選んでしまうのも同じカテゴリーの問題である。
麻薬に手を出して未来を棒に振るを思い出してもらえればよい。

未来の投資に希望を見出す自分を「天使」、目の前の利益に目がくらむ自分を「悪魔」に例え、「悪魔」たる自分をどう自覚して対処するかが重要になる。最もほとんどの人が「悪魔」に逆らえないことが多い。ついつい先送りするのも「悪魔」の誘惑である。

■ビッグモーターの根幹の価値観

現在2023年7月、ビッグモーターに関する報道が盛んにおこなわれている。

〇ビッグモーター不正請求 “金融庁が事実関係 確認中” 金融相
2023年7月21日

中古車販売会社の「ビッグモーター」が故意に車を傷つけるなどして自動車保険の保険金を不正に請求していた問題で、鈴木金融担当大臣は、会社が保険代理店として保険の募集を行っていることを踏まえ、金融庁として事実関係の確認を進めていることを明らかにしました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230721/k10014137671000.html

報道を見る限り
①売り上げ至上主義であること
②労基法を無視して社員に圧力をかけていたこと
③社員は「悪い」と思いつつ「高給」に目がくらみ不正を繰り返していたこと
である。組織構造上、企業理念に社会的な責任は何処にもない。

しかもこれは一年も前に表面化している。
利用者は良い面の皮である。

(参考)
〇保険の「不正請求疑惑」めぐり大手損保が大揺れ
中古車大手ビッグモーターの組織的関与が焦点
2022/08/29

内部通報を受けて、ビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は2022年2月以降、修理費の請求書類を各社それぞれ数百件抽出してサンプル調査を実施。すると、全国に33ある整備工場のうち25の工場で、水増し請求が疑われる案件が合計80件超見つかったという。

中には、損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を施したり、中古部品を新品と称して付け替えたりといった不正が疑われる悪質なケースもあったようだ。

そのため、3社はビッグモーター側に自主的な調査を要請。大手3社ともにサンプル調査で疑いのある案件が見つかった関東地域の4工場について、さらに詳しく調査をさせたところ、4工場すべてで水増し請求が確認されたという。

https://toyokeizai.net/articles/-/614505https://toyokeizai.net/articles/-/614505

■神経がマヒする人々

「神経経済学」という分野があるらしい。

「報酬が「たくさん」「確かに」「すぐに」もらえるほど、人は価値を大きく感じることが心理学や経済学の実証実験からわかってきた。」とあるように、目の前に巨額の報酬を提示されると、それが魅力的に映るということは理解できる。

(参考)
〇すぐにもらえる小さい報酬か 将来にもらえる大きい報酬か
神経経済学で「人間の行動」を読み解く
2012年9月大阪大学NewsLetterに掲載

人間にとっての報酬(reward)は、お金や食べ物といった、生命の維持に必要なもの、また間接的にそれに結びつくものである。しかし、例えば100万円という報酬でも、富裕層の人が感じるうれしさと、学生が感じるうれしさは違うだろう。このように、「ある報酬にどれぐらいのうれしさを感じるか」というのは、主観的なものであることが予測される。経済学では、このようなうれしさを「効用」や「価値」と呼ぶ。近代経済学は、人々は主観的な「効用」や「価値」に基づいて行動を選択していると仮定し、人間の行動を考えている。それでは、「効用」や「価値」はどのような要素に影響されるのか?主な要素として、報酬が「たくさん」「確かに」「すぐに」もらえるほど、人は価値を大きく感じることが心理学や経済学の実証実験からわかってきた。

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2012/120901_4

しかし、だからと言って誰でも彼でも誘惑に負けるわけではない。
「こんな不正を続けていたら身の破滅だ」と感じる「天使」たる自分を磨かなければならない。

ビッグモーターの件は社長や組織にその責任が添加されているが、根本は「悪いこと」だと知りながら実行していた人々がいることだ。もちろん彼らを責めるのは酷だろうが、日常から「自分の価値観」を確立する習慣が必要である。

朝夕、鏡を見ながら話しかけよう。
「今日は人に誇れる日だったか。自分を恥じることのない日だったか。」

<閑話休題>

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