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sinh11
コーヒーとラーメンの湯気
我が家は旦那がコーヒーを淹れてくれる。
旦那の友達の影響で、コーヒー豆を売っている店巡りから始まり、今では近所の喫茶店のブレンド豆の味が我が家のコーヒーになった。
豆をミルで挽いて機械で淹れる事は、私にも出来るのだが、私は旦那が手入れしてくれる、細い口のヤカンから湯気を立てながら淹れる仕草、そのシーンが好きなのだ。
思えば、父も私が子どもの頃、よく湯気を立てながら何かを小忙しく作ってくれた。
3世代同居で、普段の食事は祖母が作ってくれた。
母親は仕事ばかりで、料理の匂いはしなかった。
父は時々、子連れで釣りに行くためにお餅を焼いてくれたり、水筒のお茶を沸かしてくれた。
海で取れた沢山の貝をお湯で茹でて、ホカホカの貝の中身を剥いて食べさせてくれた。
生のめかぶを細かく刻んで『見てろよ』
と私に目配せをして、ザルに入っためかぶに熱い熱いお湯を注ぐ。湯気をかき分けると、それはあっという間に鮮やかな緑になっていた。
鰹節とネギを乗せて、醤油をワッとかけてかき混ぜてご飯に乗せて食べる。
温かい湯気と、優しい思い出。
湯気を立てる男が好きだ。
というと、なかなかの語弊がありそうだ。
ちなみに、旦那がラーメンの麺を丼に取り分けている姿を私の写メに納めているのは、内緒である。
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