見出し画像

エンジニアがキャリアドリフトしてみた

「キャリアドリフト」という言葉があります。「キャリアデザイン」と並べて語られることが多い考え方です。キャリアデザインは何かこう、「x年後のなりたい自分やそこへの道筋をしっかり設計しましょう」といった考え方です。それに対してキャリアドリフトは、「キャリアは偶然性による部分も大きいから、事細かに決めることはしない。大まかな方向性は決めるけど、ある程度は流れに身を任せる」といった考え方のようです。

私がキャリアドリフトという言葉を知ったのは、ほんの1〜2年前くらいだったと思うのですが、初めて見た時、結構しっくりきました。今までその言葉は知らなかったけど、多分、自分もキャリアドリフトしてたんだなあと感じました。

私の変遷

私は新卒入社以来、ソフトウェアのエンジニアをしてきました。次第に、世間でいうところのテックリード役を務めたりしながら、現在はエンジニアリングマネージャーの役割をやっています。

そこまでの間に、色々な転機やライフステージの変化がありました。社内での異動もありましたし、結婚もしました。子供が2人生まれたり、30代で初めての転職もしました(それで現職に行き着きました)。現職でも、エンジニア/テックリード路線からエンジニアリングマネージャー路線に舵を切りました。これは転職とか異動ではないですが、私にとってはキャリアチェンジといっていいほどの仕事の変化でした。

だいたい偶然だった

色々あって現在に至るんですが、振り返ると、「xx歳頃に○○しよう」とかそんな綿密には計画してなかったように思います。そもそも社内の異動とかってあまり本人が制御できるものでもないですしね。

その後に転職して現職に至ったのも、「転職しよう」はさすがに自分の意志の範疇ですが、現職との接点はほんとにたまたまでした。Twitterで偶然見かけたマイナーな転職サイトに「せっかくだしここも」って登録してたら、たまたまスカウトが来ました。その日にTwitterを見てなかったら今の自分はなかったはずです。今、エンジニアリングマネージャーをやっているのも、直接のきっかけは前任者の退職によるものでした。

そんなこんなで色んな節目や転機がありましたが、それは偶然によるものも大きく、「自分は、このキャリアドリフトっていうのを実はやってたんだなあ」って感じています。

何を決めて、何を流れに任せるか

ある程度は偶然の流れに任せるのがキャリアドリフトってことなんですが、逆に、ある程度の方向づけも必要です。

キャリアの方向性の考え方で私が意識していたのは、学生時代に企業主催の就活セミナーで聞いた考え方です。10年以上前のことで、正確な言い回しまでは覚えていないのですが、以下の内容を講師の人は述べていました。

自分の中にあるものを、興味・スキル・気質に分類して考える。

興味:○○の分野がやりたい、xx業界の仕事をしたい
スキル:自分は○○ができる、大学ではxxの研究をしている
気質:自分は△△な性質である、□□な考え方をする

興味は変わる。今はこれが好きだと思っていても、移ろいゆくもの。
スキルは変えられる。今の自分がもつスキルに閉じて考えなくて良い。
気質は変わらない。抽象度が高い領域だが、ここはまず変わらない。

興味・スキル・気質が全て重なる仕事があればもちろん良いが、どうせ興味やスキルは動く。よって気質を軸にする。

なるほどーと思いました。特に就活生って、時に近視眼的になっちゃったりもするので、これは参考になるなと思いました。

エンジニアの興味やスキルも動く

実際、年月を経て私の興味やスキルも動いていたように思います。

20代(前職時代)では、ひたすらプログラムのコードを書き続けていたいと思っていた時期もありました。でも変わりました。一時的に、興味・スキルに寄りすぎた考え方をしていたんだろうと思います。前職の職場が「マネージャー = 楽しくなさそう」に感じられる環境だった影響もあるかもしれません。

今はエンジニアリングマネージャーとして組織をマネジメントする役割に変わりましたが、ビルドする対象がソフトウェアから組織に変わったという捉え方をすると、根っこにあるもの(抽象度の高いレベルのもの)はそう変わっていないように今では感じています。

現職の会社に転職することを選んだポイントとして、事業やバリューへの共感による部分も大きかったです。そういった「長く変わらない部分」でのフィットを大切にすると、右往左往したり一喜一憂しない歩み方ができます。

自分の内面において、変わっていい部分と変わらず大切にしたい部分に線を引くこと。その上で、将来を細かく考えすぎずに、自分が今置かれた環境に打ち込むこと。こういうのが、キャリアドリフトなのかなと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?