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どうやったら「自走できる人」になれるのか

近年、何かと自走、自走って言いますよね。「自走力」とか、「自走できる人が必要」とか。すごく抽象度の高い言葉ではありつつ、社会人生活においてとても求められる力、価値のある力なのは確かなようです。

となると「そもそも自走とは」「自走できるとは」という話になります。これに関して先日、Engineering Manager Meetupというオンラインイベントで、同業の人々と話す機会がありました(Engineering Managerとは、ざっくり言うと、エンジニア組織においてピープルマネジメントを含むマネジメントをやっている人です)。

そこで挙がった「自走できる」とは、端的に言うと以下の通りでした。

総じて、「指示が必要」の反対である。
自走できる人は、
・粒度の大きいゴールを目指して行動できる。
・完了状態を自分で定義できる。
・自分で勝手に成長できる。

「確かになー」と。マネージャーからすると非常にありがたい存在です。

では、どうやったら人は自走できるようになるのでしょうか?それが簡単に分かれば本人もマネージャーも苦労しないのですが、何かしらのヒントを考えられないものかなと。以下、思いつくままに書いてみます。

粒度の大きいゴールを目指して行動できる

ゴールを目指して行動するには、必要なタスクを抜け漏れなく洗い出す力、優先順位を決める力などが必要になりそうです。こうしたことができるためには、与えられた仕事の分野に関するそもそもの専門性や、粒度感を意識しながらタスクを分解したり整理したりする力も求められそうです。

また、こういったことができる人は、そうやって筋道を立てて動こうとしている様子を他者に見せるのも上手だったりするものです。脳内で計画するだけでなく、文章なり資料なりを用意して共有したり、説明したりできるものです。そうすることで、周囲から早期にフィードバックを受けられたりもするので、タスクの網羅感や、行動の質も高まります。その逆の人は、「思いつきで行動してそうな危なっかしいメンバー」に見えてしまいます。これは自走というより暴走ですね。

「自分はこうやろうとしている」というのが可視化・発信できていればよく、手段としては例えばSlackなどのチャットツールでぽつぽつと何か書くとかでも良い場面は多いはずです(なお、周囲の上位者などは、それに対して絵文字でリアクションするとかして、フィードバックを返しましょう!本人も「この見立てであってるっぽいな」と自信がもてるはずです)。

こうした「早めに小まめに様子を見せる、報告する、周囲とボールを打ち合う」が苦手な人は、そこを頑張った方がいいでしょう。そこが、自走力を獲得できていない原因の可能性があります。これができるためには、筋道を可視化・言語化する力も必要ですが、「発信した結果、他者になんか言われる可能性」を恐れないマインドも必要です。完成度100%になるまで洞窟に篭る人よりも、未完成でも小まめに様子を見せて、周囲とコミュニケーションをとれる人の方が信頼されるものです。

また、報告などには単に「やったこと」だけを述べずに、自分の認識や見解を述べることが大切な場面も多いです。「昨日はこれをやりました」だけだと、その意味づけやジャッジを自分でできない人、次の指示を待っている人に見えてしまいます。このあたりの報告力に関しては、過去に書いた以下の記事もご覧ください。

完了状態を自分で定義できる

ここは「粒度の大きいゴールを目指して行動できる」にかなり近いかもしれません。ゴール設定がうまければ、そこを目指して行動するのもうまくいくものです。

付け加えるとすれば、目的を意識する力が必要となるでしょうか。自分が担当する仕事は何を目的としているのか、全体の中でどういう位置付けなのか、どんな後工程に繋がっているのか。これを理解できていれば、より上位のゴールから逆算する思考ができて、完了状態の定義をうまく行えるでしょう。

自分で勝手に成長できる

めっちゃ都合のいい要件ですが、とはいえ昨今は終身雇用が前提の時代でもないので、手取り足取りでなく自力で成長することも求められます。

自力で成長するには、どういった成長が自分に求められているかを考えるところから始まります。さしあたっては、以下のような考え方がそのヒントになるのではないでしょうか。

・チームの人的課題を考察する(例:○○ができる人が足りない)。
 それが分かれば、「そこを自分が埋めるには」と考えていける。
・自分の一段上にいる人の行動を観察する。
 今の自分と比べると、「自分に足りていないところは」と考えていける。
・上司との1on1や360度評価などで、助言やフィードバックを直接もらう。

高めたい能力が分かってきたとして、それをもっと具体化する必要があります。下記の書籍によると、ある能力を高めるには、その能力を構成する「サブ能力」を具体的に特定することが必要だそうです。

高めたい能力がどのような場面で必要とされるのかを考えると、「xxにおける△△力」といったサブ能力を特定できるかもしれません。また、過去に自分が至らなかった場面を振り返ることも、サブ能力の特定に繋がりそうです。

サブ能力を特定する際、多少無理やりでも良いので「△△力」という名前を勝手に付けちゃうのもおすすめです。名前が付くと、意識しやすくなります。そもそもこのnote記事が、そういうことを試みている記事です。「他者になんか言われる可能性を恐れない力」とか、試しに言ってみましょう。今の自分に不足している能力に、分かりやすい名前が既に存在しているとは限りません。

サブ能力が具体的に特定できるほど、具体的にどうすれば伸ばせるのかが明確になってくるはずです。そして最終的には、行動あるのみです。インプットもアウトプットもしていきましょう。両方とも大切です。

おわりに

「自走」というものにどうやったら近づけるのか、色々考えてみました。

なお、「自走」の意味するものは「自律」ともかなり近いように思います。ただがむしゃらに行動するだけでもいけないのです。組織から求められている方向に走る必要があります。

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