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商標におけるデザインの役割

 こんにちは!!元中小企業弁理士のnabです💦今回の記事は、商標におけるデザインの役割について、知財視点で、お話させていただきたいと思います。最後までお付き合いいただければ幸いです。

タイトルの画像は、みんなのフォトギャラリーより頂きました。
茨城のカメラマン仲居さんありがとうございます😊

(1)文字商標とロゴ商標

 商標には、文字のみ(標準文字)で出願する場合と、文字+デザイン(ロゴタイプ)で出願する場合があります。

こちらが文字のみ(標準文字)出願の例です。

商標登録5576709号より抜粋

こちらがロゴタイプ(文字+デザイン)の事例です。

商標登録5586751号より抜粋

 商標は、自分のモノと他人のモノとを識別する「識別力」が必要になります。文字のみ場合は、その文字に識別力が生じていないといけません。

 ロゴタイプのものにも「識別力」が生じていないといけませんが、必ずしも「文字」のみに識別力が生じている必要はなく、「文字」+「デザイン」に識別力が生じていれば問題ありません。

(2)デザインが識別性を有する事例

デザインが識別性を有する実際の登録事例を紹介していきたいと思います☺

商標権者 :株式会社NISHINO
指定役務 :コーヒーの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 他
商標は以下のようにロゴタイプの商標です。 

商標登録6385833号より抜粋

 この商標登録は、特殊フォントの「SHIBUYA FREE COFEE」の文字にデザインをあしらったロゴタイプの商標です。商標の文字のみに注目すると、「SHIBUYA」はただの地域名、「FREE」は無料というただ価格を表すもの、「COFFEE」はサービス・商品名そのものですので、この商標(文字)は、取引過程で誰もが使用を欲する商標であり、文字自体の識別力の弱い商標と言えます。このような商標を文字のみの商標(標準文字)として出願すると、「識別力」がない商標であるとして、登録されない可能性が高いように思われます。

 しかし、この商標は、カスレ文字の特殊フォントや、枠・ドット・イラストなどのデザインがあしらわれています。このデザインが、文字との組み合わせによって、他のサービスと識別する力を持っていれば、登録されることになります。

 実際に本件商標は登録されており、少なくとも特許庁は、本件商標の識別力を認めていることになります。本件商標は、デザインが識別力を生み出したということが言えるように思います。

 通常、識別力の弱い商標は、誰もが使用したい商標ですので、出来れば登録して使用を独占したいものです。でも、登録される可能性は低い。基本的に商標識別力と、登録可能性はトレードオフの関係にあります。デザインは、この関係に作用して、識別力の弱い文字を含む商標の登録可能性を高められる力を持っていると言えます。(下図参照)

識別力と登録可能性

(3)まとめ


 今回は、商標登録におけるデザインの役割についてのお話でした。意匠におけるデザインは、モノの使い勝手を良くしたり、人の気持ちを豊かにしたりする役割を果たしますが、商標におけるデザインは、他者との識別力を持たせるという役割があります。最後まで、お付き合いいただきましてありがとうございました💦


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