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アップル社/スマホコンセントの意匠(デザイン)のポイント(本質)を掴む。

 こんにちはnabです。いわゆる企業弁理士として、中小企業の知財課に勤務しています。今回は、デザインの差別化を経営戦略として取り入れているアップル社の登録意匠を取り上げ、ポイント(本質)をJ-Pratpadの審査経過書類を参酌しながら、確認していきたいと思います。

※この記事の「ポイント(本質)」とは、審査経過において、従来のデザイン(意匠)と類似していないと判断された点を指します。意匠権を取得するためには、少なくとも従来のデザインと類似していないことが必要です。

デザインに関する独占的権利の取得に興味のあるクリエイターさんに意匠権を発生させるための勘所みたいなものを把握して頂ければ幸いです👍️

①審査経過書類へアクセス

 審査経過書類へは、J-Pratpadのホーム画面で、対象の意匠番号(今回は1666210号)を打ち込んで検索ボタンをクリックします。

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 画面の右部分に『経過書類』が表示されますので、そこにアクセスすることで、拒絶理由通知書、手続き補正書、意見書、審判情報などの審査経過書類を確認することが出来ます。

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 意匠法において、既に公知となった意匠又はそれに類似する意匠(新規性違反)は、意匠登録できない決まりとなっている為、新規性(3条1項3号)についてのやりとりがされているものは、意匠登録のポイント(本質)を論じている可能性が高いです。

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 今回のケースは、(新規性)3条1項3号違反が、審判段階で争われていましたので、審決をクリックして経過をそのやり取りを確認します。

今回対象の意匠及び従来意匠(従来品)の図面を確認します。   

左が今回対象の意匠、右が引用意匠(従来品)の図面です。

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 出願人は、この2つの意匠(デザイン)が類似か否かが審判において、争われており、両者の相違点に言及している部分を抜粋します。

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審判官は、今回の出願の意匠と従来意匠について、以下の2点について相違が大きいと判断しています。

相違点1  外観形状

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引用意匠 ⇒ 底面が略正方形である角丸四角柱形状

本願意匠 ⇒ やや扁平な角丸四角柱形状

相違点2  コンセントの角の丸み

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引用意匠(従来品) 
⇒ 変化する曲率の丸み

本願意匠(今回) 
⇒ 一定の曲率の丸み

そして主に上記2つの相違が、意匠全体として観察した場合に需要者(ユーザー)に異なる美観を起こさせる為、両意匠は類似しない。と判断しています。そして、本件は登録査定がされています。

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 見方によれば、コンセントの外形や、丸み具合といったこんな些細な部分が相違するだけで類似しないと判断されるんだ。という捉え方も出来ます。                     

 意匠権による保護により「このデザインはアップルっぽいよね。」といったその企業特有のデザインコンセプトや、また人間工学に基づいた合理的なデザインなど、他社が模倣したくなるような物品の美的外観について独占権を取得することが出来ます。

近年は、企業のデザイン戦略思考が進み、徐々にではありますが、意匠の出願件数も増えてきています‼️今後も定期的に意匠(デザイン)の話題にも触れて行ければと思います😆👍️❤️

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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