実用新案という選択肢〜アイデアの資産化〜
こんにちは😊元中小企業弁理士のnabです。本日は、アイデア、技術を資産化(権利化)する方法として、特許出願以外の選択肢があるよというお話をさせて頂きます💦
表紙画像は、みんなのフォトギャラリーから頂きました。shuheiinoueさんありがとうございます。
(1)実用新案登録出願という選択肢
主に、アイデア・技術を扱う産業財産権は、特許権と実用新案権です。両者の主な違いを以下に挙げてみました。
実用新案権は、比較的技術レベルの低い考案も対象に含まれ、基本無審査で登録されます。実用新案権は、権利行使する場合に注意が必要ですが、基本無審査のまま、登録公報としてデータベースに掲載されます。無審査で掲載された実用新案公報は、調査する側にとって、非常にやっかいな存在となります。
(2)実用新案の対費用効果をシュミレーション
アイスクリームの実用新案権が登録されていましたので、ご紹介させていただきます😊
・検索式
FI A23G9/50※ AND 全文「アイスクリーム」 236件からピックアップ
対象公報:実用新案のみ
(実開・実表・登実(U)、実全(U1)、再公表(A1)、実公・実登(Y))
※食用または非食用支持物を有する製品,例.アイスクリームコーン
・コーンの中にサツマイモペーストを充填させ、その上にアイスクリームを載せたアイスクリームの考案(実登3205629号)です。ペーストが詰まったコーンを手を汚すことなく食べることができます。
では、実用新案を出願・登録するメリットをシュミレーションしてみましょう。仮に上記アイスクリームのアイデアを思いついたします。
このアイデアによって、アイスクリーム1個につき100円の利益で、1日100個売り上げれた場合、1日1万円の利益増になります。250日営業していたとすると、年間250万円で、10年間で2500万円の利益が出ます。店舗を1→10店舗に増やして事業を展開しようとすると、2億5000万円の利益です💰
しかし、このアイスクリームの売り上げが好調であることに目を付け、模倣してくる競合が出てきたらどうなるでしょうか?
10社が同じアイスクリームを製造したとしても、何もしていなければ、法的措置を取ることが出来ません。競合他社の存在により、利益は縮小されてしまうでしょう。
仮に、利益が1/5に縮小してしまったら、単純に1店舗あたり年間約200万円・10年間で2000万円の利益遺失になります。独占権を得て、全国展開というチャンスも逃します。。
これを実用新案登録しておけば、権利は、他社の模倣抑止力として機能します。実用新案権の10年間のトータルのランニングコストは、約100万円です。
このケースであれば、競合他社の実施を抑止して、長期間で事業展開を有利に進めるために100万円の投資は、メリットがあるケースではないかと思います💦
※出願するアイデアが既に公知の場合は、他社の抑止効果が低いので、アイデアの価値については、出願時に十分検討する必要性があります。
コストや、アイデアの質を考慮して、特許はちょっと厳しい場合、実用新案権を検討することは、アイデア・技術を資産化する有効な手段になります。
(3)まとめ
今回は、実用新案のメリット及び対費用効果のシュミレーションというテーマでした。
特許・実用新案権の出願に関し、経済的な効果に加え、もう一つ、副次効果を付け加えておきます。創作の権利化は、社員に「こんなのが権利になるのか!!」という気づきを与えます。社内で出願の報奨制度などを作ったりすると、社員のアイデア創出が定着しやすくなって、企業のクリエイティビティが向上していきます💡
中小企業で、特許を保有している企業と保有していない企業の利益率の差は約1.7倍であるとのことです😲これは、例え実用新案であってももたらす効果は変わらないでしょう。
最後まで、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。今回の記事が、皆様のお役に立てる情報となれば幸いです💦
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