未来のイノベーターはどう育つのか - 他人の物差しで測らない、親も負けない思いが必要

社会に今までにない、なんらかの良いインパクトを出す。これが私のざっくり言うイノベーションの解釈です。

イノベーションを起こす人の共通項って何があるのだろうというのが本書のテーマ。

子どもと体も心も向き合い愛情を注ぐことで非認知能力を育てることができ、子どもが「自分の価値尺度を信じることができ、心からワクワクすることに取り組めて、家族や仲間と良好な関係を築いていける」ようになり、それが人生を豊かなものにする。と、別の書評で書いた。

そこから一歩踏み込んで、イノベーションを起こす子どもというのは、特別何か違いがあるのだろうか?
まずは、イノベーションを起こす人は、以下の5つの能力を備えている必要がある。
- 実行力(1. 質問力・2. 観察力・3. 実験力・4. ネットワーク力)
- 思考力(5. 関連付け力)

これは、イノベーターのジレンマやジョブ理論で有名なクリステンセン教授がイノベーター3,500人を調査してまとめた結果です。

実行力と思考力を身に付けるために子どもの時代に必要なこと

ちょっと脱線してしまったが、イノベーターが持ち合わす能力を身につけていく素地を作るために親がどういった教育をしてきたかを実例をもとに一般化したのが本書。
ポイントは、いかに子どもの内的モチベーションに火をつけることができるか?という点ですね。
なぜならば、イノベーションを起こすには、(ある分野への)専門性と創造性は必要だが、この2つを身に付けるためには内的なモチベーションが必須だからです。

モチベーションには、3つのステップを経ます。
1. 遊び
2.情熱
3. 目的意識

これは、子ども時代の自分で作り出すクリエイティブな遊びから、青年時代に情熱を傾けることができるテーマを見つけ、失敗を含む様々な経験を踏まえて目的意識へと発展していきます。

この流れをサポートしてあげるのが、親の役目ですね。種火から炭に火を移し、簡単には消えない強い火を作っていくイメージを持ちました。

遊び・情熱・目的意識へとつなげるために親ができること

本書では7人のイノベーターを丁寧に取材しているが、その共通項として
1.  子どもがやりたいことを後押しする環境を作る
2. 子どもの想像力をかき立てるような広く目を向ける機会を作る
3. 「普通」でない親でいる不安に対して強い意志を持つ
というものが見られました。

1と2は子どものための環境づくりで、3は親の姿勢、言行一致させようねという話です。

やりたいことの後押しをする環境を作る
子どもが熱中することを後押しするために必要なものを与えてあげる。だったり、様々な楽器を触らせて、いい反応を示すものをやらせてみるだったり。親がやって欲しいことに誘導するのではなく、子どもをよく観察して興味を持っていることを深堀する手助けをする。
うちは、積み木やパズルよりも空想劇やダンスに熱をあげるので、創造性が鍛えられるからとレゴを無理やりやらせるのは違うんだろうな。と思いました。

子どもの想像力をかき立てるような広く目を向ける機会を作る
おもちゃを「砂、水、粘土、絵の具、ブロック」といった子どもの想像力を伸ばす素材を扱ってみる。だったり、必ず家族で1時間好きな本を読む時間を毎日取る、といったことは面白そうだなと思いました。
でも、家で砂・水・絵の具などを大々的にやると大変なことになるので、そういう機会を設けてくれる保育園や教室を利用するのはいいのかな〜と思います。みんなで本を読む時間を毎日作るというのも、親も一緒になった活動ですごくいいです。

「普通」でない親でいる不安に対して強い意志を持つ
実はこれが一番厄介かもしれないです。親は子どもに求めるが、親自身が求めるに足る行動ができているのか?という自問自答は常にしていきたいです。
子どもが小さいうちはただ好きなことに打ち込んで欲しいという気持ちでいられます。でも、成長するにつれ、世間の物差しで評価をしがちになってしまいます。
親が外圧を跳ね除けて子どもの意思を尊重したり、成績でなく学習の機会を与えることを重視していることを行動で表すのは、親にとっても勇気がいります。

アメリカもイノベーションを起こせないという課題を持っている驚き

日本では、アメリカはイノベーション大国で、教育も先進的という内容の記事が目立ちます。
でも、アメリカであっても、世間の期待に応え、学校でいい成績を取れる一般的に言われる「いい子」が求められ、イノベーションが生まれづらい環境にあるという危機を持っているようです。
日本はアメリカに対して遅れていると言われるが、どの国でも学校教育では同じ問題を抱えているんだな〜というのがわかったのはよかったです。




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