採用面接時のポイントメモ

面接について考えることがあったので、メモとしてまとめました。


組織にとって外部から新しい人に入ってもらうことは重要です。では、入ってもらうかどうかを決める際に、どこを確認していくのか。
この基準は人によってまちまちだと思っています。また、同じ人でも、日によって見るところや質問内容が変わってしまうこともあると思っています。
採用面接の際に確認する基準を設定し、面接する人の違いやその日の気分の違いによる面接評価のブレを少なくすることを目的として、以下の内容を記載しています。

まずは参考文献。
主にこの4冊を参考にしました。全てが非常にためになる本でした。
採用基準 伊賀泰代
経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術 小野 壮彦 
WORK RULES ラズロ・ボック
NO RULES 世界一「自由」な会社、Netflix リード・ヘイスティングス

①採用面接で理解したい資質

スキルや経験が十分であり、業務をこなせるか

業務をお願いする上で最低限必要なもの。主に現場で業務に詳しい人間が判断する。

チェックポイント
・過去の業務経験などからこちらの求める業務遂行が期待できる
・スキルテストをパスできるレベル

成果を出せるか

個人の行動にはパターンがあり、過去のパターンから未来の期待値がわかる。入ってすぐに出せる成果、今後の成長から期待できる成果の2つで判断する。ファクト(実際の行動)に注目するのが重要。リーダーシップと行動特性*1の2つを重視。
主に本部のマネージャーが判断する。

*1 行動特性:人はそれぞれ、一定の状況で一定の行動を取る傾向があるというもの

チェックポイント
リーダーシップ
自分で判断し、結果責任を持ち、なぜそうしたかの理由を説明できる。自分自身で物ごとを前に進める力。
行動特性
過去の行動は「事実」であり、将来似たような現象が起きた際に同じ行動をとる期待値はとても高い。その期待値が、求める人物に合致していることが重要。

行動特性の確認方法
答えで中心になっている行動がその人が重視する行動特性を示す。
こちらから見ている行動特性を誘導するのではなく、相手から具体的な事例を引き出し、そこから確認していくのがポイント。

(例)エピソードを話す時にフォーカスされる内容が
・チームワークで乗り越えたこと→協力関係を築き、困難を乗り越えることを重視する特性
・やり方を根本から変更したこと→変革し、新しさを見出すことを重視する特性

将来さらに活躍できそうか

会社に良い影響を与え得る人材であるか、将来の伸びしろと人物をもとに検討する。ポテンシャルと人物の2つを重視。
主に経営陣や採用責任者が判断する。ただし、人物に関しては全員が要チェック。

チェックポイント
ポテンシャル
その人の「伸びしろ」。以下の4つの資質を確認し、その人の器の大きさを測る。経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術 小野 壮彦 では、以下の4つが挙げられている。

(ポテンシャル4要素)
好奇心:新しいことを知りたい、経験したい、他の人の考えを取り入れたいという気持ち
洞察力:様々な情報を集めて、新たな法則や課題を発見し、物事を理解したいという気持ち
共鳴力:自分の思いを相手に伝え、思いを伝播し、つながりを生みたいという気持ち
胆力 :大きなチャレンジや自分が試される難しい状況を楽しむ気持ち

・人物
善の存在か。悪影響を及ぼす人(Evil)ではないか。
一番危険なのは④の優秀だが周りに悪影響を及ぼす人材


出典:小野壮彦. 経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術 (p.46). フォレスト出版株式会社. Kindle

【ここが一番大事!!】
*ブリリアントジャーク(有能だけど有害(Evil)な人のこと)を採用しない。

ざっとEvilのチェックポイントをさらう
①自分の有能さを必要以上にアピールしている
②同僚や部下のいいところや学べるところが出てこない
③過去の成功要因が全て自分のおかげと思っている
④否定されると強い不快感を示す
⑤会社のポジションや決裁権を異様に気にする
⑥自分より下とみなした人に対して横柄な態度を取る

この人優秀そうだけどEvilかも、と疑問を持ったら、現職の部下や同僚のリファレンスを取る提案をするのも一つ。経費を使い込んじゃう人や、上司に媚を売り部下を足蹴にする人も一定数います。
一緒に働いていると不快な人がいるだけで、周りの社員のモチベーションはかなり落ちていきます。
この人はEvilではなさそうだという評価項目は全てのプロセスにマストで入れておきたい。

②カルチャーフィットについて

カルチャーフィットとは何か?

採用活動では、 個人の価値観が企業文化とマッチしているかどうか、社風に合っているか合っていないか、という部分を示しています。
企業文化とのマッチというのは、会社の価値観と言い換えられると思います。会社の価値観と候補者個人の価値観が名実ともに一致している状態が、入社時にカルチャーフィットが高い状態であると言えます。

会社の考え方と候補者の行動やものの見方のマッチ度を見る
会社側(考え方)
a. ミッションやビジョンの根底にある考え方
b. 同僚や顧客との関わり方
c. バリューの内容
候補者側(実際の行動やものの見方)
a. その人が周りの人の何を評価するタイプか
b. 成果の要因分析の傾向
c. 個人的に大事にしている信条とそれを元にした意思決定の実績

カルチャーフィットは入社後に強めていくもの

カルチャーフィットは絶対に外せない項目以外は重視しなくて良いと考えています。Evilな人物ではないことが超重要です。
なぜならば、現時点でカルチャーフィットをする人物であるかの判断に固執するよりも、いい人に入ってもらい、評価制度の設計や会社のキーメンバーの振る舞いを通じて、「会社らしい」人材を示していくことが望ましい。いい人であれば、それを受け入れて活躍してくれるからです。

③面接の進め方

構造的面接を心がける

構造的面接とは、応募者全員に一貫した同じ質問をし、明確な基準に従って回答を評価する面接のことである。
冒頭に、「面接する人の違いやその日の気分の違いによるブレを少なくすることを目的」と記載したように、この面接スタイルをとって毎回行われる面接に客観性を持たせて、質を一定に保つことを意図しています。

構造的面接を行う必要性

主要因は 確証バイアス*1である。面接に客観性を持たせない限り、面接官の最初の印象で合否が決まってしまう可能性が高い。(以下の論文*2を参照)
そのため、面接において何を評価したいのかを明確にし、思いつきではなくあらかじめ意図を持って設計された質問を投げかける。

* 1 確証バイアスとは
認知心理学や社会心理学で取り上げられるバイアスの一つ。 自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりに目が行き、そうではない情報は軽視してしまう傾向のことを指す。

*2 論文による確証バイアスの検証

面接項目候補者を見た最初の10秒程度で持った印象と、20分のインタビューを経た後の評価は、11項目中9項目が優位に関連していたという論文。
確証バイアスが働き、最初の10秒の印象を裏付けるために残りの時間を費やしていると言える。

“The Importance of First Impressions in a Job Interview”  J.T.Prickett, N. Gada-Jain, and F. J. Bernieri, May 2000

エピソードベース&構造的面接の提案

スキルや経験を確認するための質問を除き、面接の評価は、該当の評価項目に対応する質問をリストで用意し、その質問をもとに相手から実際の行動エピソードを引き出す。
そして、引き出したエピソードをもとに評価項目に対して評価をするプロセスを提案する。
どんなことを聞き、どういう風に引き出していくか。に関しては、会社が求めるポジションや人物をもとに検討する。
質問自体よりも、エピソードを引き出して吟味することがとても重要。

以上。

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