【料理エッセイ】とんかつとFX
地元のとんかつ屋さんが凄かった。住宅街に佇む民家のような店舗でひっそり、背中の曲がったおじいさんが職人技を発揮していた。カリッ、サクッ、ジュワッの模範解答みたいな揚げ具合。幸せな美味しさだった。
小学生の頃、両親に連れて行ってもらったときの感動は忘れられない。漫画『美味しんぼ』に「いいかい学生さん、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。それが、人間偉過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ」という名言があるけれど、わたしも幼心にと