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私たちを想像させるような独特な世界観「小手毬るいさんの”窓”」

窓 小手毬るい

そのノートには、「できるかもしれない」は「やらなくてはならない」に変わっていった。
と書き連ねてあった。

ある日、中学2年の窓香の元に1年前に亡くなったと知らされた母が生前に
自分に綴ったノートが届き、窓香は母のその時の心情を知ります。
それは自分との別れの苦悩と新たな決意が綴ってありました。

窓香は過去の思い出を振り返りながら、
母のジャーナリストとしての記録を辿ります。

著者である小手毬るいさんの小説は、他の本にも表れていますが
表現一つひとつに、私たちを想像させるような独特な世界観があります。

たとえば、

乏しい語彙を軽く笑いとばすかのようにして、
宇宙的名勝地はたたずんでいるのです。
あたりには、清潔な沈黙だけが漂っています。
大空と大地のなかにあるのは、微小と沈黙の世界です。

読み進める中で、一旦手を止めながらふと情景を思い浮かべます。
そうすると、確かに情景は浮かび、その情景に入り込んでいくのです。

これは著者が敬愛する歌手の松山千春さんの影響もあるのだろうかと
勝手に想像しますが、どうなのでしょうか?
(本の中にも松山さんの「寒い夜」が登場してきます)

現在の世界情勢から考えられることと、窓香の淡い恋もからめつつ、
物語は進んでいきます。

新しい窓を開けて、旅立ちを迎えた窓香の姿からきっと感じることが
あるのではないかと思います。

書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~