短歌連作「青を辿る」
*1月に和歌の浦に短歌ワークショップのサポートに行ったときに作った連作です。
「青を辿る」 なべとびすこ
鼻炎薬飲んだらいつもより眠い知らない町のココカラファイン
鳥を撮るためにズームをするうちに鳥はとっくにいなくなってた
釣り堀の足場は不安定だから何度も見てる大好きな靴
椅子たちが自販機前で話してる首相が襲撃された港で
曇天は雨をこぼさず灯台に登れば僕も誰かのしるし
殿様はすごくて祭のためだけに橋かけたって のど飴渡す
<神域は撮影禁止>"写真には写らない美しさがあるから"?
鉄ばかり食べてた獏に僕の夢をあげる 最初は喜んでたよ
<たき火・たばこ禁止>の場所で魂を今だけオール電化に変えて
最近は明るい僕だ 雨のなか微笑んでいる菩薩にピース
青いだろう 別にここから見えんでも防風林が隠した海は
鳳凰が来ない時代を生きていて祈りを歌のかたちに変える
見上げられることには慣れた黄金の観音像も窓を見ている
一斉に傘をたたんでエレベーター乗れば水滴すら僕のもの
色褪せたローソンの色もローソンでパーカーの紐を結んでほどく
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