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短歌の「すみっこ」を伝えるWebマガジン TANKANESS 1年続きました

2019年4月30日、平成最後の日に始まった、短歌の「すみっこ」を伝えるwebマガジン TANKANESSが先週に1周年を迎えました。

(1周年企画も行ったので、よかったら読んでください)

ほぼ自分語りになりますが、改めて設立の経緯や思い、1年間の反省や良かったことなどをダラダラと振り返っていこうと思います。

TANKANESSの構想〜スタートまで

TANKANESSの構想はスタートより1年くらい前からあって、思いついたら即行動、見切り発車でなんでも始めてしまう私にしてはしっかり時間をかけてから始めた企画でした。

webマガジン、webメディアは、私には馴染みのあるものでした。

学生の頃からオモコロを読んでいて、派生メディアのヌートン(現・オモコロブロス)、ジモコロにもたどり着きました。
老舗メディアのデイリーポータルZも数年前から毎日チェックしはじめ、音楽系のメディアなど、いろいろ雑多に読む期間が数年続いていました。

そういうなかで、「この人の記事好きやな!過去の記事も全部読むか!」みたいな感じで過去記事を漁ったり、ほかのメディアに寄稿してたらそれも読んだり…
面白い記事があればそのメディアもチェックし始めたり…
という感じでWebメディアを楽しませてもらっていました。

そのなかでTANKANESSの構想が明確になったきっかけはいくつかありました。

「QuizKnock」の動画を見てハマって、web記事も読み始めた頃です。

QuizKnockはクイズをテーマにするwebメディアです。
私はクイズ番組をたまに見る程度だったので、
「クイズ」を軸に据えるだけでこんなに幅広い記事や企画が生まれるんや?!
という感動がありました。

じゃあ、「短歌を軸にしたwebメディア」も作れるのでは…?

と、ふんわり思いはじめました。

そして、QuizKnockに直接自分のゲームを送って動画で遊んでもらい、こちらも大きな反響をいただきました(完全にQuizKnockメンバーのおかげですが…)

ほとんど同時期、「withnews」というwebメディアにインタビューを掲載していただきました。
このメディア経由でYahoo!ニュースに載ったりもして、それを見た友人から連絡がありました。


「webやからこそできることがもっとあるんかもな」

という思いは強くなってきました。


冷静に考えたとき、短歌に興味を持ったとしても、いろんなハードルがあります。

・お金がなくて歌集が買えない、短歌教室は気になるけど通えない…という金銭面

・近くに本屋や図書館がない、短歌をやってるけど短歌のイベントが周りにない…という地域性

・仕事や家事育児などに日々忙しくて歌集や短歌の入門書や短歌雑誌をゆっくり読んだりできない…という時間の制限

・歌会やワークショップに行きたいけど、病気や障害があって外に出るのが難しい、介護や育児などで家をあけられない、対面での人間関係が苦手…など、外出自体のハードル

こういった多くのハードルの一部は、webで解決できるんじゃないか、と思いました。もちろんほんの一部です。

webなら、広告は出るかもしれないけど、基本的に読むのは無料で、
ネットにつながればいつでも読めて、忙しくてもスキマの時間や眠れないときに少しずつ読めます。


短歌界隈はTwitterやnoteなどのSNSでの発信や交流も盛んですし、PDFを登録したら全国のコンビニで出力できる「ネットプリント」の活用や、最近ではZOOMやdiscord、Skypeを使ったオンライン歌会など、けっこうデジタルなものをしっかり活用しているイメージです。

だからこそ、「今のwebでの環境ですでにそこそこ楽しめるんじゃ?」
「わざわざwebマガジンを新たに立ち上げる必要はあるか?」という疑問もありました。

webマガジンという形で続けるには、当然いろいろな経費がかかります。
運営は個人なので、あがってきた原稿の編集、サムネイル画像の作成、ライターへの連絡をはじめとした裏方の仕事もたくさんあり、時間はたくさん取られます。

できるだけ更新が途切れないようにいろんな人にお願いして記事を書いてもらわなければいけません。

でも自分で書きたい記事もあるし…
そもそも、編集されたこともないのに人の編集なんてできんのか?
という気持ちも大きかったです。

そんな不安が全く解消することもないままで、始めるなら覚えやすい平成最後の日かな、と思ってはじめたのが1年前です。

他メディアでも書かせてもらおう

ライターの方のツテもほとんどなかったのですが、相互フォローだった高下龍司さんをスカウトして、そこからCRAZY STUDY(現・クレイジースタディ)サンポー など他のWebメディアのライターの方とも知り合うことができました。

編集するには編集される側の立場に立たないと、と思い、クレイジースタディやサンポーに寄稿させていただきました。


こういった記事が、デイリーポータルZの投稿欄「自由ポータルZ」にも掲載されました。ここに掲載されるデイリー編集部からコメントをいただけるので、ここでのコメントも非常に参考になりました。

TANKANESSの運営をしつつ、こういった他のメディアで書くことで、編集もライティングも未経験だった頃から、編集するときの手探り感は軽減されました。

とはいえ時間もお金もない

他のメディアで書き始めたりもしつつ、去年は仕事を辞めて3ヶ月間週末は東京でワークショップデザイナーの勉強をしていました。わかっていたことですが、毎週交通費はかかるし、無職でお金のことも不安なので深夜バスで帰るから疲れるし、授業が終わってすぐに転職できるかもわからない。

そのなかで「TANKANESSでにお金と時間を割いている場合か? 自分の貯金も減っていくばっかりやし、そろそろ転職活動もしないとあかんのに?」という気持ちが日に日に大きくなり、同時期にろいろトラブルがあったりして、精神的に落ち込む時期もありました。

結局そこから何か大きな打開策があったわけではないのですが、転職先が決まれば日中に考え込む時間が減って、更新頻度が減ったとしてもゆるく続けていきたいと思えるようになりました。

なんやかんやで1年経ちました

というわけで、劇的なエピソードは特にないままなんとか1年続けられました。

1周年企画で「TANKANESSライターが選ぶ好きなTANKANESS記事」をライターの方から募集し、自分も好きな記事を探すために1年間の記事を眺めていました。

「この記事も良かったな〜、こっちも良いよな〜」といろいろな思い出が蘇ってきて、「あ〜1年なんとか続いたんやな〜」と実感できました。

とはいえ、1年なんかまだまだ始まったばかりですので、今後もがんばっていこうと思います。

先日からTANKANESSでは「階段歌壇」という投稿欄がスタートしました。選者は橋爪志保さんにお願いしています。読者を巻き込んでの企画という新しい取り組みができて嬉しいです。

先日は橋爪志保さんとの対談も公開されました。けっこうなボリュームですが、自分の短歌に関する考えなどをしっかりまとめていただいたので、個人的にはとても嬉しいです。


そんな感じで、1年続けてきたTANKANESSはこれからも続きます。

赤字運営なのはこれまで通りですので、もしよければぜひサポート機能で応援していただければと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

サポートいただいた分はTANKANESSの運営費など、全て短歌のために使用します。サポートいただけると本当に助かります。