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連作「スペアマン」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。
今回は、短歌連作サークル『あみもの』2019年12月号に掲載した連作です。


連作「スペアマン」_アートボード 1


「スペアマン」

客のフリするのも「サクラ」タダで見る花も僕らはありがたがれる


B組に主役の教師がいたとして僕はD組あたりの生徒

このモブの女生徒もそれなりに役作りとかしてんだろうな

居るだけで充分だって言ってくれ。メガネをかけて目を閉じてみる

天国に行ってしまった君がいない集合写真に写る僕たち

拍手音。ひとつ聴こえて死んだ蚊を祈らずすぐに液晶を見る

午前二時 フミキリに行くことはなく自宅の中で青春が済む

「魂のメモリが不足しています」どれが大事な思い出だっけ

ホテル内全員他人。カプセルの内容物になって東京

君の言う「いろいろあって」のいろいろのひとつを聞かせてくれてよかった

何パンマン食べたんだろうアンパンマングミの残りの3体を見る

運命のレンヂは広めに取っておく「また明日」って言って明日会う

パイプ椅子 昨日も座ったやつだった裂けたところに当てる指先

いるだけで充分な時もある トイレットペーパーの拭かない部分

咲く前もさくらだったよ背景になって暮らせる才能もある



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