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なべとびすこ 自選30首

なべとびすこです。
7月26日に30歳になりました。

現時点での短歌 自選30首です。

縦書きが好みの方は画像を、横書きが好みの方は本文をお読みください。

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ふるさとを離れた人がふるさとを語るテレビをふるさとで見る

常温の毛布と体温分けあって一人っきりで春を身籠る

咲いているだけで咲き誇るだなんて僕らは呼吸じゃ生き誇れない

頼りない安全バーを握りしめずっと夢中なフリをしている

頼んでもないのにドアが開く街で呼吸をひらく相手がいない

カービィが僕を吸い込んだとしてもコピーはせずに吐き出すだろう

(苦しいと言っちゃいけない苦しいと言っちゃいけない)とても「   」

午前二時 フミキリに行くことはなく自宅の中で青春が済む

ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる町 でもふるさとを他に知らない

来年で大殺界も明けますというネタバレで迎える年始

雪よりは冷たくないけど雨に触れ三井のリパーク「空」、空は白

ポケットのないドラえもんが現れてぼくを試すかのような顔つき

世界って? 彼女はいるの? どこにある? 7日でできた?! 調べてみました!

自転車のタイヤを空気でパンパンにしてからずっと町が揺れてる

元号をはじめて跨ぐ元号を跨げず死んだ人を数えて

朝ドラのヒロインならば「終」と出る場面で全然切り替わらない

まだ僕に馴染んでいない革靴が馴染む頃には見れないさくら

音だけが聞こえる花火、シャッターの降りたたばこ屋、ぬるい魂

君の言う「いろいろあって」のいろいろのひとつを聞かせてくれてよかった

話せないじいちゃんは耳を動かして僕にできないことばっかりだ

ばあちゃんは忘れることがうまくなる 僕は思い出をおろせないまま

ディティールは忘れてたけどまた春で、春は秋より温度が低い

「とりあえず」とかで決めない僕たちが入店直後に頼む釜飯

B組に主役の教師がいたとして僕はD組あたりの生徒

生きような、まだ。器用貧乏な君も、不器用で貧乏な僕も

ギャグ漫画っぽい人がいるから今日もここでは誰も死なないだろう

ふさわしい陽光にあなたは包まれて1月なのに夏の青空

ランタンで僕だけ明るくなっている 神戸の君はまだ夜ですか

もし尻尾あったらあったで楽しむよズボンの穴を星型にする

咲く前もさくらだったよ背景になって暮らせる才能もある



以上です。

30代もよろしくお願いいたします。

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