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なべとびすこ短歌連作

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なべとびすこが作った短歌の連作をまとめています。
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#過去作

連作「空を歩く」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は、千原こはぎさん企画の「獅子座有志による獅子座のための獅子座な短歌集「獅子座同盟6」」に掲載した連作です。 「空を歩く」 棒の足4本君と引きずって梅田の日曜は人人人人 梅田にはスタバがめっちゃあるつまり梅田は夜空、夜空で話す 星型の星はどこにも無いんだし君は君型にこだわらないで 結婚の知らせが続続届く年齢(とし)たった一人を君も見つけた UNIQLOもマクドもサイゼリヤも君と行った

連作「スペアマン」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は、短歌連作サークル『あみもの』2019年12月号に掲載した連作です。 「スペアマン」 客のフリするのも「サクラ」タダで見る花も僕らはありがたがれる B組に主役の教師がいたとして僕はD組あたりの生徒 このモブの女生徒もそれなりに役作りとかしてんだろうな 居るだけで充分だって言ってくれ。メガネをかけて目を閉じてみる 天国に行ってしまった君がいない集合写真に写る僕たち 拍手音。ひとつ聴

連作「清水の舞台の横を通る」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は、短歌連作サークル『あみもの』2020年1月号に掲載した連作です。 「清水の舞台の横を通る」 大吉じゃなくても平気 末吉も努力でカバーできる君なら おみくじの結果で笑いあったからこの1年はきっと良くなる 神さまは君を幸せにしてほしい今年の僕は自力でやるんで 誠実に慎重にでも前を見る力が僕ら3人にある 祈ったよ 僕らはちゃんと祈ったから推進力でゆっくり進む 清水の舞台を飛ばなくても

連作「真ん中にいる」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は2018年に九条しょーこさんが発行した同人誌、同人誌『Crescent Chocolat vol.2』に掲載した「平成」をテーマにした連作です。 「真ん中にいる」 元号をはじめて跨ぐ元号を跨げず死んだ人を数えて 「あの頃は良かった」なんて平成もノスタルジーの文脈へ行く 新しい時代の最初の1日が雨だとしても延長はない 平成の幕を下ろして「  」の幕が上がるよ主役は変わる 僕たちは最

連作「こっちの世界が正解」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は2018年に小泉夜雨さん、笠原楓奏さんが企画したネットプリント企画、ゆとり教育世代短歌アンソロジー「ゆとったけっかがこれだよ!」に掲載した連作です。 「こっちの世界が正解」 あ、ビール無理です。えっとジンバックあります?それでお願いします。 とりあえずビールなわけがないでしょう一杯目から楽しまないと いやビールでもいいですよ本当にビールが一番好きな人なら すみません、個人プレーで梅茶

連作「飲まずにやってられるよ」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は2019年「関西短歌な忘年会」開催記念として千原こはぎさんが制作したフリーペーパー「うたげ」に掲載した連作です。 「飲まずにやってられるよ」 腹を割るための酒なら要らなくて話せる場所としての居酒屋 失恋をしたって君は飲まないし僕も酔わない火曜のトリキ なぐさめてくれたもんなあ、就活のときは。今度は役に立ちたい 「とりあえず」とかで決めない僕たちが入店直後に頼む釜飯 オールフリー/ミ

連作「ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる」

※なべとびすこが制作した過去の短歌連作を少しずつnoteに掲載していきます。 今回は私家版歌集『ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる』に収録した表題作を掲載します。 縦書きが好みの方は画像を、横書きが好みの方は本文をお読みください。 ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる 自転車のタイヤを空気でパンパンにしてからずっと町が揺れてる ふるさとを離れた人がふるさとを語るテレビをふるさとで見る 埋め立てて作られた町かつて海だったと知らずに猫も雀も 学年で最初にメガネをかけた日に見えな