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ピタゴラスに恋をする[数秘術について]

学生の頃、いちばん好きな教科は数学でした。数式が綺麗で好きだったし、先生の数学への愛を、授業を通して感じられるのが好きでした。

だけど進学で美大を選んでから、それはうんと遠い存在になりました。美大に数学の授業はなく、新しい公式を覚える必要はありません。直に私はほとんどの数式を忘れ、簡単な暗算も以前のようにはできなくなりました。

寂しいな。何か数学に触れられる機会はないだろうかと、求めていました。そんなときに見つけたのが、数秘術の本『[魂の目的]ソウルナビゲーションーあなたは何をするために生まれてきたのか』(以下、ソウルナビゲーション)です。

なんて怪しいタイトルでしょう。

だけど中身は、意外と(?)理系ベースのスパルタです。もともとスポーツトレーナーだった作者が、数秘術をもとに読者の人生をコーチングする体で書かれています。数秘術というと「占いでしょ」と言われることも多いのですが、この本に関しては占いの定義に収まるそれではありません。

そしてそのコーチングは、数秘術というピタゴラスが作った学術をもとに行われます。そう、ピタゴラス。数学の授業で大変お世話になった「ピタゴラスの定理」と、大人になって知った本が繋がった。私は感動しました。これなら今の私にも、数字の世界を楽しめると。

この記事は【名前考え中】が『ソウルナビゲーション』から学んだ数秘術について、好き勝手に語るものです。いつも日記やエッセイを書いているから、時にはこんな番外編もいいかなと思いまして。雑学として「数秘術ってこういう感じなんだ」あるいは「絵描きから見た世界ってこんな感じなんだ」と楽しんでもらえたら幸いです。

数秘術ってどんなもの?

まず、数秘術の中でもいちばん花形の“誕生数”についてお話をしましょう。

数秘術では、生年月日から自分の「誕生数」を割り出します。例えば私の誕生日で計算すると、西暦1989年10月11日なので下のような式になります。

1+9+8+9+1+0+1+1=30

そう、生年月日をバラして、全部足すだけ。とっても簡単です。
生年月日を足すと私は30になります。まだ二桁だから、もう一度足してみましょう。

3+0=3

生年月日を順に2回足した最終数である3、これが私の誕生数です。

数秘術では、1から9の数字それぞれに性質を見出します。私の誕生数"3"が示す性質は、"表現と感性"。独自の感性を活かし、表現の課題を克服することが、誕生数3の示す道です。

ソウルナビゲーションでは、誕生数によってその人の「課題」と「資質」を指し示します。あなたにはどこに山(課題)があって、山を登るためにどんな道具(資質)を持っているのかを、端的に教えてくれるのです。そしてその人生マップをどう辿るかは人それぞれ。誕生数を介して「あなたはどうしたい?」と問いかけられます。

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どうして数字でわかるの?

(あまり説明が上手じゃないのですが)私の感覚としては、数字って宇宙をいちばん単純に記号化したものだから、人間が法則を見つけるのにたやすいのだと思います。宇宙を1から9の数に分割したとき、わたしの生まれた日は3にあたります。生まれ故郷や家族、そして容姿が私の人生に大きな影響を与えるように、3のカードを持って生まれたことは私の人生に大きく関わるのです。

今私たちが知ってる数の数え方は、9までいったらそこに0(空)を加えて、また1(十)に戻る十進法というもの。だから数の基本は1から9(と0)で構成されています。それを使って宇宙の法則を見つけようとするのが、数学や数秘術なのです。

ちなみに現存する人の誕生数を割り出すと、必ず1から12までの数字におさまります。時計の羅針盤と同じなんですよ。おもしろいね。

3は表現に障害がある

もうちょっと詳しく見ていくために、私の誕生数3を例に掘り下げていきましょう。

ソウルナビゲーションを読むと、「3は表現に障害がある」と書かれています。口下手だったり、実際に喉に障害を持つ人もいれば、第二言語習得に苦労する人もいるようです。

私は15~20歳くらいまで、人前はおろか友だちと話すことも躊躇われました。もとは授業中に率先して手をあげる子どもでしたが、中学に上がる頃から喋ろうとすると言葉に詰まり、焦って、頭に血が上りました。だから友だちと過ごすときは、できるだけ聞き役に回っていました。

だけどコミュニケーションにおいて、自分の意見や気持ちを伝えることは、相手の話を聞くことと同じくらい大切です。私は何度か親しい人に「のんちゃんは何も教えてくれない」「何を考えてるのかわからない」と嘆かれたことがあります。

いくつかの恋や友情を失い、後悔しました。だから今は意識的に、発表の場を求め表現しています。どうしてもその場では言葉足らずになってしまうので、そんな自分に付け足すように、絵やエッセイを発表しているのです。

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思えば、言葉だけじゃなく「表現」とされものはどれも苦手でした。たとえば音楽、ファッション、美容。それらは自己表現を求められやすいコンテンツで、いずれも興味はありましたが、若いうちに挫折感を得ました。なんか、妙に弱気になってしまうのです。歌も、ファッションも、好きなのに抵抗がありました。

自己表現する人を見ては、強い劣等感を感じました。できないということは、それだけ悔しさや後悔を自分の中に持つということです。「他の人にはできるのに…」と嫉妬し、表現への強い切望を感じました。

だから誕生数を知って、「3は表現に障害がある。そしてそれは他の数の人には、容易いこともある」と言われたとき、種明かしされたような納得感を得ました。「だからか、」と。

これは逆に言うと、誕生数を調べて「課題点や苦手なところ」にピンと来ないのであれば、あなたに数秘術はあてはまらない、若しくはまだその段階ではないのかもしれません。今はまた別の、宇宙の法則で生きているのかもしれません。

他の誕生数の言葉

かい摘んでになりますが、他の誕生数の「課題と資質」も紹介しましょう。

1「創造と自信」
2「協力とバランス」
3「表現と感性」
4「安定とプロセス」
5「自由と訓練」
6「理想と受容」
7「信頼と解放」
8「豊かさと権威性」
9「高潔と智慧」
ーダン・ミルマン著『ソウルナビゲーション』より

お気づきでしょうか。数字が上がるごとに、言葉の重みが増していることを。私は9の「高潔と智慧」を見るたびに、自分は「表現と感性」というやる事が比較的わかりやすいテーマでよかったな…と思ってしまいます。

逆に9を代表する数字の高い人は、普段から強いプレッシャーや責任感を感じているんでしょう。たとえば、私が「うまくプレゼンできない」と悩んでいるとき、隣にいる8の人は「どうやったらこの企画はうまくいくのか」ということに集中しているかもしれません。たとえば1の人が「もっと人の役に立ちたい」と努力しているとき、それを見た6の人は「もっと頼って欲しいけど、私が必要じゃないのかな」と考えているかもしれません。

私が数秘術を知っていちばんよかったことは、人ってこんなにも見えてる世界や生きてる世界が違うんだと想像させてくれたことです。
数秘術に科学的根拠はありません。オカルトだと言われても、反論できません。だけど「人によって世界が違う」ことは、科学以前の問題です。それが当たり前なのです。私の視点からすれば「なんでそんな事するの」という他人の行動も、本人からすれば自然な選択だったりするのです。

パートナーは宇宙人

余談ですが、私のパートナーの誕生数は6になります。生年月日をバラして足すと33になり、それをもう一度足す(3+3)と、6になります。

パートナーは1992年1月29日生まれなので
1+9+9+2+1+2+9=33
これをもう一度足すと
3+3=6
数秘術ではこれを33/6と書く。

最終的な数は6ですが、その前に33を持つので、彼も私と同じように3の性質を強く持ちます。前の3は外面的な表現を意味し、後ろの3は内面的な表現に課題を持つようです。

ちなみに私の誕生数は3だけれど、その前は30で、0は前の数字をひき立たせる力を持ちます。

のぞみるきは1989年10月11日生まれなので
1+9+8+9+1+0+1+1=30
これをもう一度足すと
3+0=3
数秘術ではこれを30/3と書く。

だから3の2倍、3×2、つまり6の性質を少なからず持つそうです。要するに、似た者カップルということ。(余談の余談ですが、占いや性格診断をつかって相性をみると、私たちは「普通」「仕事仲間」って出ることが多いです。)(数秘術での相性の見方は、またいずれ。)

説によっては、33のようにダブルの数字を持つ人は、力が強いとか、ちょっと特殊だと言われることがあります。例えば11、22、44もかなり珍しいです。11はまだ私の周囲でも見かけるけれど、22は忌野清志郎、44はりゅうちぇるぐらいしか私は知りません(例よ…)。

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一方、誕生数が30の人は割合的に多いので、そういう点では量産型かもしれません。

ダブル数字を持つ人(11、22、33、44)は、その力と珍しさゆえに他の数字から羨望を受け、時に宇宙人呼ばわりされるようです。私のパートナーはどこに行っても浮く人ですが、その都度「まぁ33だから仕方がないね」と言い訳しています。

だからあなたも、「どうして私はこうなんだろう」と思うことがあれば、誕生数を調べてみると何かヒントが見つかるかもしれません。「自分の誕生数はこんな性質を持っているのか」と客観的に捉え、それを現実の自分と比べてみると、何か発見があるかもしれません。「全然当てはまらないな」と思うかもしれないし、「めちゃくちゃ当てはまるな」と思うかもしれません。どう感じたとしても、その感覚は正しいです。

数秘術の正否よりも、結果と自分の感覚のギャップを、楽しむことが大事だと思います。きっとそこに、あなたの希望があると思うから。そんな期待を込めて、この文章を綴りました。

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書いた人:名前考え中
びわ湖生まれの絵描き。誕生数は30/3。年齢は31歳。1989年生まれ。同じ誕生数を持つ有名人は、星野源と滝沢カレン。タイトルカバーは、電車から見つけたまるとさんかく。2013年撮影のものでした。

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生きる糧にします