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「トンカタリ」 02/03 マレーシア・バイアグラ

私は、「トンカタリ」の存在はここへ来た頃から知ってはいましたが、大げさに言っているのだろう、としか思っていませんでした。

しかし、ある日、森の中で数日暮らす機会があり、そこでは、毎日歩かなければならず、毎朝、足が痛くだるい状態が続きました。

日に日に歩くペースが落ちる私を見かねたイバン族の青年が、夕食後、お茶を出してくれました。こ

れが、この世のものとは思えないほど苦く、一瞬脳裏をよぎったのが、「こいつは足でまといだから、ここで殺そう」と毒をもられたのかと思ったくらいでした。
飲んでるうちに苦味には慣れて、体が少し温かくなったような気がしました。

青年曰く、これは、野生の木でトンカタリの根で、疲れがよく取れるとのこと。
でも、ポカポカする程度で、その時は、「ア~。これが、トンカタリなんだ。苦いな」と言う印象しかありませんでしたが、翌朝、目を覚ましたら、びっくり、というか、あまりにも効き過ぎて、足の痛みも浮腫みも疲れも全然無くなっていたので、最初は気付かなかったのですが、歩いている時に、ふと、
「おかしいな、昨日まで、足は痛いは、浮腫むは、疲れるは、歩くのが苦だったのに、全然、気にならないし、足が軽いようだ。
マッサージもしてないし、何か特別のものを食べてもないし、思い当たるのは、トンカタリだけ」

と思い、青年に尋ねると、
「トンカタリは、よく効くでしょ。でも、毎日飲むと、強すぎるから体に良くないから。本当に疲れて、これ以上駄目って時に飲むと良いよ」
と言って、トンカタリの根の一部分を切り取ってくれました。

沸かした水に、トンカタリの根を少量(本当に少量です)削って入れて、煎じて飲むだけです。

沸かす時に茶色に変わると出来上がりです。
最初は苦いですが、何度か飲むと、苦味を感じなくなる様ですが、苦味を感じない時は飲まない方がよいそうです。

そういう時は、体がこれをあまり必要にしていないと先住民族の人は言います。さらに、必要以上飲むと、体の抵抗力がなくなるそうです。

森から帰ってすぐ、その冒頭の人に「トンカタリ」の効用を伝えたのでしたが、「いいわね」の一言で終わり、その深夜業務連絡事件は、4年の歳月を経た後に起こったのでした。

(03/03)に続く。。。。



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