融資先のコンプライアンスリスクをどう考えるか
10月27日(金)の日本経済新聞朝刊に気になる記事がある。
特に関西地方では、同日朝刊地域経済面で、関西地銀について「不良債権比率”健全”が大半」とする記事があるからなおさらである。
前記「地銀に忍び寄る・・・・・・」では、優良先の資金流用、粉飾決算による破綻が起きるなか、審査の緩みなどを指摘し、貸倒引当金による備えの薄さに警鐘を鳴らすものである。
資金流用、粉飾決算などは論外とも思われるものであるが、そこまでに至らなくても、例えばビッグモーターように、融資先のコンプライアンス違反がその業績に大きく影響する事例は発生しうるものであり、金融機関のコンプライアンスリスク管理の埒外であることが多い。
金融機関の融資判断においては、古くから引き継がれている大原則として、①成長性の原則、②安全性の原則、③公共性の原則、④収益性の原則がある。融資先のコンプライアンスとの関わりでは、③が問題になるものと思われ、融資金が社会的に意義のある使途に利用されているかの見極めが必要であることは、現在でも変わるところはない。
前記の日経記事が指摘する問題については、これらの諸原則に基づく個別融資判断の適否が決め手になることは忘れてはならないだろう。