ECモールにおける売上UPの考え方
こんにちは。プロテーナムの渡邊です。以前は楽天市場で広告の企画をしており、コンサル会社を経て、今はECコンサルの会社(プロテーナムという会社です)で取締役をしています。
今回は「ECモールにおける売上UPの考え方」について書いていきます。これからECを始めていこう!という方向けの内容になるかと思います。
ECモールで売上を上げるにあたり、知っておくべきルール
ECモールで売上を上げるためには、以下のルールを知ったうえで、ルールに則って行動していく必要があります。
【ECモールで売上をあげる際に守るべきルール】
検索結果の上位に表示される状態を目指す
検索結果は、主に商品の販売実績に紐づくため、まずは広告をつかって売上をつくる(認知を獲得できているブランドは除く)
広告から流入するユーザーは、目的買いのユーザーと比較して、転換率が下がるため、「今」購入する理由を作る
各モールのSEOルールに則って、商品ページを制作する
「1」の検索結果の上位に表示される状態を目指すというのは、当たり前の話ではありますが、結局これにつきます。すべては以下に検索結果の上位に表示できるか?を最終目的にアクションを考えることが、最も効率のよいアクションにつながります。
「2」については、これからECを始めていくという方には、驚きの事実かもしれませんね。ECはサイトを構築して、商品を販売できる状態をつくるだけでも大変な労力がかかりますが、楽天やAmazonはページを準備するだけではほとんど売上が上がらないのが現実です。
なぜなら、販売実績がないとほとんど検索結果には表示されないから。ECモールは売上からの手数料が主な収益源になるので、ある意味当たり前ですよね。
そのため、最初は広告を使って、商品の販売実績をつくる作業が必要になります。利益が圧迫されてしまいますが、最初は耐え時だと考えて、取り組みましょう。
(もちろん最初から知名度が高く、直接商品名で検索されるような状態ができていれば広告費は不要ではあります。SNSなどで認知を醸成する方法ですが、それはまた別途作成しようと思います)
「3」については、イメージしやすいと思います。広告をたまたまクリックをして衝動買いする、という状況はかなり確率が低い状況ではないでしょうか?そのため、期間限定割引やクーポンなど、「今」購入する理由をつくることが重要です。
「4」については、ある意味絶対に守らなければならないルールかもしれません。例えば、商品名に検索されたとき検索結果に表示したいキーワードが入っていなければ、ヤフーショッピングの場合はほぼ表示されることはありません。(Amazon、楽天はもう少し検索精度が高い印象ですが)
郷に入っては郷に従えで、各モールのSEOに最適化した商品ページを作成しましょう。
ECモールで売上をあげる打ち手のサイクル
ここまではECモールの仕組みと売上アップの基本的な考え方について書いてきました。ここからはECモールのルールに合わせた打ち手の打ち方について記載していきます。
【打ち手の優先順位】
勝てる商品の選定
転換率の向上
アクセスの確保
客単価の向上
注力対象商品の拡大
なぜ上記の順番で打ち手を打たなければいけないのか?
1.勝てる商品の選定
通常の店舗様だと最初から高確率で売上を上げられるような商品というのは限られていることが多いです。例えば、家電を取り扱っている店舗様であれば、仕入れ先との関係性などによって、利益をとりやすい商材と取りにくい商材があると思います。そのため、まずは確実に勝てる見込みがある商品を選び、集中的に改善を進めていき、早めに売上を立てにいきましょう。
2.転換率の向上
次に取り組む転換率の向上は、いわゆる「穴の空いたバケツに水を注ぐ」状態を防ぐための施策です。
例えば、同じ商品を会社Aと会社Bが販売しており、会社Bのほうが価格が10%安かったとします。会社Aが大量の広告を投下しても基本的に会社Bの商品しか売れません。
当たり前なのですが、多くの要素が複雑に絡み合ってくると、意外と忘れられがちなので、忘れないようにまず取り組みましょう。
(また今回価格で例を出しましたが、そもそも商品が売れる水準になければ売れませんので、ご注意ください。道端に落ちているゴミを百貨店で販売しても売れないですよね?)
3.アクセスの確保
商品が売れる状態を整えたら初めて、アクセスをいれていきましょう。結局アクセスをどこまで確保できるかが、勝負です。具体的な施策については、後述しますが、以下の記事も参照いただけますと幸いです。
4.客単価の向上
勝てる商品ができてきたら、その商品を軸に客単価を上げる施策を打っていきましょう。客単価は動かしにくい変数ではありますが、利益率向上につながるので、しっかりと行っていきましょう。セット販売や送料バーの設定、クーポン利用価格の下限設定が有効です。
5.注力対象商品の拡大
1から4までの流れを一巡し、主要キーワードで検索順位上位を獲得できるようになったら、次の商品群に取り組んでいきましょう。売上を上げられる商品を増やしていくことで、売上アップを図ることができます。
勝てる商品の選定
では、具体的にどう勝てる商品を選定していくのか?説明していきたいと思います。
勝てる商品の条件
以下の条件を満たす商品が勝てる商品の条件です。たしかにそうだよな、といった条件になりますが、現実は厳しく以下を満たしていないとちょろっと売れる程度です。
仕入力が強く他社よりも安く販売できる
自社で開発しているオリジナル商材
まだどこにも見つかっていないがニーズがある商品
勝てる商品の見つけ方
(すでに販売開始している場合)すでに売上が立っている商品があれば、取り組みやすいため、優先的に取り組んでいきます
これからECをはじめていくという場合、ECモールの競合商品について調査します。リストを作成し、一覧化すると、自社商品の位置が一目瞭然になるので、おすすめです。
一覧化することで、勝てるポテンシャルがある商品、価格だけでは勝てない商品などが明らかになると思います。最終的に、会社として売りたい商品、売りたくない商品などの定性的な情報を加味したうえで、注力商品を決定しましょう。
【調査例】
転換率の向上
注力すべき商品が定まったら、次は転換率の向上施策を行っていきます。
転換率の向上施策は、以下に集約されます。
価格調整
クーポン・ポイント
サムネイル改善
ページ改善
レビュー
1.価格調整
類似商品のなかでの最安商品の金額を確認します。自社で値引き可能な金額から考えて、価格面で対抗していくか、どうか確認します。
(ブランド商品を取り扱っていたり、メーカー様の場合、卸先との関係性もあると思いますが、クーポンやポイントでの価格対抗は一度検討してみるとよいかと思います。)
値下げが可能な場合、以下の施策を検討していきます。
①イベントや5の倍数の日のみ、値下げを実施する
②①を実施して、売上や検索順位が上昇しない場合、通常時もしくは自社のイベントの日を決定し、値下げを行う
2.クーポン・ポイント
クーポンとは、皆さんご存知だと思いますが、割引券のことで、ポイントは各種モールでお金の代わりに使えるものです。
クーポン・ポイントの設定の考え方について、説明していきます。
基本的に、クーポン・ポイントは自社商品の定価は下げたくないものの、類似商品に価格競争力で負けてしまっている場合、イベントなど期間を限定して活用します。
クーポン・ポイント設定の目的は、2つの目的があります。
1つは新規獲得、2つはリピーターの醸成です。
新規獲得の場合、クーポン・ポイント額は競合商品の価格を下回る価格に設定します。
リピーターの醸成の場合、300-500円程度の割引金額に抑えつつ、利用最低金額を設定するなどして、本来クーポン・ポイントを使わなくても購入してくれたはずのユーザーを食ってしまわないように気をつけましょう。
3.サムネイル改善
サムネイルは商品の顔になります。一定のクオリティを保てていないと、どんなに商品クオリティが高く、どんなに安くても、売れません。私がデザイナーではないので、正直何とも言えないところではあるのですが、競合商品のサムネイルを調べて、自分がユーザーだったら思わずクリックしてしまうようなサムネイルを探しましょう。
ただ、各種モールには画像作成のガイドラインがあるので、ガイドラインについては必ず守る必要があります。
4.ページ改善
商品の売上を上げるためには、ページの品質を一定の水準まで引き上げる必要があります。価格やサムネイルを見てクリックしたユーザーは、次にページの内容を確認します。皆さんが商品を選ぶときをイメージしていただければわかると思いますが、あまりにもページが汚かったり、情報量が少なすぎたりすると、購入時に不安が生まれてしまいます。ページを作成する際には、以下を抑えるようにしましょう。
消費者から見たときに信頼を得られる内容となっている
各モールのSEOに最適化されている
消費者から見たときに信頼を得られる内容となっている
商品の特徴、消費者が気になるであろう情報、消費者の購入を後押しする情報、などが適切に配置されて、消費者が不安な要素を取り除き、購入に足る信頼を得られる内容で制作することが重要です。
各モールのSEOに最適化されている
モールでは、商品が検索結果の上位に表示されるためのロジックが決まっています。そのため、検索ロジックに沿ったページを作成することが、売上アップへの近道となります。検索ロジックについては、後述いたします。
5.レビュー
レビューを見ずにECで商品購入する方はいらっしゃいますでしょうか?ほとんどいないと思います。レビューは今やECにおいては、購入時に欠かせないものとなっています。
そのため、最低でも★4以上を目指したいところです。
アクセスの確保
転換が望める状態まで商品ページを整えたら、次はアクセスの確保です。
アクセス確保の手段は以下の施策に集約されます。
自然検索対策
広告の活用
SNSの活用
1.自然検索対策
お金をかけずに実施することができ、かつ広告でアクセスを入れてから継続的にアクセスを確保するための基盤として、まず実施すべき施策です。
モールごとに、どの箇所にどのような内容を入れると検索結果に表示されやすくなるかが異なるので、モールのルールに合わせて、キーワードを取り入れる必要があります。
例えば、楽天市場の場合、以下に商品に関わるキーワードを取り組む必要があります。
商品名
商品説明文
キャッチコピー
2.広告の活用
価格の調整、ページの制作をせっかく行っても、アクセスが入ってこなければ、売上は上がりません。ただ、検索結果上位に表示されるためには、まずは販売実績を作る必要があります。そこで、広告です。
広告は、販売実績がなくとも、お金をかければアクセスを獲得できます。いわばドーピングですね。広告をかけることで、販売実績を作り、検索結果に表示されるような状態をつくっていきましょう。
3.SNSの活用
今の時代はSNS不可欠ですよね。もちろんECモールも例外ではありません。ECモールの場合、モール内のアクセスがメインではありますが、SNSを活用しない手はありません。SNSで商品関連情報を定期的に発信することで、検索や広告以外からのアクセスを確保できます。
最近では、インフルエンサーを活用し、一気に評判を上げて、モール内での検索順位などを獲得しているブランドも少なくありません。
客単価の向上
客単価はコントロールしにくいので、優先度は低いのですが、客単価向上は利益率の向上につながるため、ある程度売上が立ってからは積極的に検討していきたい施策です。
以下がよくある客単価向上施策になるので、検討してみてください。
セット商品販売
送料無料バーの設定
クーポン利用の下限金額の設定
1.セット商品販売
商品のセット販売を行うことで、客単価を上げつつ、ユーザー側の体験向上も狙うことができます。
セット商品の作り方としては、以下のような方法があります。
商品の購買履歴から併売される頻度が高い組み合わせの商品をセットにする
容量を増やし、セットにする(例:1kg商品を2個セットにし、少し割り引いて販売)
一緒に購入すると便利な商品をセットにして販売
2.送料無料バーの設定
「〇〇円以上の購入で送料無料」といった設定を行うことも有効です。
自社として確保したい客単価を下限金額に設定しましょう。
3.クーポン利用の下限金額の設定
「〇〇円以上の購入で、〇〇円OFF」クーポンを発行することでも、客単価を引き上げることが可能です。併売できる可能性が高い商品のセット単価を確認して、商品ページ上でセット購入しやすいよう導線を設定しましょう。
最後に
ECモールにおける売上アップの基本的な考え方を解説してきました。
いかがでしょうか?考え方を紹介しただけで、実践的な具体例まで踏み込めていないので、わかりにくい部分もあるかもしれません。
各モールについて、掘り下げた内容は別途作成し、このnoteにリンクしていこうと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
定期的にECのノウハウや事例研究について、書いていこうと思いますので、よければフォローしていってください。
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