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1日2題の英文和訳 【解説編】 May.13.2024

先週は私立大学シリーズでしたが、今週は国公立大学の和訳問題を題材にします。それでは今日も解説していきましょう。

【第1問】
「人類の進化は、環境条件に対応して私たちの祖先が進化したという話にとどまらず、実際は私たち自身がその条件を作ったというのが事実なのである。」

【解説】
"not only A but also B"という相関表現が用いられていて、AとBは共通の主語に対する動詞以下(主部に対して述部と言います)です。ひとつずつ見ていきましょう。

(A) 〜 is a story of our ancestors evolving in response to environmental conditions.

ofがつくっている前置詞句に注目です。evolvingは後ろからour ancestorsを修飾している現在分詞と考えるのが自然です。しかし、evolvingが動名詞で、直前に意味上の主語としてour ancestorsが置かれていると考えることもできます。一体どちらなのかは、特に意味上の主語が代名詞でない限りは見た目では区別できないので、両方の意味で訳してみて適切な方を選択するしかありません。

<of + A + doing 〜>
 ① doing以下が直前のA(名詞や代名詞)修飾しているなら現在分詞
  $${\rightarrow}$$ 「〜しているA」
 ② doing以下が動名詞ならA(名詞や代名詞)は動名詞の意味上の主語
  $${\rightarrow}$$ 「Aが〜すること」

今回はどうでしょうか。

①現在分詞ならば「環境条件に対応して進化している私たちの祖先の物語」
 $${\rightarrow}$$ この場合、”A of B"のofは所有格で「BのA」
②動名詞ならば「環境条件に対応して私たちの祖先が進化したという物語」
 $${\rightarrow}$$ この場合、"A of B"のofは同格のofなので「BというA」

祖先の話をしているのですから、僕は②が適切だと判断して訳しました。このように「現在分詞なのか動名詞なのか」の判断は頻出事項なので注意しましょう。
そしてofには格が4つありましたね。2024年4月21日の週末英文法もぜひ参照してください。

(B) 〜 is actually the case that we made those conditions ourselves.

次の文は接続詞thatがthe caseに対する具体説明となる同格節を構成しています。ourselvesは主語を強調する強調用法の再帰代名詞です。2024年4月4日の解説も参照してください。

最後に、この英文で用いられているcaseは「実情、真相、事実」という意味です。大切な意味なので覚えておいてくださいね。

--- Words and Idioms ---
evolution(名)「進化」「進化論」「(物事の)発達、発展、進化」
evolve(自動)「(動植物が)進化する」「(物事が)発達する、発展する」
in response to 〜 「〜に反応して、〜に応えて」

【第2問】
「自動車は快適だが、この金属の容器の中で過ごさなければならない時間以上の時間を過ごしたいと思うほどには快適でない。」

【解説】
but以下がいわゆる『so 〜 that構文』ですが、主節側が否定文になっていますので注意することがあります。

①主節から訳す(that節は結果)
 「それはそんなに快適ではないので、あなたはもっと多くの時間を過ごしたい。」
②that節から訳す(that節は程度)
 「あなたがもっと多くの時間を過ごしたいほどそれは快適ではない。」

明らかに②は文意に反しますね。主節側が否定文のときはこのような現象が起こりますので、くれぐれも注意してください。

また、いつものことですが比較の文は比較対象側に省略が多いのが特徴です。

〜 than you have to (spend much time in this metal container.)

省略要素は必ず復元する』というのは英文和訳の鉄則です。復元して、日本語らしい訳にするために役立ててください。

--- Words and Idioms ---
container(名)「入れ物、容器、箱」「(輸送用の)コンテナ」
 $${\uparrow}$$ 発音要注意単語です。発音をカタカナで書けば「コンテイナー」です。

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