1日2題の英文和訳 解説編 Apr.4.2024
2題とも短い英文でしたがどうでしたか?ポイントは何だったのでしょうか。それでは解説を始めましょう!
【第1問】
「チンギス=ハンの子孫たちは、中国からハンガリーに至るまで帝国を拡大し続けたけれども、海の皇帝自身の墓はいまだに発見されていない。」
【解説】
この英文は接続詞whileが導く従属節の中にさらにuntilが導く従属節が入っています。while節に対する主節がthe tomb以下の文です。
この英文のメインテーマは再帰代名詞の用法です。再帰代名詞の用法は2つありますので確認しておきましょう。
まずは再帰用法です。一般動詞や前置詞の目的語が文の主語に一致する場合には必ず再帰代名詞を用います。
(ex1) She looked at herself in the mirror.
(彼女は鏡で自分を見た。)
(ex2) We enjoyed ourselves thoroughly at the party.
(私たちはパーティーで思う存分楽しんだ。)
それぞれherやusを使うことはできません。必ず再帰代名詞を用いるので気をつけましょう。
続いて強調用法です。「〜自身、〜自体」という意味で名詞を強調したいときは、再帰代名詞を強調したい名詞の直後に置きます。
(ex3) I was talking with Mr. Smith himself then.
(私はそのときスミス氏自身と話をしていた。)
ただし、主語を強調したい場合は主語の直後に置く以外に、文末や文頭に置くこともできます。
(ex4) He himself made the chair.
(ex5) He made the chair himself.
(ex6) Himself, he made the chair.
(彼自身がその椅子を作ったんだ。)
今回の英文では、"Ocean Emperor"という名詞の直後にhimselfをおいて強調しています。『筆者があえてつけた強意語は必ず訳す』というのは、以前も言いましたが、受験英語のルールですよ!
もう1点、"have yet to do 〜"という重要表現が入っています。知らないと訳せないので、ぜひ覚えておきましょう。なお、haveはbe動詞と交換できます。
【第2問】
「損壊した原子力発電所からは広島の原子爆弾によって放出された放射線量の170倍が放出され、近隣に住む30万人以上が自宅から避難しなければならず、その多くは帰還の見込みもないままであった。」
【解説】
1文目にはいわゆる倍数表現が用いられています。ここで倍数表現について確認しておきましょう。基本は原級比較の文に倍数を加えます。倍数は2倍がtwice、3倍以上は"〜 times"、他にhalfや分数も使えます。
(ex1-1) This bridge is three times as long as that one.
(この橋はあの橋の3倍長い。)
(ex2-1) This box is half as heavy as that one.
(この箱はあの箱の半分の重さだ。)
ところで、原級比較で用いられている形容詞または副詞を1語の名詞に置き換えることができるとき、もうひとつの書き方があります。
(ex1-2) This bridge is three times the length of that one.
(ex2-2) This box is half the weight of that one.
ここで使える1語の名詞はごく単純なものに限られます。主なものをまとめておきましょう。
今回の英文ではamountが使われていますね。放射線を意味するradiationは不可算名詞なので「数」ではなくて「量」で表します。原級比較を用いると下記のような英文になります。radiationはあえて繰り返しています。
The damaged nuclear plants emitted 170 times as much radiation as radiation released by the Hiroshima bomb.
問題文のほうが読みやすい気がしますね。さて、後半の英文はカンマ以降に省略があります。復元してみると、
〜 homes, and many individuals had to be evacuated from their homes with no hope of ever returning.
前の文と思いっきり被っていますね。これまで何回も出てきた「繰り返しを避けるための省略」が起こっています。省略をしっかり見抜いた後、適宜日本語を補いながら訳しましょう。副詞のeverは否定の意味を強める働きをしています。
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