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はたらく理由なんて問うのはナンセンス

「みなさんは、どんな気持ちで市役所の職員になろうと思ったのですか?まさか、安定しているから、なんていう理由ではありませんよね?ははは」

以前、ある政令指定都市の辞令交付式で、市長が新入職員に対して挨拶をする場面がテレビで流れていた。そのとき、市長はこんなことをいった。

このニュースを見たときに最悪の職場だと思った。私がそんなふうに思った理由を考えてみると、それは、思いの選択が押し付けられているという点にあるように思う。

「税金もらって仕事しているんだから、市民のためにしっかり働け」とは、よくきく言い分であるが、それを大声で言ってしまうのであれば「お客様は神様だ」といっているクレーマーと何ら変わらない。そして、それを是認する、あるいは、後押しする市長は、客にいい顔をして社員に無理をさせるブラック企業の社長と何ら変わらない。

はたらく理由なんて問うのはナンセンスだ。そんなものたずねたって何にもならない。

「お客様のためを第一に考えます」といいながらも、人並みに仕事ができない人間もいる。

「旅行が好きで金がいるので仕方なく」といいながらも、もとから愛想が良く仕事がこなせる人間もいる。

「志なんてどうでもいい。ただここで働くからにはお客のことを大事にしてほしい」というようなスタンスでいることが、雇用者として大事なことではないか。「気持ちは態度に出る」というのであれば、それを見抜けず採用した人事担当がダメなんだよ。もっといえばそいつを人事担当にしたお前がダメなんだよ。