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ワイヤレスイヤホンに憧れてから有線イヤホン派に戻るまでの軌跡

高校生の頃はまだAirPodsのようなものはギリギリ存在していなかったので、もちろん有線イヤホンを使っていました。

やはりケーブルにイライラしていたり、遮音性やフィット感などのストレスも解消したいと思っていたので、その後完全ワイヤレスイヤホンが主流になってからはもちろん乗り換え。

AirPods Pro を最初に買ってからというもの、合計で4台使いました。

一番最後に使用した「SONY WF-1000XM4」

日進月歩なジャンルなので、発売日が一年違えばそれなりにクオリティに差はあるのでしょう。

しかし少なくとも2022年時点では、結局満足のいくワイヤレスイヤホンというのは存在しないんじゃないかという結論になんとなく辿り着きました。(少なくとも3万円レベルのものでは)

そうしてなんやかんやで有線イヤホンへ回帰することになったのです。


有線イヤホンの何が嫌かといえば、もちろんケーブルが煩わしいという点です。

この問題の大部分は「Bluetoothレシーバー」という素晴らしいツールによってほとんど解決しました。
有線派へ鞍替えすることができたのはひとえにBTレシーバーのおかげでしかない。ありがとう。

ただいずれにしても、例えばイヤホンを使おうとした時点でケーブルが絡まってしまうなんてことはないではないわけで、そういうときにストレスを感じないといえば嘘になります。

しかし私としては、ワイヤレスイヤホンにはそれを上回るストレスが時に生じると思ってもいるのです。

なんで今日に限って電源を入れても接続されないんだ、とか。

なぜか唐突に「スン…」と接続が切れるとか。

なぜか片方だけ突然「スン…」と無音になるとか。(昭和のテレビよろしく、指でつつくとまた音が出る)

そして最もありがちな問題は「音飛び」です。頻繁にほんの一瞬だけ無音になる現象。

あれが気にならないんだとしたら、音楽や映像といったすべての時間芸術を何とも思っちゃいないということでしかありません。

ワイヤレスイヤホンのことはずっと好きだったのですが、ハイエンド機種ばかりを4台も使ってきた割に、こうして悪かった体験だけを列挙すると、今となっては思いの外印象が良くないのです。

単に個体差があるうちのハズレを引きすぎているだけなのかもしれないけど、何万円もする買い物が博打である時点ですでに変ではないか。

そういう理由で Anker その他の比較的お値打ちなイヤホンを集中的に買う人もいると思いますが、それはそれでイヤホンの代表的機能である「音」の体験がよろしくないだろうと思われ、それはそれでいかんともしがたい。

しかもこうした Bluetooth の接続トラブルに関しては、イヤホン側に原因があるとは限らないのがまたネックなのです。

もちろん本当にイヤホンが原因かもしれないけど、接続側のOSかもしれない、環境かもしれない、相性かもしれない、OSの特定のバージョンかもしれない、イヤホンのファームウェアのバージョンかもしれない、あるOSの特定のバージョンとファームウェアの特定のバージョンだけで起こる相性問題かもしれない、etc…

要するに構成する要素が多すぎるうえ、それぞれがとても複雑に作られているので、どうにも問題の切り分けができっこないんです。

サポートセンターの人だって「一度ペアリング登録を解除して再登録、それでダメなら出荷状態に戻してね」みたいな取扱説明書通りのアドバイスしかくれないし、あるいは「スマホ以外で再現するか、iOS以外で再現するか試してみてほしい」なんてことを言われる場合さえある。そんなに色々もってませんよ。

百歩譲っていろんな組み合わせでテストできたとして、その作業は書いた通り「テスト」だと思うんです。なんでお金出して買ってまでテスターのお仕事をしないといけないのかと思ってしまう。

ことほどさように、正常に動いてくれさえすればこんなに快適なこともないのですが、異常を発した際のストレスたるや、ケーブルが絡まる程度のストレスとは比較にならないわけです。

修理に出せばいいにしても、イヤホンが手元にない間はどう過ごせばいいか考えないといけません。製品が往復する時間を待つくらいなら、ひと思いに買い直すか買い換えたほうが早いじゃんと思ってしまうし、なんならメーカー側も内心それを見越してさえいるのではないのか…(気持ちが落ちてると余計に穿ったことを考えるわけです)。

ワイヤレスイヤホンは人類にはまだ早い。


有線イヤホンは、リケーブル可能なモデルならケーブルだけ買い直すことができます。「高いのを買っても、断線したら終わりなんでしょ?」と思っている人もいるようだけど、実はそれほど問題にならない。高いイヤホンはほぼ必ずケーブルを交換できます。

そもそもイヤホンケースに入れて持ち運べばそうそう断線しないのです。専門店の修理スタッフいわく、持ち込まれるイヤホンの不調の9割は、ケースに入れて持ち運べば防げると。

遮音性についても、イヤーピースがきちんと合っていれば、アクティブノイズキャンセリングが無くてもそれほど騒音も気にならないとわかりました。
むしろワイヤレスイヤホンよりも隙間が出来づらいので、強い風が吹いていても風切り音が生じないというメリットさえありました。新潟で猛吹雪とともに生きている私が言うのだから信じて欲しい。

耳掛け式(いわゆるIEM型)のイヤホンなら、イヤーピースを耳から抜いてぷらんとぶら下げておけばわざわざ外す必要もないので、外音取り込み機能が無くても困りません。

ケーブルが気になる問題も、Bluetoothレシーバーでワイヤレス化することで大部分は緩和されます。

もちろんケーブルの煩わしさがゼロにできるわけではないのですが、逆にいえば「それ以外のデメリットが見当たらない」ことに気がついてしまったのです。

BTレシーバーのいいDAC、いいアンプが使えて、イヤホンのいいドライバーが音を鳴らすため、シンプルに音質的にも優位に立てる。音楽を聴く体験も向上するわけです。

「外で音楽を聴く」ということに関していうならば、完全ワイヤレスイヤホンでも有線イヤホンでもなく、この「BTレシーバー × 有線イヤホン」という組み合わせが最も快適であると断言してしまっていいでしょう。

もちろんイヤホンをグレードアップしたらさらに良くなるし、音楽プレーヤーをスマホアプリから遠隔操作しても似たような体験ができたり、BluetoothじゃなくAirPlay(Wi-Fi)で接続できればさらに劣化が少なくなる…など他にもやりようがあります。

沼は深い。とても。

いったんオチをつけました。以下、おすすめの製品を述べるだけの蛇足です。

現時点でおすすめできるのは、FiiOというメーカーのBTR7というレシーバーです。

マイク付き、マルチポイント対応。しかもQi規格のワイヤレス充電にも対応。胸ポケットに入る小ささ。文句ありません。

2023年12月8日に発売されたばかりの BTR15 の方が、下位モデルな分お値打ちで買いやすいです。多分Qi充電ができない以外、機能的にはほぼ同じだと思います。


イヤホンはもちろん膨大な種類があるけれど、最低でも先述の通り「リケーブル対応」かつ「耳掛け式(IEM型)」のモデルから選ぶのがいいと思います。

さらに絞り込むなら、ステージモニターと呼ばれるジャンルのイヤホンから選ぶといいかもしれない。
ステージで演奏するミュージシャンが、自分が出している音を確認するためのイヤホンです。

他の演奏にかき消されずに自分の音を確かめられるようにするためか、ステージモニターはとても遮音性が高く作られています。またライブ中に汗をかくことが多いからか、耐汗性を売りにしているモデルもあります。

定番どころはやはり「SHURE SE215」や「Acoustune RS ONE」など。

SENNHEISER の IE 100 PRO をおすすめする人もいるかもしれないけど、あれはどちらかといえば録音した音を編集する作業などに使うスタジオモニターなので、ちょっとジャンルが違うのです。ステージモニターと比べると遮音性は低い印象です(音はすごく好きなんですけど)。

最近発売された qdc の SUPERIOR もいいかもしれません。まだ試したことがないので「良さそう」という以上のことが言えないのですが、取り扱い店舗が近くにある人は試してみて欲しいです。

自分で聴いたことがある中からおすすめを一本に絞ってくれと言われたら、自分なら「RS ONE」と答えます。特に賑やかでノリノリな音楽を聴く人にはおすすめです。

Acoustune のケーブルはサラサラしていて絡まりづらい上、服に当たってゴソゴソする「タッチノイズ」が起こりにくいのもいいところです。


あまり頻繁にオーディオの話をするつもりはないので、思いの丈をいろいろとぶちまけてしまいました。

ワイヤレス派のあなたも、こちらの世界へ来てみないか?

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