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いつの間にか映画館でしか観なくなった

昨年秋頃から、新作映画を追いかけることを趣味としています。

公開日にもよるものの週末にはだいたい2本、三連休なら3本くらいを映画館で観るのが普通になってきました。これを書いている今は三連休の3日目。昨日と一昨日では4本観てきました。

昨年までは私も大多数の人と同じく、映画館へはたまにしか行きませんでした。一年の中でも片手で数えられるくらい。

それが今ではこの有様だし、なんなら映画館へ行きすぎてサブスクで観てる時間と心の余裕がないくらいです。Amazonプライムはお急ぎ便なんかがあるから登録してるけど他は解約しちゃった。

出不精だったのにどうしてこうなった?という個人的ないきさつを、簡単にまとめてみたいと思います。


家で観ようにもスマホしか持ってない

昨年、ノートパソコンを手放してしまったんです。前職と現職の境目にできた空白期間、少しでもお金を作りたくて…

それ以降、映画を観るのに使えるものはスマホのみ。しかも iPhone12 mini というスマホの中でも小さい部類に入るものです。

これまでにも何度も観た映画をBGMみたいに流しておくのに使ったことはあったけれど、これで初見の映画を観ても正直なところ全然楽しくなれません。

アリ・アスター監督もCMで『ボーはおそれている』について言っていたけれど、これに限らず、映画はあのスクリーンで観るためのものとして最適化されているわけです。他のどこで観るよりも快適に観られることにまず間違いはない。

『ボーはおそれている』のパンフレット

映画館のあのスクリーンで観るのに最適化されている以上、小さな画面ではもはや何が映っているのやらよくわからないこともあります。無意識に画面を顔へ近づけてしまって目がつらくなったりもする。

またパソコンやタブレットと違って手で持つ必要が出たり、机にスタンドで立てても結局は画面が小さいので、背筋を伸ばしただけでも遠すぎてよく見えない。

小さな画面でもなんとか楽しもうとした結果、姿勢が悪くなったり画面を近寄せすぎたりすることで、肉体的な負担が大きいです。

映画を観る方法はいろいろあるけれど、少なくともスマホは「なし」だと思う。


サブスクの選び疲れ

膨大な作品を見放題というのは素晴らしいことです。それは間違いない。

でも膨大な数があることによって、いっぱいありすぎて何を観たらいいのかよくわからないことが増えました。

人は選択肢が多ければ多いほど、選び疲れて消費に消極的になるものです。行動心理学の実験でそんなのがあった気がしますね。サブスクはそういう意味では「ちょうどよくない」。

新作映画というのは、少なくとも公開月を絞ってみれば(なおかつ今住んでいる地域でも観られるものに絞れば)、いつだってほどよい数のレパートリーの中から選ぶことができます。

観たくない映画と観たい映画の区別がしやすい

サブスクでは「どれもこれも観たい気がするのに、いつもどれを観る気分でもない」というジレンマに悩まされ、結局何も観ないまま登録だけし続けている状況に困っていました。

しかし映画館ならパパっと好き(そう)なものを選び取ることができる。これはすごく楽だと感じます。


家で観るモチベーションがゼロになった

私の家にはいまパソコンやタブレットもなければ、引っ越したてでテレビもありません。(後者は多分これからも買わないけど)

スマホとサブスクという選択肢しか持てていないいま、家で映画を観たいというかつてのような気持ちがあるかというと、気がついたらもはや皆無といっていい状況です。

これが今の家のすべて

先ほども書いた選び疲れ問題と、そもそも映画館で観る時間が増えたことでなおさらサブスクで観る機会が減ったことで、今まで入っていた Hulu と Disney+ は解約しました。

Netflix はもともと入ってません。エンドロールに入った直後にすぐ画面を小さくして「次はこれを観ろ!」と押し付けてくるのがちょっと横暴すぎると思ったから。

エンドロールにノイズを混ぜないでいてくれるのはもはや Hulu だけでした。今までありがとう。


やっぱり自分は映画が好きなんだ

少なくとも平均よりはずっと好きなんだと思う。これまでも好きな方だと思ってはいたけれど、改めてそれに気付かされました。

そして好きであればあるほど、サブスクの時代だなんだと言われながらも、自分が楽しい方へと自然に足を伸ばした結果「映画は映画館」という結論に辿り着く。世の中は、世の中で言われているほどには変わってないのでしょう。

忘れちゃいけないのは、映画を観るのに損も得もないということです。だってただの趣味だもの。好きなんだから自分が動き、お金を払うのが自然です。

かようにして、私は映画館へ戻ってきたのです。


映画館は高いと思ってた

気になる料金の話。

新潟県で一番多くの映画が入ってくるのは、やはりユナイテッド・シネマです。稀にイオンシネマ新潟西にしか入ってこないものなんかもあるけれど。

小学生の頃『チャーリーとチョコレート工場』や『シスの復讐』を観たのもここ

そういう理由でほとんどユナイテッド・シネマへばかり観に行っているわけですが、CLUB-SPICE会員になった今はけっこう安く済んでいます。

平日なら1300円、土日祝は1500円。一回観たら1ポイント溜まり、2ポイントで1000円で観られます。

つまり3本に一本1000円で観られる。一本当たりの平均は安くて1200円、高くても1333.33…円という感じ。

たまにしか行かない人ほど通常料金しか見ておらず、映画館は高い、映画料金といえば2000円…という思い込みに繋がっているかもしれません。私もそうでした。

他に目立った趣味もないし、気持ちに余裕を持って通えています。


これからはブルーレイも欲しい

映画館の話からは逸れてしまいますが、図らずも「脱サブスク」を果たしてしまったいま、家で観る際にもブルーレイで観るようにしたいというのが今後の目標になっています。

DVDよりも画質がいいし、そもそもVHSからDVDへ移植された作品だけでも限られるのに、ブルーレイになっているものとなるとさらに数が減るわけです。ある程度何を買っても間違いないと思う。

そして何より、映画館で観てとても気に入った映画を自分のものとしてお迎えしたい。

サブスクはあくまで「観る権利」にお金払ってるだけですからね。映画をいっぱい持ってる友達の家へお邪魔して観させてもらってるイメージに近い。私はその友達自体になりたいんだ。

映画館では他のお客さんが多少の音を立てることがあるけれど、家ではこの上なく静かに観られるのもいいですよね。しんとした部屋でさらにヘッドホンを着けて『哀れなるものたち』や『ボーはおそれている』へ没頭したい。

あと、私の傾向として「サブスクでさえ同じ映画やドラマばかり観てる」というのがあります。選び疲れた結果のことでもあるんですけどね。そういう意味でも、ずっと月額を払い続けるよりは買ってしまいたい。


このままその時々の映画や文化を蓄積していって、内面の分厚(ぶあち)い中年や老人になれたらいいな。

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