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森田靖也(旧表記:オマル マン)氏との対談、第61回目。

K「森田さん、こんにちは。先日教わった、西和彦氏の夏野剛氏との対談動画を改めて通して見ました。2013年。(話の内容よりも)西氏の話し方のスタイルの方に私は関心を持ちました。「文明的」と。上品ということですね。ジョブズの追悼番組で、茂木氏の発言に西氏がキレたのも、私の見方では「上品」の文脈。こんな喪服着て俺は商敵を弔う番組にわざわざ出てきているのに、なんでお前は俺の隣で思ったことを言っているんだ?と(西氏は元、マイクロソフトの副社長)。「帰るぞ」という勢い。正統ですね。茂木氏のような野蛮なふるまいは蔓延っているので、手段としては瞬時にことさらに怒っておくに限る、というある種の洗練されたスタイル。」

20131002 ビル・ゲイツはどんな人?草創期のマイクロソフト秘話 西和彦×夏野剛
https://www.youtube.com/watch?v=yoNh6joKiAs

西和彦MS元副社長、茂木に窓を侮辱されキレる https://www.youtube.com/watch?v=mbZmtepuZxc

「「茂木氏「僕の個人的な考えだからいいじゃないですか」。西氏「あなた勝手にしゃべったらいいじゃないか」。」

「茂木氏のベースにあるのは、「表現の自由」の主張。J.S.ミル。私は専門家の水田洋氏に直接、手短にミルについて教示してもらった経験があり、「表現の自由が重要な主張。ミルは共産主義の一番左」と。しかし、この「左」については、私の記憶違いだったのかもしれない(・・)。実際のミルの文章に接してみると、印象は随分違ったので。」

「ミル『経済学原理』(1848)を改訂した第3版(1852)「所有論」、結部。 」

「社会哲学の問題として「所有論」を考察するとき,分配的正義を目指す経済体制の中でいかなる制度がすぐれているかという問題は,最善の状態でどのような成績をあげるかを比較して判断すべきである。この体制比較のためには,人びとの知的道徳的水準を高める教育の普及と人口の適度な制限を条件とする。しかしこの比較のための正しい試験がなされたことがなく,関連する知識や経験が不足する現在の段階では,どの制度がすぐれているかを判断することができないのでその判定は未解決である。もし,その最終的な判定の決め手となる鍵をあえて推測するとすれば,何が「人間の自由と自発性の最大量(the greatest amount of human liberty and spontaneity)」 を許すかという規準がそれである。自由を捨てて平等を要求する社会組織は,人間性のもっとも高尚な特性の一つを奪うものである。」

J.S. ミルの社会主義論とマルクス AN00234610-20190401-0003.pdf

「この内容は、意味深長に読める。」

M「加藤さん、こんばんは! 非常に、非常に印象的な事件ですよね。「西和彦ぶちぎれ事件」。」

K「印象的です、とても。「他者」感覚がある。我慢せずに、ブチッと。しかし、抑えている。ノーマルな感じ。」

M「ゼロ年代から「鼎談動画」が無数につくられてきたが、そのほとんどが「平板」な印象のなか、この鼎談での西氏の怒号だけが、いやまして輝いて見える。」

K「そうですね、どこか新鮮な空気が。」

M「西と茂木だけが、全部持っていった動画(笑)。ひろゆきは、ほとんど「空気」ですね。」

K「そうですね。ひろゆき。姿を自ら消している。」

M「ひろゆきは「平等主義」。ひろゆきが、よくいっているのは「ネットは多目的トイレだ」と。おいらは、多目的トイレをよりよく使うための活動をしていると。」

K「さすが、2ちゃんねるの創設者。まあ、平等主義の猛威がふるった。」

M「2ちゃんねる=便所の落書き。」

K「たんつぼの絵ですね。まあ、上手いというか。」

M「上手い。彼は本当に一貫している。ちなみに西は、コンピューターを知り尽くしている人。工学博士です。茂木は、脳科学者といいつつも。謎。PubMedで、検索しても。ヒット数ゼロ。PubMedで一つもヒットしない人間を、脳科学者と呼んでよいのか?という。」

K「そうなんですか。国際的に、脳科学者としては知られていない(?)。」

M「普通に考えて、論文をたくさん書いている人ならば、嘘はいわないと見てもよいでしょうが。逆に、茂木氏のように、そうではない人の場合というのは、どうしたって「眉唾」視されるのがアカデミズムのリアルでしょうね。ちなみに、脳トレ教授でおなじみの川島隆太だと、数百も論文がヒットする。」

K「茂木氏、「ひろゆき」っていつも親しげに呼んでいますね。業界人の印象が強い。」

M「だから、今話した、そういう「線」が伏線としてあって、西氏は我慢ならなかったのかもしれない。西氏は、「正統」の佇まい。」

K「そうかもしれませんね。「何にも知らないくせに」と。」

M「西氏は、博士号とか、論文とか(もちろん、アカデミズム、PubMedも)チェックしそうですよね。」

K「そうか。」

M「別の動画で、西氏と対談してた、堀江貴文が、やたら恐縮してたんですよ。堀江氏は学問を尊ぶ人だと個人的に思ってて。それで、印象深かったのですね。」

K「堀江氏が、態度が違うと。」

M「他の対談者には、もっとフランクで、ふてぶてしい。いつもは。勝間とかには、ひたすら「それ、違いますよ」とか。」

K「そうですよね。あの○四角の眼鏡の人に対しても(名前忘れてしまった)。」

M「成田祐輔ですね。あと落合陽一とか。あのあたりと西氏とは、堀江の態度は、ぜんぜん違う。文字通り「ペコペコ」。」

K「そうですね。成田氏。」

M「西氏には、完全にビビってる。「なんだぁ?堀江...」って罵倒されるのは怖いか。やはり。」

K「うんうん。それは良いことでは。先人を敬う気持ち。」

M「成田とか、落合とか、どのみち、どいつもこいつも「朝生」要員でしょう。」

K「西氏は、池田信夫との座談会動画も私はYoutubeで見ましたけど、何かやり返したい感じ。伝わってきた。対談、オフレコで延長しようと。それを電子書籍化しようと。」

日本のITはなぜボロボロになったのか 池田信夫×中村伊知哉×西和彦https://www.youtube.com/watch?v=1t7_E0J0H6o

M「西氏ー池田信夫。ひたすらアツい。業界敵視組の二人。」

K「池田氏の行動力(身体性)を見込んでいたんでしょうね。」

M「池田信夫の身体性。そこは衆目の一致する点ですね。みんな、一回は通過するという。ほとんど、離れるが。」

K「池田氏は、応えたのかは分からないが。特に西氏の熱意に、私は印象的なものを持った。日本の業界全体の問題を、あぶりだしたいのでは、西氏。」

M「その点は、夏野剛の対談でも、やはり強く押し出してましたね。」

K「言っていいんなら、言うよと。実名を出して。そうですね。西氏は前のめりだったが、あのエネルギーは池田氏でも吸収できないのでは?」

M「「掟」破りですね。西氏。」

K「あの前のめりさは。他にはない。」

M「同時代人としてビルゲイツ、ジョブス、アドビ、いろいろ近くで見てきて、実際に絡んできて、体感で知っているので。」

K「そうですね。夏野氏は、その動画の時点でマイクロソフトに対する西氏の守秘義務期間が切れていたので、その点を振ったが、西氏がやりたいのは衆人が喜ぶマイクロソフトの暴露話では、ないのでは。もっと、日本の問題。」

M「そうですね。日本の深い問題でしょうね。」

K「そこは、叶えられていないのでは。」

M「「俺は、(ここ日本で)負けてばかりいた」というようなことを、どこかで読んだことがあるが。」

K「私の解釈だと「上品すぎて負けていた」。」

M「教育者・研究者の側面もあるのだけど、あまり語られてない。川上量生と、キャリア形成が似てますね。改めて。90年代に雑誌の「アスキー」を読んでいる子供だったのですが、上品な雑誌でした。リッチで。大好きでしたけど。私の言語能力の原点はあの雑誌です。」

K「森田さんは、そこから影響を。」

M「父が富士通だったし、小学1年のときからパソコンは家にあった。父が買いこんで、本棚に。私の西和彦びいき、の原点か(笑)。ほんと、今では考えられないほどのビッグネームだった。「金!金!」って部分がなさげな人格です。たしかに。弱点か。」

K「私は、パソコン雑誌、縁がなかった世界です。」

M「90年代のアスキーは、インテルの「ペンティアム」のことを延々と詳しくレポートしているような、硬派で、かっこいい雑誌でした。」

K「しかし、西氏は今知って、何か直感。」

M「アスキーには、独特な美的なセンスがあると思う。」

K「日本の文化と、ビジネスの問題。「美的なセンス」か。なるほど。」

M「類例がないほど、美的な雑誌だったと思う。「PCってこんなにセクシーなんですよ」という。」

K「西氏は、ゲイツとも対立したんですよね。」

M「話聞いたことあります。対立したらしいですね。日本代表として、舐められたらあかん!ってやつですかね。ニュアンスは忘れたが「俺の子分になれ!」みたいな話を蹴ったって話だった気がするが。その時期の前後に、とてつもない資産を得る話があって、どこかを売却しないか?っていう。それも蹴って。今は激しく後悔している...って。尖り過ぎて、失敗した的な。」

K「ああ、「美」または「文化」を優先か。今は後悔しているとすれば、前者を守るには金が必要だったと(?)。」

M「まさに、加藤さんの要約通りですね。一方、ゲイツは「金」主体。」

K「その、対立か。伝えて欲しい、その内容。」

M「ゲイツは美的センスはなさそうだけど、文化を守っている。金があるから。結果論。」

K「そうか、西氏はそういう意味で「敗者」と。」

M「そうですね。」

K「それは痛恨。でも、ギラギラはおさまらないですね。そこは。」

M「茂木が「ウィンドウズ、ゴミっしょ」っていって、西氏がブチ千切れる姿は、改めて、感じ入るものがある。」

「一発ねじ込んたる!っていう意気込み。」

K「もう10年近く前の動画だから、今どうなのか。」

M「いろんな方面で、手ひろくやってるという話ですけどね。」

K「熱意は持続と。」

M「まだまだ老け込む歳でもないですね。」

K「何か、もちろん日本のビジネスにとってだが、文化にとっても大事な人な気が。私は。」

M「そうですね。私もそこは。ずっと感じています。だって。まともな人が、ほとんどいない。西氏の他に。夏野剛?、あのiモードの人?みたいな感じ。いまだに。個人的には。ワサモン天国すぎる。今のネットは。」

K「わさもん (熊本の方言)。新しもの好き。」

M「ああそうか!これは方言でした...」

K「今調べました。」

M「わさもん。熱しやすく冷めやすい的な。」

K「なるほど。わさもんって感じじゃないですね、西氏は。気になる存在だった。私は。」

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