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女性限定割引は差別なのか?についての考察

焼肉屋が食べ放題のコースを女性だけ割引したとかなんとかで話題になっていますね。
ネットではよく男女という分かりやすい違いをめぐって対立構造が出来上がっているので、さしたる興味はなかったのですが、
「アメリカでは性別での割引は違法」という情報を見て、「そうなんだ〜」と思いつつも、なんだか自分の中でもモヤモヤがあることに気づき、そのあたりの考えを文字にしてみようと思います。

一旦の結論:確かに差別っぽい

差別という言葉の意味を調べてみると「所属や属性を理由に異なる扱いをする行為」(面倒くさいのでWikipediaからの引用です)ということで、それにあてはめると確かに今回の割引は差別っぽいなーと思います。
でもよくわらないのが、それなら「社割」とかも差別じゃない?というところですよね。

ここで気になったのが、同じくウィキペディアに記載されている下記の文言です。

正当な理由(合理性)無き区別、不当な差別は違憲や違法である

これを見ると、意外にも論点は「差別か差別ではないか」ではなく「正当な理由があるかないか」が問題な気がしてきます。

正当な理由とは?

ウィキペディアには「正当な理由(合理性)」とあり、合理性のところからリンクが飛んでいたので、見てみました。

法学において、物事が道理や論理に適っていることを指す。→ 合理性の基準

続いて、合理性の基準を見てみると

合理性の基準とは、法律の目的・手段が著しく不合理でない限り合憲とする基準である。

…。
おそらく「不合理でなければ合理的」といううことでしょうか。

これでは埒が明かないので別の方向から考えてみると、アメリカでは性別による割引が違法であるということを考えると、「性別による割引は不合理な差別」という判断がされているのかなと思います。
ではどのあたりが一体不合理なんでしょうか。

不合理って何

なんだかアメリカの判例では「利益のための差別だから不合理」みたいな理由付けのようですが、なんだか理由付けが下手くそな気がします。(なお、この理屈ならやっぱり社割もNGな気がする)

個人的には、今回の焼肉屋の例で言えば性別による割引が不合理なのは「雑だから」だと思いました。
おそらく、今回の割引の背景にあるのは、
①女性は食べ放題でも食べる量が少ないから利益が取れる
②女性顧客が少ないからここを狙いたいということなのかなと思いますが、
おそらく議論の種になっているのは①で、「女性は食べる量が少ない」と「雑にくくって雑に推測している(ように見える)」ことなのではないかと思うのです。

別に、食べる量が少ない人に向かって「食べる量が少ないから割引」というのなら誰も文句は言わないけど、それが「食べる量が少ない人」から「女性」に【雑に】置き換わっているから問題になっているのではないでしょうか。
つまり、今回の割引キャンペーンは「食べる量が少ない人は割引」キャンペーンにすれば良いという話になります。

じゃあそれをどう判断するんだよ

問題はここです。
食べ放題の場合、グループで来ればグループ全員で肉を頼むので、個人が少食だったかはわからない。
同じ400gを2人で食べたとしても、200gと200g なら割引が効かず、100gと300gなら割引が効くというケースもあるけど、その判別方法がない。
だからこそ傾向を見て「性別」を使うしかなかった、ということでないでしょうか。

同じことが、女性専用車両にも言えます。
本当なら「痴漢されそうで逃げたい人専用車両」を作ればいいんですが、ぱっと見「痴漢されそうで逃げたい」か「痴漢したくてたまらない」か「なにも思っていない」人かは判別できない。
だから、比較的痴漢被害の多い「女性」という括りを使うしかなかった、ということなのだと思います。

これはある種仕方のないことなのかなぁと私は思ってしまうし、ここに私はある一定の「合理性」を感じてしまいます。

結論:データを出せばいいのでは?

不合理な差別の1つの原因は括り方の「雑さ」にあり、でもその「雑さ」にはどうにも解決しづらい理由があるのではというところまで考えてきましたが、
ここで私が考える結論は、こういう施策をやるときは、一緒にデータをだしておけばいいのでは?ということです。

つまり、「雑さ」を少しでも緩和するために、「女性が少食であるエビデンス」や「女性に痴漢被害が多いというエビデンス」を一緒に出しておけばいいと思うんですよね。(そんなの分かりきってるじゃんとか言わずに。)
最初から(後からではなく)ここを明らかにしておけば、とやかく言われづらくなるのではないでしょうか。
つまり、今回の食べ放題の例で言えばこんな感じです。
「平均カロリー摂取量が男性平均の0.x倍である女性を割引するキャンペーン」

(こんなキャンペーン名、嫌ですけど…)

じゃあデータを見せればいいのかという話

データを最初から根拠として出せば万事解決なのでは?と結論を出しましたが、それだけでは解決しない部分もあるのがこの結論の弱みです。
今回の食べ放題とか女性専用車両とかの話ならまだいいのですが、
例えば特定の人種に犯罪が多いから〇〇とか、特定の属性は能力が低いから〇〇とか、もし仮に正当なデータがあったとしても「不合理な差別」というのは存在すると思います。
(まぁまず、「正当なデータ」なんてものがかなり難しいですが)
それがなぜ不合理かといえば、「正当な理由や根拠がない」というよりも「相関があるからといって因果関係があるとは限らないから」とか「たとえ因果関係があってもそれで区別するのは人道に反するから」とかそういう方面でNGな気がします…が、ちょっと考えて頭が疲れたので今回は一旦ここまで。

差別と区別ってほんと難しいですね。

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