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短編小説 / 某日

 朝七時の快速は殺伐としていた。
 いつもと違う電車で、いつもと違う出勤。けれどそこに面白みはない。
 久々に会ったツバメはおとなになっていた。悪いのはアイツだって何どもを私を慰めてくれて、人の前でなんて何年振りだっただろう。たくさん悪口を言ってたくさん泣いた。
『また会いに来てよ』
 朝遅刻して仕事もミスって、『もういいよ』って上司に笑われて、会社入ってほぼ初めて定時退社した昨日。嬉しくも寂しくもない夕方だった。
「何時に帰れるかなー今日は」
 過ぎていく街を眺める。

 夜中もずーっと覆ってた雲はあと十分もすれば溶けるらしい。
 帰ったら何日かぶりに洗濯物を干そう。
 やっぱり私は生活が下手すぎる。

 「わ、綺麗」
 どこからか声につられて反対側を覗くと、急に空が晴れていた。朝日をちゃんと見たのなんていつぶりだろう。いつでも見れるものなのに何だか珍しくて、思わず写真を撮った。
「はあ、いいこともあるもんですなぁ」
 何となく落ち込んでいた毎日を朝日が照らしてくれた。それだけで人間は意外と、頑張れたりする。
 今日頑張れば明日は休みだし…そうだ、昨日の金ロー録画してあるはずだから今日は帰ったらそれ見よ。絶対いい日になる。いや、いい日にしてみせる。

 …ん、待て、快速って最寄り、止まんなくね?

「あ、終わった」

 さよなら金ロー。



スタエフ文藝部『綴』二期 7月度提出作品

お題:朝7時からお話を始めてください

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