患者の視点で見えたもの
8月6日(火) 休職34日目
眠れない。
寝付けないし、寝付けても1時間くらいで目が覚めるので寝た気がしない。
…どうせなら受験生の頃に欲しかったな、この症状。
今日はクリニック受診の日。
ほぼ眠れないまま朝を迎えた割に眠気やダルさはないが朝8時前まで体が起こせなかった。昨日の夜からずっと頭が痛い。
何だか休職直前の頃の体調に逆戻りしているみたいだ。
今メンタルの方を診てもらうために通院しているクリニックは自宅から車で7〜8分程度。2週間ごとに通っているが、こちらは検査や手術などなく精神的負荷はないので自分で車を運転して通院している。
実は、休職しないとマズイと思った理由の一つに運転中危ないと感じたことがニ度あったのも関係している。
1回目は目の前の信号が青に変わったのにぼーっとしていて後続の車にクラクションを鳴らされた時。
もう1回は毎朝の通勤経路なのに、ぼんやりしていて職場を通り過ぎてしばらく走っており慌ててUターンし遅刻しそうになったこと。
もうこの頃は集中力が極端に低下していて、このままだといつ事故を起こすか分からないと思っていた。
そのため、運転にきちんと集中できるか2週間おきに確認していることと、あまりに長期間運転から離れると単純に操作を忘れそうだと心配になった。
今のところは「運転にだけ」集中していれば問題なさそう。言い換えれば少しでも違う事を考えていたり、車内で同乗者と会話したり音楽を楽しんだりできる余裕はまだなさそうとも言える。
クリニックでは今日も15分の診察。
「この2週間どうでしたか」と聞かれ、不眠が続き使っていなかった眠剤を試したこと、まとまって眠れないうえ副作用が午前中残り自己調整してみたがしっくりこないこと、子宮癌の告知をされたこと、それに伴い婦人科での検査が度々あり直近一週間は気持ちが落ち着かず余計に眠れなかったこと、下旬に手術を控えていることなど話した。
先生は「それは…辛かったと思います。何も手につかないですよね、眠れないのも無理はないですよ。休むどころではなくてしんどかったでしょう。」と私の心情を理解し寄り添うような言葉をかけて下さった。
初診の時から感じていたけど、良い先生で本当に運が良かったと思う。心療内科に限らずだけれど、患者から症状などを聴取する割には具体的な治療内容や日常での注意などもなく淡白な応答で「本当に大丈夫かな?」と感じる医師もいれば、対処的に薬だけ処方する医師も多い。
今の主治医は患者が今どういうことを不安に感じているのかきちんと症状を聞いた上で薬を選んだり、調整したり、薬剤を変える場合はどういう副作用が出る可能性があるのか、代わりにどういう効果があり今までとはどう違うのかをきちんと説明してくれ、自宅で過ごす場合のアドバイスもしてくれる。また回復にはこういう段階で回復します、ということを電子カルテの入力画面をホワイトボード代わりにして画面をこちらに向けてフォントを少し大きくし、文字で見せて説明してくれたりかなり丁寧だなと思った。
今日は薬が変更・追加になった。
抗うつ薬は10mgを2錠に増やしても胃腸障害の副作用はないので、今回は同じ薬の20mgの規格を1錠での処方になった。
不眠に対しては今までのブロチゾラム(寝付きを良くする薬)から、デエビゴ(熟睡を促す薬)が追加された。ブロチゾラムは継続処方で、朝方眠気が残るなら、半錠にしてデエビゴと組み合わせて服用可とのこと。
癌の告知もあり、日中考え事をしたり不安になる時は今まで通り不安な時に飲む安定剤(ロラゼパム)も不足分のみ追加された。
次回手術のための入院が22日なので20日に予約を入れてもらい、薬局で薬を受け取り帰宅。
集中力が回復しないので帰宅後は音楽を流しながら目を閉じて横になっていたが眠れない。頭も痛くなり、早めに寝ようと21時過ぎに薬を飲んでみる。
(体調)不眠で目の下だけでなく目の周りまでクマが広がっている。コンシーラーを3色混ぜて補正したがクマに負けてしまった。食欲はあまりなく、夕飯は食べたくなかったので豆腐のみ食べ薬を飲む。新しい薬で眠れることを期待。
医療も今やサービス業の時代。
治療や薬剤といった対物的なものではなく、患者にどう寄り沿い寛解までの道のりを作っていくのか、患者が不安なく服薬できるようどのようにサポートするのかという対人業務を評価されるように変わってきた。だから診療報酬も調剤報酬も対人業務やサービスができる体制が整っているか、その実績があるかが評価される仕組みになっている。
昔と同じ対応のままの個人医院や国が提唱する新しいサービスの形態に無関心な薬局はどんどん淘汰されて消えていく。なかなか厳しい環境だ。
医療従事者は、それが天職であろうとなかろうと厚生労働省の法令に則って仕事をしなければならない。自分のように対人コミュニケーションが苦手な人間には年々少しずつハードルが上がっていくように感じている。
仕事柄、自分が患者で病院を受診する時は病院のシステムが以前とどう変わったのかや貼られている掲示物等に無意識に目が留まることが多いし、同業他社の薬局に行けば、どんなOTC医薬品を揃えているのか、掲示物や貰った明細書の内容や体制加算の点数から何の業務に力を入れているのかなど推測できる。いつもと違う患者側の視点に立つとそれまで気づかなかったものが見えてくることがあり興味深い。ただ一つ残念なのは、私の脳がまだおやすみモード全開で、せっかく気づけても具体的な内容をどこかに書き留めていないと記憶に残せないことだ。
話はだいぶん逸れたが、今の主治医や行きつけの薬局からはこちらも勉強させてもらえてるなぁと感じることが沢山ある。無事復職できたら仕事に活かしたい。
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